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気になる男の子:フィン・ウルフハード インタビュー

『ストレンジャー・シングス』で勇敢な少年マイク・ウィーラーを演じ、視聴者を虜にしたフィン・ウルフハード。 最近では、スティーヴン・キング原作のホラーサスペンス『IT/イット』の劇場版に参加。再び観衆を魅了する用意は万端だ。 i-D は大注目の彼に話を訊いた。

by Jack Sunnucks; translated by Aya Takatsu
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03 oktober 2017, 7:01am

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This article originally appeared in i-D Japan's The JOY Issue, no. 4, Fall 2017.

14歳。多くの少年がいかに数学のテストを乗りきるかに悩むそんな時期に、フィン・ウルフハード(Finn Wolfhard)は身の毛のよだつ恐怖シーンの演技に挑んでいた。2016年、スマッシュヒットとなったNetflixのオリジナル・ドラマ『ストレンジャー・シングス』。劇中でフィンはミリー・ボビー・ブラウンと共に少年の一団を率い、異次元の怪物や悪の科学者と戦った。怪物の討伐を終え、ノスタルジックな80年代風ジャケットを脱いだフィンの次の舞台は、スティーヴン・キング原作のピエロ・ホラー小説『I T/イット "それ"が見えたら、終わり。』の劇場版である。

ポスターを見るだけで背筋が凍りそうなこの作品のオリジナル版は1990年に公開されたドラマシリーズで、ティム・カリーがペニーワイズを演じ、子どもたちを震撼させた。ビル・スカルスガルドがこの最恐ピエロの役に挑む今回の劇場版も、遜色ない恐怖を与えてくれるだろう。こうした作品の撮影中、フィルもまた恐怖を感じるのだろうか。「ホラー映画を撮るんだから、怖いときもあるよ」。若きカナダ人俳優は、真剣な面持ちでそう答えた。「すっごく怖いシーンであっても、そこにいなきゃいけないんだから!」

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イット(それ)が追いかけるのは、心に闇を抱えた少年たちと、ひとりの少女。彼らは自らを〈負け犬クラブ〉と称し、姿を変えるピエロ、ペニーワイズを倒そうと目論んでいる。〈負け犬クラブ〉の7人の落ちこぼれは、それぞれに苦難や試練を抱えているが、それは彼らを捕食しようと狙う悪魔の如きピエロより根深いものなのだ。ビルには吃音があり、両親との関係は芳しくない。ベンはその体型のせいでいじめられ、ベヴァリーは父親から虐待されている。こうした要素がダークな部分を強めている今作は、1990年のドラマシリーズに比べ、キングの原作により近くなったといえる。「僕が演じるのはリッチー。人を見下した発言ばかりするようなやつだよ」とフィンは話す。「自分はすごいと思ってるんだけど、誰も賛同しない。だから、自分を守るためにしゃべり続けるんだ」

アルゼンチン人の監督アンディ・ムスキエティは、〈負け犬クラブ〉のメンバーが実際の友人関係にあることが重要だと考え、撮影前の2週間、彼らが共に過ごすようにしたのだという。「ぜんぶで3ヶ月半一緒にいたんだ」とフィンは振り返る。「7人全員、(〈負け犬クラブ〉の)ワイアットの家に泊まりたいって思うくらい。大きなサマーキャンプみたいだったよ」

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『ストレンジャー・シングス』と同様に、『イット』もまた素晴らしくノスタルジックな作品だ。自転車を乗り回すシーンも多く、子どもたちが裏口から出入りしたり、レンジでチンするディナーも登場する。それでも、子どもが捕食される超自然的ホラー映画であることには変わりはない。「今って、みんなスマホにべったりだから」とフィンは言う。「もちろんそれはカルチャーの一部でもあるけど、80年代はそんなじゃなかった。もっとワクワクするようなことがいっぱいあった時代なんだ」若くして(デビューは8歳のときだ)有名俳優となった今もなお、驚くほど普通なフィン。彼自身は、両親がLAに引っ越さなかったことがその普通さの理由のひとつだと考えている。ほかの子役とは違い、一家が住んでいるのはLAから千マイル離れた都市バンクーバー。彼が地に足のついた人間でいられるのはこの港湾都市のおかげなのかという問いに、フィンは「そうじゃないかな」と答える。「誰が隣に住んでるかとか、どんな人と親しいのかとか。そういう生活環境ってあると思う」。

