フェミニストのジェシカ・ヤトロフスキーの第1詩集は72時間で生まれた

「パッと終わらせるのが好き。『Pink Privacy』もそうやって作ったんです。一気に仕上げました」

by Emily McDermott; translated by hiromitsu koiso
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19 December 2017, 7:19am

多分野で活躍するアーティスト、ジェシカ・ヤトロフスキー(Jessica Yatrofsky)。彼女がアート界隈やフェミニストに知られるようになったのは、『I Heart Boy』(2010)と『I Heart Girl』(2015)という素晴らしいフォトブックがきっかけだった。この2冊ともプライベートな時間を表現している。被写体の多くはヌードでくつろぎ、パステル調の柔らかい光に浸っている。ヤトロフスキーはフォトブック以外に映像作品にも取り組んでいて、ショーン・ロス(Shaun Ross)などのモデルとコラボしたり、ジャン=ポール・ゴルチエのキャンペーンを手がけてきた。36歳、ブルックリン在住の彼女は、新たなメディアに試みている。詩だ。先月『Pink Privacy』という、あまり甘くはない短詩をまとめた173ページの詩集を出版したのだ。

「たくさんプロジェクトを抱えてるから、作るのに時間をかけません」と彼女は言う。「パッと終わらせるのが好き。『Pink Privacy』もそうやって作ったんです。一気に仕上げました」

Portrait Jessica Yatrofsky

ヤトロフスキーは書きまくり、72時間ですべての詩を書いた。スマホに。紙ナプキンに。そしてシャワー中に。彼女の言葉には嘘がない。たいていは怒りがあり(「たわごと どういうこと / その手足を私の頭の中で / 切り刻んでる」)、率直だ(「Tinderの奴とファック 幸運は / 一休み 痣はだいじょうぶ」)。最近になって自分を大切にすることを学んだ。そして、気がむかない男に無理に気を使っていたことに気づき、腹を立てた。「『Pink Privacy』を読むと、そんな怒りや悲しみと、それでも男とどうにかなりたいって気持ちがわかると思います」

今週末、彼女とNY Fem Factoryという団体が、サテライト・アート・ショー・イン・マイアミの開催中に、『Pink Privacy』のテーマを発展させたポップアップのパフォーマンスとインスタレーションを行う。下の映像は、ヤトロフスキーとVAアーティストのローレン・モファットによる「女性器を守る者」だ。

——『Pink Privacy』は、どこから読んでもいいし、1ページ1ページ読でもいいというところが好きです。あなたの世界に引き込まれます。
そういう読み方ができるようにレイアウトを考えました。この作品にとって、順番はどうでもいいんだって気がついたんです。でも最初と最後の詩だけは計算しました。それといくつかペアの詩も。例えば、題名に女性器って書いてある2つとか。私は超几帳面なので、全部の詩を小さなカードにプリントしたあとアルファベット順に並べて、それからランダムに選びました。まとめるのに厳密なルールみたいなものを考えてたら、気がおかしくなってたかも。

—— ほかのプロジェクトではもっと厳密にレイアウトしますか?
いいえ。でも言葉の作品の場合、トーンが整う並びを考えるのにコツがあるんだろうなって思ってましたね。実際にはコツの有無とは無関係に、全部の詩がいい感じにまとまったんです。ハードな詩もソフトな詩もあったけど、本の初めから終わりまで自然に並んでました。写真をレイアウトしたプロジェクトでは美を優先しました。美学には独自の言語があるんですよ。

—— 書くことと美を実践することは、どういう関係にありますか?
美学という点では、私の文章も写真もそれ以外のプロジェクトもつながりがあります。どれも同じ色合いをしてるけど、無理にそうしてるわけじゃない。私は美しくなるように作品を作ってるし、好きなものを作ってる。全部がひとつにつながる理由はこれです。文章と写真だと創作プロセスが似ていると思いますね。どのプロジェクトでも何かの力を与えられたり導かれてるって感じます。その感覚をどう扱うかは自分次第だけど。『Pink Privacy』は1人になって書いたので、その詩を書くプロセスは写真を撮ったときとは違いました。

アーティストならひとつのやり方に専念しなければだめだ、っておかしなことを言う人がいるけど、私は反対。大好きなアーティストがメディアを変えながら創作してるとワクワクする。私も同じ態度で作ってます。ひたむきにひとつのやり方で取り組むべし、なんてことは頭にないです。創作の幅が狭まりますよ。

——『Pink Privacy』は72時間で書き上げたそうですね。
これは突然ひらめいたプロジェクトです。「わが家の沸き立つ怒り」って呼んでます。その怒りは言葉というフォームで交信できました。3、4日書く手が止まりませんでしたね。書いてるのがなんなのかわらなかったけど、思いついたから書き留めないとって思いました。iPhoneとか紙ナプキンに書きました。あとシャワールームにあるマジックボードにも。たいていアイデアはシャワー中にひらめきます。言葉は自然と出てきました。遮るものはなかったし、通読する人もいません。ただ、女友達とツイートやメッセージをやりとりしてるうちに、もっと笑わせてやろうって思って書いてました。

——あなたの写真はプライベートな雰囲気を持ちつつ外へ向けられています。それなのにとても内省的です。発表するとき緊張しましたか?
この本の詩を書き始めたとき、なんでもやれる気がしたんです。ためらいがなかったし、自分は作品の責任を取れると思いました。本心を率直に書いてたから、ほかのプロジェクトのときより不安もなかったですね。写真作品だったら内容やテクニックや出来栄えを批判しようと思えばできる。そりゃあ写真をバカにされたらいい気はしないけど、それよりテーマに対する否定的なコメントはきついですね。この詩集の場合、批判しているとしたら、私についてことになると思う。でも動じませんから、どうぞどうぞって感じです。

——『Pink Privacy』っていう題名のことも教えてください。
『Pink Privacy』はピンク色とそれが醸し出すあらゆる意味、それと「ピンク・プライバシー」って呼んでる私のアパートメントの部屋を表しています。私がローズピンクに塗った部屋で、そこで瞑想もします。その部屋は私のクローゼットでもある。靴を集めてるんですが、靴に囲まれながら座るが好き。そこには鏡台もあるし、友達の写真を貼ったボードもあります。だけど、誰でもこの部屋に入れるわけじゃない。招待されないとだめ。このプロジェクトをきっかけに、もう自分を否定しないって決めました。何か書いても、言いたいことを言っても、面倒な人と向き合ってもう、本当の自分を語っても。

『Pink Privacy』はヤトロフスキーのウェブサイトで購入可能。

Photography Jessica Yatrofsky, 'I Heart Girl'
Photography Jessica Yatrofsky, 'I Heart Girl'
Photography Jessica Yatrofsky, 'I Heart Girl'
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