ファッションクリエーターは大学初日に何を着たのか?

クリエーターの成功/失敗談を学んで、教室をキャットウォークに変えよう。

by James Anderson; translated by Nozomi Otaki
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25 March 2019, 5:01am

ファッションクリエーターの卵にとって、大学初日は単なる新生活の始まりではない。自らのスタイルがこの先ずっと褒め称えられる(または悔やみ続ける)ことを決定づける瞬間でもある。新学期が近づくなか、ファッションを志す1年生は鏡には貼りつき、服やアクセサリーを山のように積み上げて、様々なメイクやヘアスタイルを試しながら、いったいどんな格好で学食デビューを果たすべきか、試行錯誤していることだろう。この悩ましい疑問をファッション関係者にぶつけ、彼らの大学初日の輝かしい、または悲惨なコーディネートを思い出してもらった。

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Simon Foxton

サイモン・フォクストン/スタイリスト、コンサルタント
セントマーチン・スクール・オブ・アート(現セントラル・セントマーチン) BA ファッション 1980年度入学

「当時は白に近い金髪で、サイドを刈り上げて上のほうを伸ばしてた。服装はネイビーブルーの軍服ジャケットにお揃いのジョッパーズパンツ、サムブラウンベルト、白シャツ、薄いブルーのネクタイ、古着の軍物のリュックサックとブーツ。ほとんどLaurence Cornerという軍の放出物資の店で買ったもの。残念ながらだいぶ前に閉店しちゃったけど。他の学生の反応は覚えてない。みんな自分のことで精一杯で、他人の服装を気にする余裕なんてなかったと思う。ただ、僕は入学前の1年間、ファウンデーションコースを受講してたから、みんなよりちょっとだけクールでこなれてたと思う。初めてセントマーチンの空気を味わった学生よりは馴染んでたかな」

ピーター・ヤンセン/サバンナ芸術工科大学准教授
セントラル・セントマーチン MA ファッション 1997年入学

「ベージュのコーデュロイのLevi’s、茶色のコーデュロイのボンバージャケット、ニットのマフラー。トップスは覚えてない。顔が半分くらい隠れる大きなメガネをかけてた。ちょうどロングヘアからショートにしたばかりで、確かヤコフォームの靴を履いてたから、全体的に美術の先生みたいな雰囲気だった。肌はピチピチだったけど。おしゃれで垢抜けた学生ばかりだったから、僕はオタクっぽかったかも。デザイナーのロクサンダ・イリンチックもいて、すごく幅の広いベルトをしてたから、腰が悪くて固定してるのかと思ったんだけど、実はMaison Margielaのベルトだったんだ!」

ジュリアン・ガニオ/スタイリスト、ファッション・コンサルタント
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション ファンデーションコース 1998年度入学

「STÜSSYの茶色のバギーパンツ、70年代のGabicciの黄色と白のストライプのポロシャツ、The Great Frogのシルバーのリングとブレスレット、NikeのAIR MAX UPTEMPO 97。頭はつるつるのスキンヘッドだった」

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Navaz Batliwalla

ナヴァ・バトリワラ a.k.a. DisneyRollerGirl/スタイリスト、ジャーナリスト、コンサルタント
エプソム・スクール・オブ・アート(現在のUCA芸術大学)HND(Higher National Diploma:高等国家ディプロマ) ファッション・プロモーション&イラストレーション 1991年度入学

「90年代前半は、既存のスタイルに逆らうレイヴファッションの全盛期だったから、入学初日も力の抜けたコーディネートにした。ちょうどヨーロッパの列車旅行から帰ってきたばかりだった。旅行中はミコノス島でパーティざんまいで、お決まりのスタイルは古着のオーバーオールとTHE STONE ROSESみたいなバケットハット。入学初日は、オーバーダイ加工のLevi’s 501にミチココシノのロゴ入りジップジャケットを合わせて、Walter Van Beirendonckの長袖Tシャツを腰に巻いた。これが私の定番スタイル。ハンドバッグ代わりのミッキーマウスのランチボックスもね。あのころは、中性的なスタイルとかオーバーサイズのアイテムが流行ってた。みんなスニーカーかバイカーブーツで、ヒールならVivienne Westwoodのロッキンホース・シューズ。クラスの女の子たちはブリーチしたベリーショートで、男の子はボブだった。私はボブで、ヘアバンドを巻いて赤リップを塗ってたから、あだ名がベティー・ブーだった。クラスメートはだいたい同じような格好をしてた。Levi’s 501のカラージーンズかヴィヴィアンのポルカドットデニム、adidasのスーパースター、Jean Paul GaultierとかJohn Richmondのジャケットのドレスダウンスタイル。私の服装も大して変わらないけど、そこまで悪くなかったと思う」

