DJ NOBU「消費だけを前提にしないクリエイティブのあり方を模索している」【離れても連帯Q&A】

文化施設への助成金交付を求める「#SaveOurSpace」発起人であるDJ NOBU。しかし今日本が直面している問題は、一部の業界にとどまるものではないと彼は話す。コロナ以後の社会やクリエイティブのあり方とは?〈離れても連帯〉シリーズ第32弾。

by DJ NOBU and Sogo Hiraiwa
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01 May 2020, 8:00am

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって、日本ではいま、多くの文化施設が休業を強いられ、感染防止対策として、あるいは政府による“自粛の要請”によって。また「ステイ・ホーム」や「ソーシャル・ディスタンシング(距離をとること)」が求められ、人と人とのコミュニケーションはいまだかつてなく制限されています。

こうした中でわたしたちには何ができるのでしょうか。文化を維持するために、好きな人や場所を守るためには何が? 離ればなれであっても連帯するには? この"非日常"を忘れないためには? さまざまなジャンルの第一線で活躍している方々にアンケートを実施し、そのヒントを探ります。

今回は、署名運動#SaveOurSpaceの発起メンバーのひとりで、COVID-19感染拡大防止のための文化施設閉鎖に対する助成金交付案を菅官房長官へ直訴したDJ NOBUが登場。

離れても連帯, KEEP-DISTANCE-IN-SOLODARITY

──新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、今あなたが属している業界や産業はどんな打撃を受けていますか? 応援・支援するにはわたしたちに何ができるでしょう?

DJ NOBU:私が属している音楽業界だけでなく、あらゆる産業が壊滅的なダメージを受けています。もう自分の職種や業界にしばられず、すべての世界において再編が始まっていると考えた方がいいと思います。古いシステムが徐々に壊れ、再建を必要としていることが示されています。最大の問題は、代替案がまだないことです。何が正解かは誰にも分かりません。最も緊急な課題は、すでに廃業や失業に追い込まれ生活に困窮する人が沢山いるということです。業界や産業云々を考えるより、社会全体が壊れてしまったら元も子もありません。また、現在の日本政府がどれだけ残酷であるかが露呈されてきました。政治に関心を持ち、必要であれば大きい声をあげて行動しなければ、本当に生命が脅かされます。私たち一人一人がどういった行動を取れば社会全体の崩壊を避けられるのか、真剣に考えるべき。

──自宅待機以降に新しく始めたこと、もしくはポジティブな影響・変化がありますか?

DJ NOBU:精神力を鍛え、生活を見直している最中です。この影響はいつまで続くか見当がつきません。幸いなことに、今は世界中の人々がインターネットを介して、国境を越えて知恵を共有できます。思考を繰り返し、次の時代に備えています。

──コロナのビフォー/アフターで変化した自分の考え方や、社会への認識があれば教えてください。

DJ NOBU:私はこうなる前は消費社会にどっぶり浸かっていたと思います。今まで築き上げてきたものが、いとも簡単に崩れ落ちてしまい、今年計画していたことも全て吹っ飛びました。音楽業界だけでなく、社会と経済の状況が根本的に変わり始めていると感じます。これまでの消費社会から抜け出し、新たな価値観に基づいて音楽との付き合いや表現活動の仕方も考えていかなければならないと思っています。今の自分にとっては、非現実的な現実の中で創造するプロセスを楽しむこと、消費だけを前提にしないクリエイティブのあり方を模索することが大事になりました。

──今の気持ち・気分を音楽で表すとしたら?

DJ NOBU:Lonnie Liston Smith And The Cosmic Echoes ‎「VISION OF A NEW WORLD (Phase1)」

──自宅隔離中の人に試してほしい、オススメの行動やコンテンツを教えてください。

DJ NOBU:最近読んで面白かった本は二冊あります。まずはシモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』。哲学と幻想小説の橋渡しをするような作品です。生きる意味を考えていた私には、生きる上でのスタンスとして参考になりました。マーロン・ジェイムズの『七つの殺人に関する簡潔な記録』はレゲエ好きには特にオススメ。曲や歌詞を楽しみながらスリリングな展開で飽きなく読めます。ボリューム感が凄くて、なかなか読み終わらないことが難点なのかいいところなのかわからないですが。映画は『アンカット・ダイヤモンド』。ニューヨーク宝石市場を舞台とした一風変わったクライム・サスペンス作品です。OPNがサントラを担当しています。私の好みでなかったけど、このサントラはハマりまくっていて音楽が冴え渡っています。ドラマは『ダーク』がオススメ。ディープな人間の業をあぶり出していく、ドイツのSF作品で緻密なストーリーに仰天させられます。料理は食べる量が増えてしまったので、野菜中心の料理を工夫して作っています。

──2020年2月の自分に伝えたい・教えてあげたいことは?

DJ NOBU:希望的観測に流されるな。備えなさい。

──コロナ禍で人間の「良い面」も「悪い面」も浮き彫りになりました。見聞きしたなかで、忘れたくないと思う、印象的な出来事やエピソードがあれば教えてください。

DJ NOBU:私の周りの音楽シーンには、家にいたくてもいられないと訴える人たちが沢山います。仕事を続けなければ破産してしまうからです。その現実に絶望的な気持ちにもなりましたが、まずは自分が行動を起こさなければならないと思い立ち、議員会館に足を運びました。それが#SaveOurSpaceという仲間を持つことにつながり、さらに多くの人たちの賛同を得ることができました。ジャンルや職業を超えたコミュニティの力、そのネットワークの強さを実感できたことが、とても励みになっています。この経験は、今後もずっと忘れないと思います。

──コロナ禍が落ち着いた後、日本の社会にはどう変わっていってほしいですか?

DJ NOBU:既存の社会の枠組みが壊れて、新しい価値観に根ざした仕組みに転換していってほしいです。新しい社会では、弱者に寄り添い、誰もが人間らしく生活が送れるようになってほしいです。市民が当事者意識を持ち、政府を動かし、より良い社会を築き上げるようにならなければ。

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離れても連帯

Special Thank Kisshomaru Shimamura

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