Photography Mitchell Sams

ハイファッションへの喊声 Marc Jacobs

Marc Jacobsの2018年秋冬コレクションにまつわるあれこれ。

by Jack Sunnucks; translated by Yuichi Asami
|
feb 22 2018, 9:38am

Photography Mitchell Sams

マーク・ジェイコブスはおそらく最も優れたアメリカ人ファッション・デザイナーであり、アイデアとエモーションに溢れるショーを手がける名手だ。マークは2月14日に開催したショーで、ファッションの黄金期のひとつである1980年代への愛を捧げている。肩は今よりもワイドで、ハットも広く、注ぎ込める予算も大きかった時代だ。モダンを創造したイヴ・サンローランに着想を得たショーで、マークは他のどんなデザイナーよりも遥かに忠実にシルエットを再現してみせた。それはオーディエンスに2つの効果をもたらしている。進行中のプロジェクトを目撃できる喜びと、ファッション業界がInstagramよりもアジェンダに重きを置いていた時代への羨望だ。

ショーのオープニングを飾ったのは、同色のスカーフに合わせられた赤のコートを纏い、アニメ『怪盗カルメンサンディエゴ』を彷彿とさせる黒のハットを被って登場したアリエル・マータ(Ariel Murtagh)。それは、モデルたちのウェストにあしらわれた巨大な布の花からラジミールや琥珀織り、サテンといった素材が体現するノスタルジア溢れるショーへのイントロダクションだった。ベルベットからブルジョワジーまで多くのデザインが展開されたコートを初め、ベルベットやサテンのガウン、 ネックラインからこぼれ落ちてきそうなラッフルジャケット、葡萄酒色や青緑色グリーンパンツなどが登場していく。次々と新たなルックを照らし出すスポットライトに、人々は次第に「次は何が出てくるのか」と恍惚とした表情を浮かべ始めた。

ショーにはリル・キムとラフ・シモンズが隣同士に座って出席していたほか、トロピカルなルックスで登場したカーディ・B、寒そうな出で立ちのクリスティーナ・リッチらが出席していた。

コレクションに劣らず素晴らしかったのは、ヘアスタイリストのグイド・パラオとカラーを担当したジョシュ・ウッドによるヘアメイクだ。完璧な不均衡を保った深青のマレットヘアもあれば、別の女性モデルの片眼には紫の前髪がかかっていた。中でもベストルックだったのは、シャルトリューズ色のボウルカットであろう。モデルたちが履いていたシューズも極端で、彼女たちが履いていたのは、バックルに宝石があしらわれたChristian Lacroixを彷彿とさせるようなミュールか、先の尖ったブーツ。ショーはマーク・ジェイコブスの持つ力を存分に示すものになった。これからもマークは彼のやりたいようにやり、私たちはそれを目撃していくだろう。彼はファッションを独立させるためのアジェンダを示し、世界にそれを投げかけたのだ。

Credits


Photography Mitchell Sams

This article originally appeared on i-D UK.