写真家マギー・ウエストと全米家族計画連盟

女性、男性、トランスジェンダー、あらゆるジェンダーの人々の健康と人生を支える全米家族計画連盟のため、ロサンゼルスの写真家マギー・ウエストが独自の美しい色世界でバイストロムからアラスカ・サンダーファックまでを撮り下ろした。

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nov 10 2016, 11:10am

Arvida Byström

反対派が巧妙に作ったビデオが公開されるなど、安全で合法な中絶の手段をひとびとに提供している全米家族計画連盟(Planned Parenthood Federation of America)への抵抗は依然として根強い。しかし、この全米家族計画連盟が提供しているのは中絶関連サービスのみではない。連盟が提供しているサービス全体で中絶関連サービスが占める割合はたったの3%だという。他にも健康診断から健康関連パンフレット配布などのサービスを行なっており、連盟のもとには女性、男性、トランスジェンダー、そしていずれのジェンダーをも自認しない人々が、毎年平均500万人も訪れている。ロサンゼルスの写真家、マギー・ウエスト(Maggie West)は、この団体を支援する人々を写真に収めるプロジェクトを立ち上げ、そこに多様性を浮き上がらせるべく活動している。プロジェクトの写真には、アルヴィダ・バイストロム、クレメンタイン・クリーヴィ(Clementine Creevy)、ペギー・ノーランド、アリア・ショウカット、そしてテレビ番組『ル・ポールのドラァグレース』の優勝者アラスカ・サンダーファックなどが被写体として起用されている。

「子どもの頃、避妊や女性特有の悩みに関して親と話すというのは、恥ずかしくてなかなかできませんでした。だから、全米家族計画連盟のような団体とサービスがあるというのは素晴らしいと思います」と、スタイリストのニキ・タケーシュ(Niki Takesh)は言う。「女性のエネルギーが持つ力というものは力強いし、私は女性という存在の神秘も信じています。だから、"女性が自分の体と人生において何が最適で最善であるかを自分自身で選ぶ権利"は何としてでも守られなければならないと思う」と彼女は話す。「私は身体こそ女性じゃないかもしれないけど、この時代に重要な意味をもつプロジェクトに参加できることを心から光栄に思っているの」。全米家族計画連盟とその利用者たちの未来が大きく左右されるであろう米大統領選も終わった11月9日、マギーにとって初となる個展がロサンゼルスのLeiminspaceで開かれ、このプロジェクトの写真シリーズが公開される。個展で販売される印刷物や商品の売り上げはすべて全米家族計画連盟ロサンゼルス支部に寄付される。マギーが、このシリーズに超常的なライトとカラーを用いることについて語ってくれた。

Clementine Creevy

このシリーズが生まれたきっかけと、これを全米家族計画連盟のためのプロジェクトとした経緯について教えてください。
チャリティのアートショーをやりたいとはずっと考えてきたんです。「全米家族計画連盟のために」というのはとても自然な発想でした。全米家族計画連盟は、避妊や健康関連サービスのことで悩んでいた私を大いに助けてくれた唯一の存在でしたから。私の周りの女性はほとんど連盟を訪れています。連盟への予算を政治家たちが奪おうとしている今、この団代の支援のため団結している人々をシリーズとして見せることは、とても重要だと考えたんです。

被写体はあなたが直接知っていた人たちなのでしょうか?それともインターネットなどを通して知り合ったのですか?誰を起用するかを決定するには、どのように選びましたか?
被写体になったのは全員が他のプロジェクトで知り合った人たちで、多くは私の前作「Kiss」や自作作品集「23」でモデルとして登場してくれた人です。ほかはインターネットで知り合った人たちですね。モデルやアーティスト、俳優・女優、作家、ポルノ俳優・女優、など、みんな素晴らしい人たちです。全米家族計画連盟の支援者がどれだけ多様性に富んでいるかを見せたかったんです。

被写体には、男性も、自らを女性と自認するひとびとも起用されていますが、ほとんどが女性ですね。この人選は当初から念頭においていたテーマだったのでしょうか?それとも制作の過程でそのようになっていったのですか?
今回の「Stand」では、男性と女性を織り交ぜるということがとても重要でした。「全米家族計画連盟を支援=シスジェンダー女性」というイメージが定着してしまっているような気がして。ですが連盟は、女性だけでなくアメリカ全土の男性やトランスジェンダー男性にも健康関連サービスや教育的サービスを提供しています。なので、このシリーズに男性がいるのはとても重要だったのです。

Peggy Nolan

"ジェンダー""アイデンティティ"という概念を探るプロジェクトにも着手しているそうですが、それについて教えてください。
来年の春頃、『23』という写真集を刊行します。今回の「Stand」シリーズ同様、『23』でもカラーフィルターを用いた照明でヌードを撮っているんです。『23』では、ジェンダー・アイデンティティとセクシュアリティを模索してみたかった。ヌード・フォトグラフィの本はたくさん出ているけど、そのほとんどが「男性だけ」「女性だけ」といった内容で「そこにトランスジェンダーの人々が含まれることは皆無だ」と気づいたんです。また、ヌードを扱った本の多くは「男は男らしく」「女は女らしく」見えるお決まりのポーズが目立つというのも気になりました。『23』では、そういった「男性・女性」という二分化された世界観ではない方法でジェンダーやセクシュアリティを表現したいと思いました。

キスをするカップルを捉えた「Kiss」シリーズからも、体液を被写体とした「Fluid」シリーズからも作品を展示するそうですが、今回のショーで展示されるすべての作品に関係性を持たせて、何かを物語ろうとしているのでしょうか?
すべてを一同に展示するということは考えていませんでしたが、もともと私の作品には「親密な関係とセクシュアリティの本質」という一貫したテーマがあるので、どの作品も良い感じにまとまると思います。

Stephanie Angulo

Darcie Wilder

Luka Fisher

Gina Canavan

Coneja

Niki Takesh

"Stand" opens at Leiminspace in Los Angeles on November 9. 

Credits


Text Hannah Ongley
Photography Maggie West
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.