Advertisement

『本当に僕じゃない!』『エクスプローディング・ガール』特集上映二本立て

「はみ出し者」映画の特集上映イベントの第7弾! ケベック産児童映画『本当に僕じゃない!』とゾーイ・カザン初主演作『エクスプローディング・ガール』が一日限定で上映。1月26日(日)渋谷ユーロライブにて開催。

by Takuya Tsunekawa
|
23 January 2020, 10:27am

2018年秋から始まった「はみ出し者」映画の傑作を二本立てで特集する上映イベント「サム・フリークス」の第7弾が、1月26日(日)に渋谷のユーロライブで開催される。

今回は、『ぼくたちのムッシュ・ラザール 』(2011)でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたフィリップ・ファラルドーによるケベック産児童映画『本当に僕じゃない!』(2008)と、2009年のトライベッカ映画祭でゾーイ・カザンが主演女優賞に輝いた『エクスプローディング・ガール』(2009)を日本語字幕付きで上映する(どちらも日本で劇場未公開、未ソフト化)。

『本当に僕じゃない!』は、ケベック映画界を牽引する監督フィリップ・ファラルドーの長編第3作で、窃盗や悪戯好きの10歳の嘘つき少年レオンが母親に捨てられたことで始まるドラマと、近くに住む少女レアとの関係を描いた児童映画。

本当に僕じゃない!, エクスプローディング・ガール, ゾーイ・カザン, サムフリークス, フィリップ・ファラルドー, ブラッドリー・ラスト・グレイ,
『本当に僕じゃない!』

両親のケンカが絶えない機能不全の家族の中で、狂言自殺をたびたび起こすレオンは、まるで『ハロルドとモード』(1971)のハロルドを幼くしたかのような男の子。しかし、それは心の痛みに対するまだ手段を知らない彼なりの身体的な反応、あるいは抵抗として発露している。

レオンが大人を騙くらかすためなら自傷も厭わない一方で、レアは継父から身体的虐待を受けている。ふたりの少年少女を対置されながら、フィリップ・ファラルドーは、奇行に走る彼を上から目線で悲惨な家庭の犠牲者のようには扱わない。感情を通して外界を体験していく児童ならではの感受性や自分は普通じゃないかもしれないという自意識を、ユーモアの感覚に代えて巧みにカラフルに表現している。

ウェス・アンダーソンが好きな方にもオススメの作品。バンクーバー映画批評家協会賞最優秀カナダ映画賞を受賞し、ベルリン国際映画祭のジェネレーション部門ではクリスタル・ベア賞とドイツ児童映画賞を受賞した。

本当に僕じゃない!, エクスプローディング・ガール, ゾーイ・カザン, サムフリークス, フィリップ・ファラルドー, ブラッドリー・ラスト・グレイ,
『エクスプローディング・ガール』

『エクスプローディング・ガール』は、春休みにNYへ帰郷した20歳の女子大生アイヴィ(ゾーイ・カザン)が、遠く離れた彼氏と久々に再会した幼馴染の青年との間で揺れ動く様を繊細に綴った青春映画。

タイトルは、アイヴィがいつ“爆発”するとも知れない癲癇を患っていることを表している。しかしその病状はあくまでも間接的にしか示されない。

スーザン・ソンタグは「過去の大きな流行病においては、各人はその災禍に見舞われた社会の一員として病気にやられたものだが、これとは対照的に、結核は個人を社会から切り離す病気とされたのである」と言ったが、むしろ例えば不眠症の女子大生を白黒で描いた『まどろみのニコール』のように、本作は感情的な状態を比喩を用いることでより表現するような機能を果たしていると言えるだろう。

また題名は、ザ・キュアーの「エクスプローディング・ボーイ」にもちなんでいる。この曲はシングル「In Between Days」のB面曲であり、監督ブラッドリー・ラスト・グレイの妻ソー・ヨン・キムの長編デビュー作『In Between Days』(2006)の題名はその同名曲から取られたものだった。

本当に僕じゃない!, エクスプローディング・ガール, ゾーイ・カザン, サムフリークス, フィリップ・ファラルドー, ブラッドリー・ラスト・グレイ,
『エクスプローディング・ガール』

グレイとキム夫妻は、お互いの作品で共同製作・編集を担っているが、実際、彼らのこの2作は姉妹関係/裏表の関係にある。彼らの作品は、共通して同じ空間にいるかのような親密さと手触りのあるミニマリズムな作風を有するが、例えばキムの『In Between Days』や『ラブソングに乾杯』(2016)と同様に、『エクスプローディング・ガール』もまた、深い友情のどこかの時点で愛との境界が曖昧になっていく様を見つめている。

本作はマンブルコアに属するとも評されるが、エリック・ロメールも彷彿とさせる統制された望遠のフレーミングは、明らかにより端正で洗練されている。魔法のように美しい作品。

劇場未公開の秀作をスクリーンで観られる貴重な機会をお見逃しなく!

なお、本イベントは今回もすべての子どもたちが社会から孤立することなく暮らしていけるようになることを目的とした学習支援や自立支援のために、有料入場者1名につき250円が認定NPO法人「3keys」へ寄付される。

本当に僕じゃない!, エクスプローディング・ガール, ゾーイ・カザン, サムフリークス, フィリップ・ファラルドー, ブラッドリー・ラスト・グレイ,

「サム・フリークス Vol.7」https://peatix.com/event/872276
日時:2020年1月26日(日) 会場:ユーロライブ(渋谷)
料金:2本立て1500円(入れ替えなし・整理番号制)
13:00~ 当日券販売開始
13:20~ 開場
13:35~『本当に僕じゃない!』上映
15:40~『エクスプローディング・ガール』上映

Tagged:
Film
some freaks