主演俳優ペン・バッジリーが訴える、『YOU ー君がすべてー』のジョーを美化する風潮の危うさ

公開直後から主人公のジョーに感情移入してしまう視聴者が続出しているNetflixドラマ『YOU ー君がすべてー』。ジョーはストーカーだし、犯罪を繰り返すサイコパスだ。それでも彼を擁護する意見はあとをたたない。今SNS上では、ジョーを演じた俳優のペン・バッジリーがファンたちと議論を交わしている。

by Roisin Lanigan; translated by Ai Nakayama
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20 June 2019, 7:17am

2019年1月頭にNetflixで公開された『YOU ー君がすべてー』以上にショックで、身の毛もよだつものといえばただひとつ。本作に対するネット上の反応だ。というのもネットでは、主人公のジョー・ゴールドバーグを支持し、美化し、擁護する声が高まっている。

『YOU ー君がすべてー』を観ていると、視聴者はいつのまにかジョーの思考回路に同化してしまう。しかし、彼の心の声は非人道的で、信用ならないことは明らかだ。ミレニアル世代のパトリック・ベイトマン(『アメリカン・サイコ』の主人公)たるジョーは、彼の執着と愛の対象であるベックへのストーキングを続け、彼女を追い詰め、破滅させる。

全10エピソードで構成されたシリーズ1で、ひたすらベックを孤立させようとするジョーは、感情的虐待/脅迫のあらゆる兆候を示している。彼がそのような行動をとるのは、すべてベックをコントロールするためだ(彼女の家の前の茂みでマスターベーションにふけることもある)

ネット上では自然と、ベックというキャラクターの不快な点を糾弾し、ジョーがいかにステキな恋人か、そして彼がいかに誤解されているかを訴える論調に傾いている。ここで私たちが目の当たりにするのは、まさに、内面化されたミソジニーだ。

“@PennBadgleyお願いだから私を拐って “

“遠慮します“

“また言うけど @PennBadgley のジョーにはひどく傷つけられる。なんなの?💔”

“答え:彼は殺人者 ”

しかし、他ならぬジョーを演じるペン・バッジリーが、ジョーというキャラクターの受け入れかたに関する議論に積極的に介入している。彼は、ジョーという人物が正真正銘の最低野郎だということを、視聴者に明言している。Twitterでは、熱心なファンにこんな簡潔な返信を送った。「彼は殺人者だよ」。また別のファンが、自分だったらジョーを監禁するか訊かれたペンは、ただちに「遠慮します」と答えた。

ロマンティックな恋愛と感情的虐待を同一視する有害な心理という火に油を注げば、番組は盛り上がるだろう。しかし彼はそれを選ばない。精神的に成熟している主演俳優に喝采を送りたい。

ペンは、「『YOU ー君がすべてー』のペン・バッジリー演じる主人公を美化してるひとが多すぎて怖い」というファンのつぶやきをリツイートし、こう付け加えた。「同意。だからこそシーズン2をつくらないといけないのかも」

彼の言葉を信じよう。

This article originally appeared on i-D UK.

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