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放とう、2020年型のポップミュージックを

ByYuuki Miharaphotos byShun Komiyama

完全独自の音楽性を追求するヒップホップバンド、踊Foot Works。謎多き期待の新星にタレント・モデルの三原勇希がインタビューした。

2016年末に結成され、今年3月に1stアルバム『ODD FOOT WORKS』をリリースした踊Foot Worksという新星バンドがいる。ヒップホップをベースに、生バンドのグルーヴを活かしクリエイトする彼らの音楽像は、新時代のポップミュージックと呼ぶにふさわしい求心力を誇っている。5月の初ライブ以降、その音と存在が右肩上がりに注目を集めている踊Foot Works。彼らが掲げるテーマは「もっとPOPをDOPEに、ずっとDOPEをPOPに」。今回、インタビュアーを務めるのは、音楽愛好家としても知られるタレント・モデルの三原勇希。初ライブや今夏のフジロックのステージも目撃し、早い段階から踊Foot Worksに熱視線を送っている彼女が、バンドの実像に迫った。

──2017年、踊Foot Worksすごいペースで駆け上がっていると思うんですけど、そういう実感はありますか?

SunBalkan(Ba.):それがないんです......。

Fanamo’(Cho/DJ.):みなさんのおかげすぎます。

Tondenhey(Gt.):別のインタビューでも訊かれたんですけど、フジロックが決まった瞬間が、一番メンバーのテンションが高かったんです。でも、フジロックのライブが終わったら「楽しめたね~」っていう感じで(笑)

──私自身、バンドの初ライブを観たことってこれまでなかったんですね。だから、すごく踊Foot Worksが活躍するのがうれしくて。そもそも踊Foot Worksを知ったきかけは、私がMCを担当しているスペースシャワーTVの「ヨルジュウ」という番組に赤い公園がゲストで出演してくれて。毎回ゲストには事前にアンケートを書いてもらうんですけど、そこに「最近オススメの音楽は?」という項目があるんですね。メンバーがみんな「踊Foot Works」って書いてたんですよ。

全員:ありがたいっす!

──実際に私もフリーダウンロードでリリースされた1stアルバム『ODD FOOT WORKS』を聞いてみたらすごくカッコいいと思ったんです。すぐに口ずさめるキャッチーさがあるんだけど、サウンドはドープな面もあって。Pecori(Rap.)くんに「どうやってあのアルバムはできたの?」って訊いたら「テキトーに作ったらできました」って言ってましたよね(笑)

Tondenhey:カッコつけてんなあ(笑)

Pecori:でも、あのアルバムは実際にそうで。売れたいと思って作ったわけでもないし。当時は就活もしていたし、そこから逃げたいから音楽を作っていた感じです。

Tondenhey:俺は内定者研修まで行ってたからね(笑)結局、留年しちゃったんですけど(笑)、内定者研修に行く電車の中でずっとトラックを作ってました。トラックを作りながら「帰ったらメンバーが待ってる」と思って。

Fanamo’:最初に形になった曲が「Tokyo Invader」だったんです。

──めちゃくちゃいい曲ですよね。大好きです。

Fanamo’:「Tokyo Invader」はTondenheyが作ってきたんですけど、デモの段階からすごくいい曲でした。彼はもともとジャズ研に所属していたので、そこにいるピアニストにも手伝ってもらって、トラックがどんどんブラッシュアップされていきました。この曲ができたときはみんなで「売れたな!」って調子に乗りましたね(笑)

Pecori:Tondenheyはそれまで全然トラックメイクしたことがなかったんですけど、踊Foot Worksを組んだときに「おまえもやってみたらいいじゃん」って勧めたんです。

Tondenhey:それまで作曲をしたことはなかったんですけど、自分の中でやりたいアイデアがいっぱい溜まっていて。「Tokyo Invader」は僕が作ったトラックにPecoriがメロディとラップを付けて完成しました。

──Pecoriくんはどんなときにメロディやラップが出てくるんですか?

Pecori:メロディだったら風呂に入ってるときに一番神ががったやつが出てくるんですよ。めっちゃ大声で歌うから隣人に「うるせー!」って怒られるんですけど(笑)

──『ODD FOOT WORKS』をフリーダウンロードでリリースした理由はなんだったんですか?

