グラムロックの欲望と悪徳を称えるRick Owens AW19

グレイス・ジョーンズ、KISS、そしてヴィーガン・スニーカー。

by Steve Salter; translated by Nozomi Otaki
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29 January 2019, 6:05am

リック・オウエンスが敬愛するデザイナーについて本を書いたのをご存知だろうか。今年10月にRizzoliから刊行される本書は、ニューヨーク生まれのデザイナー、ラリー・ルガスピ(Larry LeGaspi)、そして彼がパティ・ラベル、KISS、グレイス・ジョーンズ、ディヴァインなどに提供したアイコニックな衣装のヴィジョンをまとめた1冊。そして今、執筆を終えたリックが発表した2019年秋冬コレクション〈Larry〉で、彼がラリーから受けた影響が明らかになった。

「ジェンダーの境界を曖昧にするアール・デコ調のアイテム、大胆なブラックレザーなど、派手でインパクトの強いスタイルを、彼がメインストリームへと打ち出したことで、私を含め大勢の若者たちが自由になれた」とショーノートにはリック自身の言葉が綴られていた。ショー後にリックが語ったところによると、前述の著書はラリーだけでなく彼自身の記録でもあるという。「ラリーのエピソードは、私にとって聖書の逸話のような感じ。保守的な町で育った私は、ある日、ラリーの欲望と悪徳に満ちたスタイルに出会い、自由になることができた。活力、パワー、男らしさ、曖昧さ、性欲、悪徳がほとばしるような彼のスタイルにゾクゾクしました。そのおかげで今の私があるんです」

rick owens autumn/winter 19 menswear review catwalk

今では単なるファッションブランドではなく、ひとつのトライブ、家族へと成長を遂げたRick Owens。今シーズンも単なる衣服を超え、今の世界を解き明かすための哲学を提示した。片時も目を離せないモデルたちの行進だけでなく、転覆、抵抗、強さ、創造力を体現するショーだった。リックはここ数シーズンの不穏でダークな現実をとらえたコレクションを一新し、グラムロック的ファンタジーの世界で遊びつくした。シャープなパワーショルダージャケット、流れるようなラインのワイドパンツ、柔らかなニット素材のタンクトップ、タイトなブラックデニム、KISSの稲妻マークがあしらわれたナイロンベスト、超厚底のプラットフォームシューズがランウェイを飾った。「みんな神経質で保守的になりがちで、怒りが爆発しやすいこの時代、もっと派手なモノがあってもいいんじゃないかと思ったんです」と彼は説明する。「今の時代に何かしらの反応を示す手段はたくさんありますが、服はその第一歩。今シーズンのアイテムがちょっとやり過ぎなくらい大袈裟なのは、今の世界に対する反応を表しているから」

rick owens autumn/winter 19 menswear review catwalk

性、欲望、悪徳を称えるショーは、奔放で退廃的なムードに満ちていた。「15歳のころはひたすら荒んだ生活を送っていた」というリックは、こう続ける。「今でもちょっとだらしないところはあるけど、責任感も芽生えました」。この〈責任感〉が表れているのが、Vejaとのコラボアイテムであるヴィーガン・スニーカーだ。「彼らのメッセージをもっと広めたいんです。私がプロモーションが得意だから、というわけではなく、私たちが前に進むには不可欠なメッセージだから」

rick owens autumn/winter 19 menswear review catwalk
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This article originally appeared on i-D UK.