Photography Cameron McCool. Styling Melissa Levy.

『ヘイト・ユー・ギブ』で好演 ハリウッドの未来を担う俳優、アルジー・スミス

米国史上最大級の暴動を描いた映画『デトロイト』で、一躍スターの仲間入りを果たした24歳のアルジー・スミス。『ヘイト・ユー・ギブ』では主人公の幼馴染を演じる彼が、映画業界における自身の役割を語る。

by Douglas Greenwood; translated by Nozomi Otaki
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14 May 2019, 9:30am

Photography Cameron McCool. Styling Melissa Levy.

This article originally appeared in i-D's The Superstar Issue, no. 354, Winter 2018

アルジー・スミスは、みんな鏡に映る自分に向かって愛を伝えるべきだ、と訴える。「別におかしいことじゃない」と断言する彼の口調は説得力に満ちていて、実は裏で演説家として啓蒙活動をしているんじゃないか、と疑いたくなるほどだ。「普段は自分に話しかけたりしない。でも、これをやると1日が劇的に変わります」。一挙手一投足を厳しく審査されるハリウッドのオーディション会場で、セルフケアに気を配る余裕のある俳優はなかなかいないが、それこそがアルジーがこの業界を生き延びてきた秘訣なのかもしれない。キャスリン・ビグロー監督による映画『デトロイト』の主役に抜擢されて俳優デビューを果たす前、アルジーはラッパーとして活動していた。そんな彼が溢れんばかりの自信を胸に演技の世界に飛びこんだのは、またとないタイミングだった。「以前は、僕らが最初に何をしていたのかにこだわるひとも多かった」と彼は、かつて音楽界のスターたちが映画業界に入るさいに直面した現実について語った。「でも、SNSの登場によって、今の世代は僕らのいろんな活動を受け入れ、応援してくれるようになった。いろんな分野での活躍を期待してくれる」

その言葉どおり、アルジー自身の活動も多岐にわたる。彼が楽曲制作と並行して撮影に臨んだ最新作『ヘイト・ユー・ギブ』は根深い人種問題を描き、多数の批評家から絶賛された。人種による分断が進む現代の米国を舞台に、警察の残虐な暴力によって対立が深まっていく街を描く本作は、米国、そして世界中の特権階級が目を背けてきた問題に切りこむだけでなく、ハリウッドが逞しく、誠実で、パワフルな役どころに若い黒人男性を起用したという意味でも稀な作品だ。ハリウッドにおけるステレオタイプによって、黒人の若手アーティストの活躍の場が制限されている現状について、「ハリウッド全体に浸透している問題で、業界を内部から蝕んでいる。今の体制を変えるには、数え切れないほどのひとたちの努力が必要」とアルジーはいう。「僕自身も変化のきっかけになれたらうれしい」。アルジーは、これまで積み上げてきた努力を絶対に無駄にしたりはしないだろう。彼の次なる目標は、憧れのウィル・スミスのあとに続いてスーパーヒーローの役を得ることだ。「自分の信念のために立ち上がるのか、それとも何の行動も起こさないのか。今、僕は人生の岐路に立っている」と彼は明言する。「自分のなかにそういう切迫感があるんです」

algee smith
Algee wears all clothing Prada.

Credits


Photography Cameron McCool
Styling Melissa Levy

Hair Dylan Chavles at Art Department using Oribe. Make-up Holly Silius at Lowe and Co Worldwide using Giorgio Armani Beauty. Photography assistance Olivia Rosenberg. Styling assistance Mei Ling Cooper, Emily Diddle and Rachele Antjuanette. Production Richie Davies.

This article originally appeared on i-D UK.