Pecori:俺は踊Foot Worksの前に角巛エンタープライズというユニットを組んでいて、フリーダウンロードでリリースした最初の作品はまあまあの数の人が聴いてくれたんですけど、その次に1枚、100枚限定で盤をリリースしたんですね。今、それが家に80枚くらいあります。自分たちで積極的に売る気もなかったんですけど、盤だとマジで売れなかったんですよね。プロップスも全然ないし。だから、『ODD FOOT WORKS』も名前を広めるためにフリーでリリースしようと思ったんです。

Tondenhey:チャンス・ザ・ラッパーの影響もあったし。

──チャンスにはフリーダウンロードでリリースするやり方以外にも影響を受けてますか?

Pecori:かなり受けてますね。音楽的に受けてる部分も多いし、「3」という数字にこだわるところとか。チャンスのマーチャンダイズも「3」がキーワードになってるじゃないですか。俺たちも最初はメンバーが3人だったし、『ODD FOOT WORKS』をリリースしたのも3月だったし、初ライブも5月3日で。けっこう「3」に縁を感じる出来事が多いです。

Fanamo’:今、三原さんにインタビューしてもらってるのもそうだし。

──チャンスからの影響もありつつ、踊Foot Worksが目指す音楽性はどういうものですか?

SunBalkan:個人的にはまだ決めたくないと思っています。

Fanamo’:4人のフィーリングが合う音楽的な場所があって、それが合致したときに曲になるというか。誰かがデモのアイデアを出しても、みんなが響かなかったら却下されることもあるし。

Pecori:最近はブルーマンみたいなバンドになりたいとは思ってますけどね。

──ブルーマンってミュージシャンではないですよね(笑)

Pecori:メンバーの顔が真っ青にペイントされているパフォーマンス集団なんですけど、ライブの見せ方もカッコいいんです。そこらへんにある配管をつないでドラミングするんですけど、その配管の位置を変えると音が変わるんです。それで一つの軸を作ってからライブが始まるんですよ。

Tondenhey:背後に楽器隊がいてね。

SunBalkan:ちなみに俺は、全くそうはなりたくないです(笑)。個人的な意見ですけど、何事も「こういうものだ」と決めつけつる考え方が大嫌いで。メンバーの中で俺が一番音楽的なルーツやバックグラウンドが離れてるんですよ。ブラックミュージックやヒップホップもみんなより全然知らなくて。でも、3人が俺と被ってるギリギリのポイントを見つけてくれて、このバンドに入ったんです。たとえばレイ・ハラカミがめっちゃ好きなんだけど、踊Foot Worksとはまた別に全然レイ・ハラカミとは関連性のないバンドを組んでたりするんです。

Fanamo’:ルーツが違うからいいというのもあるけどね。

──Pecoriくんがラッパーとして影響を受けたのはチャンスの他に誰がいますか?

Pecori:一番はチャンスとPSGですね。ハードめな日本語ラップも大好きで聴いてたんですけど、自分はそういうタイプのラッパーではないと思っていて。自分のバックボーンをメッセージに変換するというよりは、そこに幅を持たせて多幸感を表現したいなと思ってます。

──確かに踊Foot Worksには陽のムードがありますよね。リリックは曲ごとにストーリーを描くんですか?

Pecori:自分の中で脚本を書くような感じで、架空の世界を妄想したりしますね。

──言葉の響きも面白いですよね。

Pecori:言葉の響きはすごく重視してますね。

SunBalkan:僕はこれまでラップを全然聴いてこなかったんですけど、Pecoriのリリックは本当に興味深いですね。ヒップホップの知識は全然ないけど、この人はすげえ魅力的だと思ってます。

──いい話ですね。現在制作中の新曲も聴かせてもらったんですけど、またモードが変わってますよね。すごくカッコよかった。

Pecori:どんどん変化してますね。たとえば「Tokyo Invader」だけ聴いて、「こういうバンドなんだ」ってくくられるのはイヤなので。

──カメレオン的なバンドでありたい、と。

Pecori:はい、これからどんどん変わっていくと思います。

SunBalkan:このバンドにいて一番楽しいのは、そのときやりたいことをアウトプットできることなので。

Pecori:ソロ作品も出したいしね。

Tondenhey:サビは分割して作ってるからわかりづらいですけど、よく聴けば誰がメインで書いた曲かわかると思うんですよ。ソロ作品でそれぞれの色を出したアルバムを作ったら面白いんじゃないかなって思います。

Fanamo’:好きな音楽が合わないから一緒にバンドができないという考えではなく、もともと偶発的に集まって、共通点を見つけて一緒に曲を作り、ライブをやってるのが踊Foot Worksの醍醐味だと思うんです。だから、メンバーがみんな依存してないんだと思うし。

──なるほど、今っぽいあり方ですね。

SunBalkan:逆に踊Foot Worksのメンバーになったことで、自分がそれまで持っていたものも変化してきてると思うんですよね。それが面白い。