モリー・ベアに首ったけ

あなたが自分らしくあることは、周りが望むあなたでいるよりもずっと大切なこと。大きな歩幅、大きな夢、そしてさらに大きな存在感を持ったフィラデルフィア出身のモデル、モリー・ベアに注目して。

by Matthew Whitehouse
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20 June 2016, 2:04am

Top Chloé.

Jacket DKNY. jeans Red Valentino.

Blazer Christopher Kane. Rollneck John Smedley.

Jacket Vintage Sir Jac from Rokit. T-shirt and skirt AG Jeans. Tights Emilio Cavallini.

Blazer Christopher Kane. Rollneck John Smedley. Leggings Roberto Cavalli. Socks The Sock Shop.

18歳のモリー・ベアは今、ファッション界で最も個性的なモデルの一人だ。軽やかに足音を鳴らしながら物怖じせずに大またでランウェイを闊歩する彼女の姿は攻撃的でもあり、絶賛の声も上がっている。その姿は単にランウェイを歩いているのではなく、まるでなにかの使命を果たすために猛進しているかのようだ。彼女は初となるi-Dマガジンの撮影を終えた後、185cmの体を折りたたむようにしてタクシーに乗り込んだ。私はそこで、モリーにインタビューを始めた。録音しても構わないか尋ねると、「してもしなくても話すことは変わらないわよ」と彼女の特徴ともいえる棒読みのような淡々とした口調で答えた。

1997年、フィラデルフィア生まれのモリーは、他のモデルとはどこか違う。「勉強するのが好きで、ほとんどの授業を真面目に受けていたの」と話す彼女は、どこか浮いて見える。それもそのはず、モリーはずば抜けて身長が高いのだ。その影響もあり、スポーツへ自然となびいていった彼女は、「運動は好き。いわゆる体育会系女子だったの。友達もライバルもそれなりにいたわ。そんなもんでしょ? 学生なんて」と言う。おてんばなモリーがファッションについて考えたことなんて、これっぽっちもなかったようだ。2014年にニューヨークの蚤の市でソサエティ・マネジメント(エリートモデル事務所のニューヨーク部門)にスカウトされ、モデルをやろうと思ったことはあるかと聞かれたとき、当時の彼女は「ノー」と答えている。モリーの顔立ちは、はっきりしていて表現豊かだ。そしてどこから見ても驚くほど美しい。今では、キャットウォークを歩くモデルのなかで、最もダイナミックで個性的なモデルのひとりになっている。表現力豊かな彼女はひとつのショーのなかでも反抗、神秘、退屈、エネルギッシュと目まぐるしく表情を変えていく。全身からは、独特なパーソナリティがにじみ出ている。自身の顔について彼女は「たぶん、エイリアンとかネズミ。それから悪魔、ゴブリンやグレムリン、そういった類の顔らしいわね」と去年のCNNのインタビューで語っていた。独特な美しさが彼女の魅力で、セールスポイントでもあるために、いつも話題にのぼらざるを得ないルックスのことについて聞いてみた。モリーは「ずっと同じことを言われ続けると、褒めてるつもりでも、聞き飽きたしもういいよ、って思っちゃう。返す言葉も別にないし。これが私の顔。それだけ。わかった?」と言い放った。高校のテニスチャンピオンのモリーを"非モデル的モデル"というレッテルを貼って見るのは、彼女にも、それに彼女をキャスティングする人にも失礼というものだ。誰もが彼女に見入ってしまい、その姿が目に焼きつく。その瞬間を特別なものに変える力が、モリーにはある。まさに2016年のモデルのあるべき姿だ。ブレイクしたモデルたち、イディやビンクス、カーラと同様に、彼女もモデルとは何かということをよく理解している。「あんまり真剣になりすぎないようにしているわ。だって、所詮ただの服だし、それで私を定義づけることはできないから」と話す。モリーは、自身のお気に入りのブランドであるProenza SchoulerやAlexandar Wang、Marc Jacobsなどと一緒に仕事をこなし、理想はジュリア・ノビスとサスキア・デ・ブロウだと言う。「本当に彼女たちを尊敬しているわ。仕事の量も多いし質も高いけれど、何より彼女たちは、肩書きや仕事で態度を変えず、常に素の自分で振る舞うの」。モデルのキャリアを積み始めたばかりの彼女だが、現在、ファッション業界に吹く変化の風にも敏感だ。「ファッションは変わってきている。スタイリストにデザイナー、それからキャスティング・ディレクター。ブランドのアイデンティティも変化しているの」。美の概念も世界的に変わりつつある。「この社会には美しさの基準が定められているけど、"真の美しさ"は個性と、その個性を愛せる自信にあると思う。みんな、それぞれ持っている個性は自信をもって表に出すべきよ。それでとやかく言う人がいたら、クソ食らえって言ってやったらいい」と話す。モデルをしていなかったら、何をしていたと思うか尋ねると「たぶん、普通に学校に行っていたと思う。だって本業は学業だし。だから、今でもモデルをやっていることに違和感を感じる。今進んでいる道は全くの想定外だったわ」とモリーは言う。彼女の夢は、環境省に勤めることだ。最近では、バックステージやヘアセットをしてもらっている合間に、脳が鈍らないようオンライン講座も始めたそうだ。「昔から政治が大好きだった。今年18歳になったから、人生で初めて投票してきたの」と話す彼女は、インタビューの最中にも今のアメリカ政治の混沌について話してくれた(非常に心配しているようだ)。もし彼女が世の中を変えるために自分の名声を使うとするならば、「環境保護の促進や、放射能や汚染に対する厳格な法律を施行したい」と話す。ベアはモデルを単なるフェーズのひとつでしかないと、若気の至りで切りすぎた前髪のように断言しているが、それは彼女がファッション界からのラブコールを無下にしているわけではない。むしろ、心から感謝しているのだ。「もちろん、これからも一生懸命働きたいと思う。それでモデルとしてのキャリアが落ちぶれても、怒ったりしない。そうしたら学校に戻って、本来進むはずだった普通の道に戻るだけよ」と言う。とはいえ、彼女がどんな道を選んだとしても、つまらない普通の人生にはならないだろう。

Credits


Photography Letty Schmiterlow 
Styling Max Clark 
Text Matthew Whitehouse
Hair Kiyoko Odo using Bumble and bumble
Make-up Ciara O'Shea at LGA Management using YSL Beauté 
Production Julie Velut at Artistry London 
Photography assistance Yi Chen, Scott Gallagher
Styling assistance Bojana Kozarevic, Louis Prier-Tisdall
Model Molly Bair at Elite London
Printed by Luke at Touch
Translation Aya Tsuchii

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