ガールパワーが生んだキャンペーン・フィルム

繊細な感情をなめらかな声にのせて、聴く者の心を揺さぶる若きロンドンシンガー、コニー・コンスタンス。Clarks Originalsとのコラボレーションで、i-Dがその魅力に迫る。

by Francesca Dunn
|
10 August 2016, 12:09pm

「コンスタンス・パワーなんていう名前だと、それだけで勝手にイメージがついちゃうのよね」とコニー・コンスタンス(Connie Constance)は笑う。現在若干21歳、最新アルバム『Lose My Mind』で「私が我を失っておかしくなると」と歌う彼女は、その魔法のような歌声で聴衆である私たちをおかしくしてしまう新星の歌姫だ。1995年、まるでスーパーヒーローのような名前を授かったコンスタンスは、最近では自身を「コニー」と名乗っている。彼女は、その歌声と名前が持つイメージとは対照的にとにかくリアルだ。あけすけで誠実に話をする彼女のロンドン訛りは彼女の歌う世界に独特の質感を与えている。

ナイジェリア系イギリス人としてワトフォードに育ったコンスタンスは、自立心と大きな夢を持つことの大切さ、そして「欲しいものがあればそれを手にするために頑張りなさい」といつも教えてくれた母のもとで育った。子供時代にはダンスを習い、ロンドンの名門ダンススクール、アーダング・アカデミー(Urdang Academy)への入学を果たし、夢を叶えた。そこで音楽に目覚めたコニーは、アーダング・アカデミーを1年で退学し、歌への情熱を自ら後押しした。ブルー・デイジー(Blue Daisy)プロデュースによるデビュー曲「Stars」で、コンスタンスは自身のダンススキルを披露しているが、彼女の音楽性同様、彼女のダンスもまたClarks Originalsの心をつかんだ要素だった。ストリートで友達と踊る姿を捉えたInstagram動画でコンスタンスがClarks Originalsのシューズを履いていたことも、Clarksがコラボレーションを思いついたきっかけとなった。このClarks Originalsの最新キャンペーンで、コンスタンスはビデオを制作。ダンスを披露するだけでなく、振り付けから音楽、セリフまですべてを彼女が担当した。コンスタンスは、このプロジェクトで自身のクリエイティブプロセスを余すところなく表現したいと考えた。そこで、彼女はノートを使ってキャンペーンのための音楽を作った。「アイデアを書き留める音、ページを破りとる音、紙を丸めて床に落とす音——そうした音を集めてビートを作ったの。Clarks Originalsの哲学は私のそれとマッチする。いいものができたと思う」と彼女は語っている。

コンスタンスは日記をつけている。そこには、彼女の頭を通り過ぎていく思考の流れが書き留められており、そこから生まれる曲で彼女は政治的圧力が色濃く、汚れきったストリートからの逃避を試みている。ページをめくると、そこにはスケッチや箇条書きのリスト、走り書き、そして彼女自身も「なぜ?」と首をかしげる焦げ跡のようなものまで見られる。「私が正直になっているとき、私の音楽は自分勝手なものになっているの」とコンスタンスは語る。「私が曲を書くのは、イライラしているときや、なにかが心に引っかかっているとき。恋についてもたくさん書いてる——そこが私と付き合うことの難しいところね。ストレスフルな関係だと、相手はことごとく曲に書かれちゃうんだから!」。コンスタンスは、会話のような歌詞を書く。ときには日記からそのまま引用された歌詞が歌われることもある。彼女はキング・クルエル、ギル・スコット=ヘロン、マイク・スキナーといったアーティストを尊敬しているという。彼らの思考を作品に表す手法に感銘を受けるのだそうだ。「私はストーリーを物語るのが上手じゃない。自分が言いたいことを率直に表現するだけで終わってしまう。そういう書き方しか知らないから」

"「Lose My Mind」のビデオ撮影をしてるとき、スパイス・ガールズみたいな気持ちになったわ。「ガールパワーの日ね!みんながそれぞれの担当のボスとして最高の仕事をしてる。きっといい作品が出来上がるわ」と確信したの"

コンスタンスの最新シングル「Lose My Mind」は、ハーモニーと感情に溢れるディープでソウルフルなアカペラ作品で、ジャズの名匠たちに共通する要素もあるが、作りはいたって現代的だ。余計なものをそぎ落としたこの作品で、コンスタンスは、男がいかに献身的でサポーティブになれるものかを歌っている。悪い男、浮気、そして女性軽視への怒りばかりが歌われる現代音楽業界ではすっかり扱われなくなったテーマだ。パートナーの男性に優しく髪を洗ってもらいながら銅製のバスタブに体を沈めるコンスタンス——この曲のビデオは、彼女が出したアイデアを女性ばかりのスタッフで形にした作品なのだそう。「撮影中、部屋を見回したとき、スパイス・ガールズみたいな気持ちになったわ。『ガールパワーの日ね!みんながそれぞれの担当のボスとして最高の仕事をしてる。きっといい作品が出来上がるわ』と確信したの」と彼女は撮影時の気持ちを語った。

スパイス・ガールズは単に音楽的な影響にとどまらず、もっと大きな意味を持っていた、とコンスタンスは話す。「白人ばかりの環境で混血の子供が育つというのは、苦悩を伴うもの」と彼女は言う。「私みたいな髪をしたセレブリティはほとんどいなかった。でもそこにスケアリー・スパイス(メラニー・ブラウン)が現れたの。初めて見たとき、私もスパイス・ガールになれるんだと思って、すごく嬉しかった」。そう言ってコンスタンスは笑顔を見せた。「当時の写真を見ると、私はいつもグルーヴィなサングラスをかけて、アフロヘア全開なの。スケアリー・スパイスがどれだけ私に自信を与えてくれたかを物語ってるでしょう?」。現在のコンスタンスが尊敬してやまないのは、ビヨンセ、ソランジェ、ビリー・ホリデイ、ニーナ・シモン、そして往年の女性ジャズボーカリストすべてなのだそうだ。「女性ジャズボーカリストたち。ジャズというジャンルは、女性ボーカリストが確立したようなもの。女性が打ち立てたんだわ!」。最近のミュージシャンでは特にジョルジャ・スミス(Jorja Smith)とリトル・シムズ(Little Simz)を尊敬していると言い、また「経済的にもお互いを支えあって、自分の人生を切り開いていき、自分の信じるように生きているすべての女性」へ絶大な敬意を払っているそうだ。

Credits


Text Francesca Dunn
Photography Olivia Rose
Hair Jose Quijano at The Wall Group using Revlon Professional
Make-up Kaz Fernando
Photography assistance Alia Wilhelm
Styling assistance Ryan Peterson
Connie wears top vintage from Rokit. Dress Zimmerman. Shoes Clarks Originals. 
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.
in collaboration with Clarks

Tagged:
girl power
Spice Girls
Connie Constance
Clarks Originals
Clarks
music interviews