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ジョン・キャメロン・ミッチェルについて知っておくべき10のこと

映画「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」で若者たちから絶大な支持を得たジョン・キャメロン・ミッチェル。「パーティで女の子に話しかけるには」の公開を控えた彼が語る、これまでとこれから。

by Sahoko Yamazaki
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27 November 2017, 7:33am

原作・主演を務めた舞台「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」がニューヨークのオフ・ブロードウェイで大絶賛され、後の映画化でもカルト的人気を博したアーティスト、ジョン・キャメロン・ミッチェル。ゲイであることを公に活動し、今もなお若者たちから熱烈な支持を受けている。

12月1日からは、エル・ファニング演じる謎の惑星からやって来た美少女と、イギリス郊外でくすぶるパンク少年の恋愛逃避行を描いた青春ラブストーリー「パーティで女の子に話しかけるには」の公開も控えるミッチェルが、作家、俳優、映画監督としての素顔を明かしてくれた。

1. いつもアウトサイダーだった

僕の母はスコットランド出身で父はアメリカ人。父が軍人だったから、子供の頃から引っ越しが多くて、アメリカとヨーロッパ中を渡り歩いていたよ。第二次世界大戦前、父の仕事でドイツのベルリンに住んでいたことが「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」に多大な影響を及ぼしたことは言うまでもないね。

そんなわけで僕はいつもアウトサイダーだった。特に子供の頃は、ゲイであることを受け入れてもらうのは難しかった。でもその経験が、芸術家としての僕のスピリットを強くしてくれたんだ。だから僕はゲイに生まれてラッキーだと思ってるよ。

2. 故郷はない

2年ごとに引っ越していたから、僕にはホームタウンがないんだ。それは良い意味でいつも逃げる場所があったということ。世界はこんなに広くて面白いのに、同じ場所にハマって抜け出せない人もいる。僕はそういう意味では自由だった。両親は社交的ではなかったけれど、僕がやりたいことを応援してくれたし、そのおかげで僕はお金やキャリアのためのアートじゃなくて、自分の魂が求めるものを追求できたんだ。

3. キャリアのルーツは演劇

高校と大学では演劇をやっていたよ。大学時代はシカゴでプロの役者をやっていて、テレビやアクション映画、色々なことをやったよ。歌うのが好きでミュージカルでも歌っていたけど、ちょっと飽きたんだよね。それでドラッグやパンクロック満載のヘドウィグの戯曲を書き始めた。友達からは「君は自分のキャリアを自分で潰そうしてるのかい?」って言われたよ。僕は、「本当に好きなもの、新しいものを作りたいんだ。それはお金のためじゃないんだ」って返した。結果、ヘドウィグのおかげでたくさんの面白い人に出会えて、それが今やってる他の仕事につながったんだ。

4. ヘドウィグが日本と韓国で熱烈に支持された理由

ヘドウィグが住む旧ドイツのように、韓国も国が分断されているから共感されるのも納得だよね。日本にも歌舞伎というクロスジェンダーの歴史があって、きっとヘドウィグの世界観もそれほど奇妙なことじゃなかったんだろうね。濃密な感情が詰まった“やおい”漫画のキャラクターみたいなものさ。ヘドウィグはショッキングな映画に思われがちだけど、誰をも受け入れる深い愛の映画だよ。

5. パンクは人生に必要な“山火事”

パンクの定義? それはエル・ファニングにもよく聞かれたね。みんなそれぞれ答えがあっていいと思う。そこが僕がパンクを愛する理由さ。僕にとってパンクは “健康的な破壊”。森を苦しめるものを焼き払ってくれる森林火災、みたいな? もちろんタチの悪い山火事もあるけど、僕にとってパンクは浄化作業、人生に必要な山火事みたいなものだったんだよ。

6. フェイバリットなパンクミュージシャンはイギー・ポップ

イギー・ポップ、デヴィッド・ボウイ、ルー・リード。彼らから生まれたクラシックなパンクは、実はとてもシンプルなんだよ。僕自身は、パティ・スミス、バズコックス、ラモーンズ、セックス・ピストルズから多大な影響を受けたけど、やっぱりパンクのゴッドファーザー、イギー・ポップが一番のお気に入りかな。

7. 書くことが何よりも一番好き

芝居も演出も楽しくて好きだけど、常に一番の興味は物語を書くことだった。エッセイ、フィクシィン、戯曲、日記、いろんな方法がある。執筆はとても孤独な作業だけどね。僕が今書いているのはミュージカルのPodcastシリーズ。素材がクレイジーすぎてテレビ向けじゃなかったから、オーディオだけでやることにしたんだよ。

8. ものづくりが抗うつ剤

僕にとっては、クリエイティブな活動が唯一の抗うつ剤だよ。孤独という病に効く解毒剤は、何かを作ることだけさ。好きなことをするのが、落ちおこんだときの一番の治療薬だと思う。たまにヨガもやるけどね。

今、プエルトリコで起きたハリケーンの影響でたくさんの人々が苦しんでいるよね。プエルトリコにある僕の小さな家も壊滅的な打撃を受けてしまったけれど、僕はクリエイティブなチャリティ活動で、彼らの助けになりたいと思ってるんだ。

9. SNSは使いよう

正直、SNSに溢れるセルフィーと食べ物の写真には飽き飽きしてる。僕もインスタグラムをやってるし、使い方次第によっては便利なツールだけど、無駄な時間を費やしがちだから僕はちょっと苦手なんだ。みんな「これがわたし! 見て見て!」って発信することに夢中になって、他者に耳を傾けることが減っている。メールばかり送っていないで、もっと人に会いに行く時間を大事にしないとね。情報過多は無感覚と鬱になる原因。世界はデジタル・ダイエットが必要だと思うね。

10. いつも快楽と絶望の狭間にいる

快楽と幸福って、僕は違うものだと思うんだ。快楽は瞬間的にハイになることだけど、幸福ってゆっくりとハイになっていくもの。いつもハイでいたらおかしくなってしまうからね。それはDJがクライマックスの曲を無限ループでかけ続けるようなものさ。

だから僕は、いつも快楽と絶望の狭間にいる気がする。山に谷が必要なように、幸福には悲しみが必要だ。そして僕にとっては、何か芸術的なパフォーマンスをすることが究極のJOYなんだよ。