未来へと続くローカル・サービス:KANDYTOWN インタビュー

2019年2月14日(木)、1年ぶりとなる新作EP『LOCAL SERVICE』を、中心メンバーであったYUSHIの命日にサプライズリリースしたKANDYTOWN。活発なソロ活動を経てメンバーがたどり着いた新たな境地、そして最新EP制作の裏側を聞いた。

by Shiho Watanabe; photos by Yosuke Demukai
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14 February 2019, 12:00pm

ヒップホップのストリート感を、独自のフィルターを通して伝え続けるKANDYTOWN。2016年秋に、アルバム『KANDYTOWN』でメジャー・デビューを果たして以来、総勢16名にも及ぶクルーの面々は常に走り続けてきた。そんなKANDYTOWNが、クルーとしては1年ぶりとなる新作EP『LOCAL SERVICE』をサプライズリリースする。「まずはRyohuくんと一緒にIOの家に行って、3人で近況報告したんです。その時に、「そろそろKANDYTOWNとしても動いた方がいいよな」という話になって。それがきっかけでした」と、制作の糸口を語ってくれたのはKEIJU。そして今回、全体的な舵取りを担当したのはRyohuだ。「一回、リリースすると決めたら割とスムーズに進行して行きました。これまでのKANDYTOWNのスタイルを崩さず、90年代ライクなビートの感じで作っていこう、と」

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EPに収録された6曲はどれもKANDYTOWNの王道ともいうべき、サンプリング感が強いタフなビート。しかし、その要所要所にクールな派手さもある。「今回は、IOくんの繋がりで知り合ったKemというビートメイカーの曲を下敷きにしています。やっていくうちに、「このビートはこうした方が良さそうじゃない?」とアイデアを出しあって、みんなに聴かせていってレコーディングが進んでいきました」(Neetz

『Prove』や『Kapital』といった収録曲を聴くと、これまで以上にソリッドなマイクパスが際立つことに気が付く。各MCたちの気迫が伝わってくるというか、成長したKANDYTOWNの姿をここに垣間見ることができる気がするのだ。KEIJUは本作のコンセプトをこう話す。「今回はみんな、ラップしようって集まった感じなんですよ。メロディを付けるところがありつつも、オートチューンを使ってメロディをつけてサビがあるという作り方ではなくて、メインでちゃんとラップを聴かせることを大事にしよう、って」

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クルーとしての久しぶりの制作を経て、BSCは「もともと、ラップするってコンセプトがあったので、単純にそのビートに合わせて、自分なりのやり方でラップしただけです」と振り返り、DIANは「次に繋がりそう、という手応えを感じた」と答えてくれた。

『LOCAL SERVICE』がリリースされるのは、2019年2月14日。この日は、もともとKANDYTOWN結成のきっかけにもなった中心メンバー、YUSHIの命日でもある。「なんだかんだ、2月14日には何かをリリースしている」とBSCがいう通り、これまでにもこの日にはIOのソロ・アルバムや、クルー名義での楽曲などを発表してきた。2015年、事故によりその短すぎる生涯を終えたYUSHIだが、以来、2月14日はメンバーにとって特別な意味を持つ。「一般的には男女のバレンタイン的な日だと思うし、もともと、自分たちにとってもそんな日だった。でもYUSHIの一件があってから、僕らにとってはファミリー・デーというか。YUSHIの家に遊びに行くこともありますし、彼女たちも含めて、家族と一緒にいる日になっているんです」(BSC)

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家族のように時間を過ごしてきたKANDYTOWNのメンバー。地元に集まる仲間同士だったが、それは『LOCAL SERVICE』というタイトルにも端的に表れている。「割と早くから決まっていた」(DIAN)というこのタイトルは、IOが他のメンバーにインスパイアされたものだ。「Gottzのインスタグラムの職業の欄に、“Local Service”って書いてあって。何かいいな、と思ってそのままタイトルにしたんです」(IO)

KANDYTOWNのメンバー達が立つ地点は変わらない。彼らの視点は、成長しながらも常に一定だ。アーティスト活動を続けていくにあたり、音楽との向き合い方は、デビュー前のそれと変わったか?という質問に、「多分、(KANDYTOWNとしての)ファースト・アルバムを出した後から、みんなすごく意識している点だと思います。その変化は、仲間内でも感じる」と答えてくれたNeetz。一方で、KEIJUは「ステイタスや環境は変わらない。でも、周りの人から「変わったね」と言われることはあって、その葛藤だけはあった。ただ、自分のことは自分が一番よく分かってるので、道を踏み外さないようにしようとは思っていました」と自身の環境を説明してくれた。

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2018年は、いつにも増して各メンバーのソロ作も充実した一年だった。MIKIKIKUMARUらがフル・アルバムを発売し、Ryohuは過去と現在の作品をコラージュしたようなミックステープをリリース、MUDとGottzは年末にそれぞれEPとALIBUMを発表したばかりだ。去年、一番刺激を受けたメンバーのソロ作品は?と尋ねたところ、BSCが「やっぱり、Gottzですね。Gottzの使う言葉は、いい意味ですごく簡単でキャッチーなんです」と即答してくれた。DIANも同じく「アルバムも全曲良かったし、リリックもかっこいい。僕はクソガキの頃からずっとGottzと一緒なんで、「キテるな」という感じをすごく受けました。ライブの勢いも凄いし」と続ける。

お互いの作品を通じて切磋琢磨し合えるクルー、それがKANDYTOWNだ。日本には、こうしたクルーはまだ珍しい。「KANDYTOWNは、昔からこういう遊びを一緒にやっている仲間。それに尽きます」とのBSC の言葉に、KEIJUがこう続けてくれた。「最初は金儲けで音楽活動しているわけじゃなかったしね。友達として活動している、っていうのが一番デカいな。KANDYTOWNは、何かあったらお互いのことをカバーしあえるから」

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2019年も『LOCAL SERVICE』を皮切りにそれぞれのソロ活動が続くようだ。KEIJUはすでに2月6日に『heartbreak ep』を発表したばかりで、Neetzも2月20日にソロとしてのデビュー・アルバム『Figure Chord』をリリースする。今年はBSCやDIANもソロ作を準備しているというし、各メンバーからのサプライズに溢れた一年になりそうだ。そして、クルーとしての活動も、今年は活発になる見込み。今回の『LOCAL SERVICE』の制作を振り返って、Neetzは「自分のソロ作を完成させて、一旦制作が終わった段階で、またみんなで集まって作る、そのやり方をまた思い出しました。みんなと雰囲気を共有して、それを一回確かめた、と言う感覚です」と語った。最後に「今年はKANDYTOWNとしてのアルバムや、ツアーも考えています。騒がしくなりますね」とRyohuが打ち明けてくれた。2019年も、KANDYTOWNにとっては大きな前進が臨める一年となりそうだ。

KANDYTOWN『LOCAL SERVICE』ダウンロード・ストリーミングはこちらから。

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Credit


Text Shiho Watanabe
Photography Yosuke Demukai