Courtesy Chanel

Chanel オートクチュール:ココ・シャネルの幼少期を辿って

最新のChanelクチュールショーで、ヴィルジニー・ヴィアールが賛美したのは〈慎み深い女学生〉の姿だった。

by Osman Ahmed; translated by Ai Nakayama
|
04 February 2020, 4:11am

Courtesy Chanel

Chanelは最新のオートクチュールショーで、ブランドの始まり、すなわちココ・シャネルの幼少期を再訪した。彼女の幼少期は必ずしも幸福に満ちていたわけではない(彼女は父親により孤児院に預けられた)が、彼女のスタイルのヴィジョンが形づくられた、核となる時期だ。彼女が預けられたのは、フランスのオーバジーヌという片田舎にある修道院が運営する孤児院。

修道女たちのモノクロームの衣服、石畳、ステンドグラスの窓の、図形が織り合わされたような幾何学的なデザイン、寄宿生たちが身につける小さな襟、かちっとしたスモック。それら全ての要素が、まるで少しずつ浸透していくように、のちのクチュリエールとしての彼女の作品に現れることになる。

それから100年以上経った今、ヴィルジニー・ヴィアールが改めてそのルーツを辿り、物干し用ロープに干された洗濯物に囲まれた修道院の菜園を再現した。

1579627807804-01_LOOK_01

菜園はあえて草がぼうぼうと茂った荒れた状態だったが、Chanelのトップに立ったヴィルジニーは、自らが、控えめではないとしても、洗練されていてスマートだと示してきた。約2年前、ファッション業界における最大、最恐の人物の後を継ぐためにスポットライトの下へと登場して以来、彼女は、ブランドの創始者でクチュールメゾンに今もなお名前が掲げられている唯一の女性であるココ・シャネルへの敬意を大事にする、というヴィジョンを明確に打ち出してきた。

1579627853201-02_LOOK_13

会場のセット同様、コレクション内容も新鮮なまでにシンプルだった。「私がこのショーで面白いと思うのは、洗練されたオートクチュールとシンプルなロケーション、というパラドックスです」と彼女は語る。「(学校の)寄宿生、女学生、そして、かつて子どもたちが着ていた衣服というコンセプトも気に入っています」

1579627898200-05_LOOK_28

細かいレースやリネンのピーターパンカラー、ペルリーヌカラーが飾るショート丈のツイード。これまで誰も見たことのないほどにシックな制服だ。コレクションほぼすべてがブラックかホワイトで、それぞれのルックに合わせられているのはコケティッシュな白のタイツとソックス、ベルベットのローファー。まるで、寮母によって厳しく強制されるドレスコードに従っているような雰囲気だ。ノーメイク風メイクにぴったりとなでつけられた髪。アクセサリーやジュエリーも見当たらない。全体的に、何よりもシンプルでシャープだ。

1579627911822-07_LOOK_37

ジジ・ハディッドが着用していたブラックのプリーツ入りシフォンドレスは、太ももあたりからスリットが入り、スパンコール付きのベルトでウエストマークされている。まさに〈Less is more〉を体現する究極のアイテムだ。「家を出る前に、何かひとつ置いていくこと」とココも言っていた。控えめに装うべきなのだ。

1579627925618-03_LOOK_19

かっちりした制服、あるは教員が着ている上っ張りのようなアイテムだけでなく、聖餐で着るドレスも登場。細かい装飾は多いものの、シンプルな美しさが際立つ。カイア・ガーバーが着用していたふわっと広がるレースドレスには、黒のオーガンザのケープレットにより流れるようなシルエットが生まれていた。

ショーの後半、イブニングウェアのセクションは徹底的にシック。レースパネル付きのツイードカーディガンにキノコの笠がふたつ並んでいるようなスカート。アドゥ・アケチが着用していた、白のシンプルなスモックブラウスとロング丈のブラックスカート。大量のフェザーも、3メートルを超えるトレーンも不要だ。

このコレクションにおいては、悪魔は細部に宿り、厳格で控えめな中に贅沢さがある。ココの美学がこの上なく光る。

1579627939691-10_LOOK_62

This article originally appeared on i-D UK.

Tagged:
Paris
Chanel
Review
haute couture