ジュリー・ヴァーホーヴェン/アーティスト、デザイナー
メドウェー・カレッジ・オブ・アート&デザイン(現UCA芸術大学)BTECファッション・ディプロマ 1985年度入学

「面接の日に何を着たか思い出せなかったから、その日に初めて会った友達のアンに聞いてみた。アンによると、『逆毛を立てたブロンドから何本か毛が飛び出していて、カラフルなメイクをしてた』みたい。でも入学初日はサイドを刈り上げた茶髪のお団子頭で、オーバーサイズの白のコートを羽織っていたから、アンは私に気づかなかったみたい。そのあとは髪が伸びるまで、茶色のバンダナやレオパード柄のベルベットのベレー帽で、残念な髪型を隠さなくちゃいけなかった。眉毛を黒く太く描いてごまかしてみたり。ゴシックな雰囲気を出したくて、カールした短い黒のエクステをつけて登校したこともある。周りからは冷たい目でみられた。大学は隠れ家みたいで居心地が良かったけど、通学中は大変だった。確かに、魅力的にみせる努力なんてまったくしてなかった。それは自覚してるけど、このスタイルは私の無言の抵抗で、不思議と自分の自信につながった。この想いは今も変わってない」

ヘンリー・ホランド/デザイナー
ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション ファッション・ジャーナリズム 2001年度入学

「EVISUのインディゴデニム、The Duffer of ST.Georgeの黒とグレーのパーカー、ネイビーとオレンジのNike ACG。最高にカッコいいと思ってたけど、今考えるとALL SAINTSのメンバーみたいだった。僕にとって、第一印象とは自分がどうみられたいか、そして大学生活をどんな仲間と過ごしたいかを決める重要なものだった。あの格好、懐かしいな」

シュー・ジー a.k.a. Xuzhi Chen/デザイナー
セントラル・セントマーチン BA ウィメンズウェア 2012年度入学

「通学初日にドレスアップするのは楽しかったけど、すごく緊張した。できるだけ目立ちたくなかったから、Nikeのランニングシューズ、ブラックデニム、ブラックのシンプルなプルオーバーで、オールブラックのコーディネートだった。この日にプロジェクトのグループ分けがあったんだけど、なんと5、6人いたメンバー全員がオールブラックで笑っちゃった。セントマーチンには個性的な学生が多かったけど、最初のプロジェクトのグループがみんな黒づくめだったから、同じような考えの学生もいるんだ、って何となく安心した。彼らとはその後の大学生活もずっと仲が良かったよ」

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Luke Day

ルーク・デイ/英国版『GQ Style』エディター、英国版『GQ』ファッションディレクター
サリー・インスティチュート・オブ・アート・アンド・デザイン(現UCA) HND ファッション・プロモーション&イラストレーション 1995年度入学

「入学式のために髪をブリーチして、短髪を分けてジェルで固めてた。服装は黒のタイトな半袖ハイネックTシャツ、Hyper Hyperのサテンジーンズ、Patrick Coxの黒のローファー。それから、ドナテラ・ヴェルサーチのコレクションが似合いそうな日に焼けた肌。エリザベス・アーデンのエイトアワークリームを塗ってたから、唇はテカテカだった。全体的にはジェイソン・ブルックスが描いたPushca(ロンドンのクラブ)のフライヤーのイラストとか、Gucciの2006年春夏コレクションみたいな雰囲気。それか『Top of the Pops』で「You’ll See」を歌ったときのマドンナ。極めつけは、キース・マーティンとナジャ・アウアマンの髪色を混ぜたみたいなブリーチヘア。大学は小さなファッションカレッジで、ゲイの男の子は少なかったから、クラブに行くような格好のブロンドで中性的な僕は相当目立ってた。当時は誰にもカミングアウトしてなかったけど、すごくゲイっぽかったと思う。しかもかなり幼くみえたはず。実際、僕はコースのなかで最年少だったけど」

ライアン・ロー/デザイナー
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション ファンデーションコース 2006年度入学

「『プロジェクト・ランウェイ』シーズン13のローラ・ベネットを観て、デザイナーといえばオールブラックだと思ったから、全身真っ黒だった。僕の格好はすごくシンプルだった。当時は16歳で、数日前にロンドンに引っ越してきたばかりだったし。子どもの頃から着てた服だよ。生まれて初めて髪を自由に伸ばせるようになったから、70年代のマレットスタイルにした。今思うと変な格好だけど、みんなそうだよね。ファッションというものがよくわかってなかった。H&Mのオーナーはステラ・マッカートニーだと思いこんでたし、ZARAとESCADAを同じブランドだって勘違いしてた。それからCHANELをチャンネルって読んだり。何となく想像つくよね」


This article originally appeared on i-D UK.

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