Photography Bobrowiec

Chromatが捧げたスナック菓子への賛歌

2018年秋冬ショーでChromatが注目したのは、ジャーマル・B・ゴールデンの詩、激辛チートス、そしてレッドブルの缶が仕込まれたメッシュパンツだ。

by Hannah Ongley; translated by Aya Takatsu
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20 February 2018, 10:31am

Photography Bobrowiec

「ハワイへ行くことが逃避なら、デリに行くのも逃避になるのではないでしょうか」。Chromatのショーが終わったあとのバックステージで、ベッカ・マシャレンはそう語った。はしゃいだモデルたちがカメラに向かってポーズを決め、床を激辛チートスで汚していた今季Chromatのショー。この定番スナックは、ファッションウィーク史上最高におもしろいアクセサリーだった。ネオンブルーのリップを塗った口でそれを頬張るモデルもいれば、菓子袋をバンジーコードでお尻にの引っかけているモデルもいる。「自分に見合ったものを選び、食べたいものを食べるという感覚を考えていたんです」とベッカは話す。「チートスがスポンサーになったわけではないのですが、そうなってほしいとは思っていました」。とはいえ、Chromatが本当にフリトレー(チートスを生産・販売している会社)の力を必要としていたわけではない。10年続いたChromatは、自信こそ非常に価値ある資産だということを証明してきたのだから。

岩や塩浴、瞑想といったセルフケアにアプローチした昨シーズンのコレクションから満足感あふれるジャンクフードへと、180度方向転換した今季のChromat。だが、そこで私たちが出会うのはスナック菓子だけではない。コンビニだけではない。それは白人男性の同僚と同じ給料を望むこと、もしくは職場で給料闘争をすることでもあるとChromatは言っている。実際、〈欲しいものを望むこと〉はジャーマル・B・ゴールデンがベッカに送った特別な詩「Lick Your Lips, Sis」の主題でもあった。ノンバイナリーのモデルであり詩人であるジャーマルは、そのラウンウェイルックにも触れている。エレクトリックブルーのワイヤーレスブラとスウェットパンツにはメッシュのポケットがついていて、砂糖たっぷりのエナジードリンクが入れられている。「ガムや予備を忘れて、ごめんねっていうような女の子にはならない」。そうジャーマルの詩にはある。「わかるでしょ、ハイキングにお菓子をひと袋だけ持ってきて、列の後ろで甘いジュースを飲んでるような子」

ジャーマルの詩とChromatのルックは、他者の喜びのために責任を負う気持ちを掘り下げたものだと、ベッカは説明した。「この詩の一部は、いつも誰かのために何かを持っているような人、ほかの人のために常に何かを持ち運び、それを他者に差し出すような人になることを描いています」

ハイキングや野外での探検もまた、逃避のいち形態だ。その要素は、前述した菓子袋を吊り下げるバンジーコードに潜んでいる。そのコードはまた、本コレクションの注目アイテムにも使われていた。目も覚めるようなピーチ色、チートスオレンジ、または緋色に染められたレザー風のパンツがそれだ。さらに、スパンデックスへの愛を隠しもしないこのブランドの新しい発明品は、バンジーストラップがついたネオングリーンのメッシュタンク、そしてハイテンションな演出でランウェイを盛り上げたSlayrizzが穿くピンクのレザーフレアパンツにまで及んだのだった。

This article originally appeared on i-D US.