その精神状態や愛らしさを培うのに役立ったものがもうひとつある。音楽だ。フィンはギターをかなりの音量でかき鳴らす。なかでもニルヴァーナの「リチウム」のカバーが最高で、ネットでも大きな話題となった。「ギターを弾くと落ち着くんだ」とフィンは話すが、その音楽の趣味は落ち着いているとは言い難い。一番好きなアーティストはビートルズだが、「マック・デマルコ、ツイン・ピークス、フェニックス、ホワイト・リーパー、それからポスト・アニマル」がお気に入りだそうだ。

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『ストレンジャー・シングス』の放送以降、フィンのインスタフォロワー数は1300万人になった。その多くがコメント欄に押し寄せ、作品に関する持論を展開したり、動画を頼んだり、セカンドシーズンについてあれこれ言い立てる。「前作と同じくらい楽しめると思うよ。もしかしたらもっと楽しめるかも」。セカンドシーズンのことをフィンはそんなふうに評した。「そんなに面白くないんじゃないかって噂もあるけど、うん、面白いよ。登場人物は同じで……悪役の謎がもうちょっと解明されたりするんだ」

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『ストレンジャー・シングス』のネットコミュニティに集まる熱心なファンたちは、怪物やイレブンの出自に絡む陰謀について議論を戦わせるのが大好きなようだ。そんなザワつきを経験したフィンは、『イット』の制作発表後の騒動を予期していた。「こんなことになるんじゃないかって思ってた」。この映画に対する辛辣な下馬評について、彼はそう言った。「僕らがその映画を撮ってるってことが発表されたとき、みんな震え上がったんだ」。それはいい意味での震えだった。劇場版『イット』には、前作を凌ぐ雰囲気がある。ムスキエティは、子ども時代を有することの意味を、恐ろしいテクニカラーで表現した。悲劇に際して、純粋さは武器となるのか? それとも悲劇に慣れてしまうほうがいいのだろうか? すべての子どもは、欠点も多いが勇気も持ち合わせている。「僕らはまったく違う映画を撮ってる。これは友情や絆についての作品」と彼は言い、勝ち誇ったようにこう続けた。「スティーヴン・キングも大好きだってさ」

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この映画が素晴らしいのは、視覚効果やホラー的要素だけでなく、いじめや虐待、チャンスの欠如など、子どもたちが直面するリアルな恐怖に重点を置いている点だ。現実世界の恐怖について尋ねると、フィンは考え込んでしまった。「そうだね、普通の答えかもしれないけど……」。そして真剣な顔で歌うように続ける。「人種差別、ステレオタイプ、性差別、同性愛嫌悪。そういう問題が、まだこの世にはびこっている。でも、Twitterに300万人フォロワーがいれば、世界にはどんな問題があって、どうすれば手を差し伸べられるかをみんなに伝える力を持てる。デモに参加したり、署名運動をしたり。そういう力があるってすごくクールだよ」。クールでいられるのはいいことだろう。でもいい人でいることもまたクールなのだ。「自分が模範的存在なのかどうかはわからない。だってまだ若いから」。そうフィンは結論づけた。「でも尊敬してくれる子がいるのは嬉しいよ」。人の良さもクールさもたっぷり持ち合わせている、フィン・ウルフハード。私たちが望むのはこんなヒーローなのかもしれない。そしておそらく、彼がもうちょっと年齢を重ねた暁には、現実世界のブギーマンたちと一戦見えているに違いない。だけど、まずは映画の中にいるやつを先にやっつけてもらおうか。

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Credits


Text Jack Sunnucks
Translation Aya Takatsu
Photography Matteo Montanari
Styling Celestine Cooney
Grooming Ramsel Martinez at Lowe & Co using R+Co. Prop stylist Brynn Bowen at Streeters. Photography assistance Leonardo Ventura, Greg Granaghan and Angelo Sgambati. Digital technician Clay Rasmussen at Milk Studios. Styling assistance Jordan Wright. Production Fox and Leopard. Retouching Postmen.