Day by day: ローレン・サイ interview

国内外で活躍するトップアーティスト8名が、NIKE AIR FORCE 1のアンバサダーに就任。そのアンバサダーのひとり、ローレン・サイがAIR FORCE 1をテーマにしたアート作品を発表した。

by Kaeko Shabana; photos by Fish
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dec 3 2018, 1:00pm

1982年にNIKE AIRを搭載したバスケットボールシューズとして誕生したNIKE AIR FORCE 1。これまで、バスケットボールのコートだけではなく、ラップ、ダンス、アートといったストリートカルチャーでも革命を起こしてきた。

11月1日(木)に最新モデルもローンチし、進化し続けるNIKE AIR FORCE 1を讃えるため、バスケットボール、ラップ、ダンス、アートと、国内外で活躍するトップアーティスト8名が、AIR FORCE 1のアンバサダーに就任。アート部門ではローレン・サイと、Taku Obataが選ばれ、11月23日(土)に東京で行われたバスケ、ラップ、ダンスの頂点を極めるバトル型イベント「BATTLE FORCE」で、NIKE AIR FORCE 1をテーマにしたアート作品を発表した。

今回、i-D Japanはアーティスト2名のインタビューを実施。ひとり目は、リアリティ番組「テラスハウス」の出演を機に一躍有名になり、現在はモデル、そしてアーティストとして活躍するローレン・サイ。彼女のアーティスト活動といえば、今秋発表されたNYのコレクションブランドとコラボレーションした、カプセルコレクションが記憶に新しい。23日(土)のイベントで発表したAIR FORCE 1の作品を制作中に、アーティストとして世界中から注目を集めているローレンの素顔に迫った。

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LAUREN WEARS NIKE AIR FORCE 1 SHOES. TOP & BOTTOM MODEL'S OWN.

──NIKE AIR FORCE 1 をテーマにした作品について。今回、AIR FORCE 1 のシューズをキャンバスに作品を描かれているとのことですが、経過はいかがですか?
まだ、アウトラインを描いている初期段階。シューズの写真を撮影して、コンセプトをiPad上で描いてみましたが、現状とても満足しています。実は明後日、LAに引っ越すので、向こうで作品を仕上げる予定。プロジェクトを手がけるときは、いつも時間の経過を楽しみます。スニーカーに絵を描くのは初めての試みだから、どんな感じで色が混ざって乾くのかとか、どう仕上がるのか楽しみですね。

──このプロジェクトに参加することが決まったときの感想を教えてください。
NIKE AIR FORCE 1は、ただバスケットボーラーのシューズだけではなく、ストリートに影響を与えた“カルチャー”であり、ひとつの“生き方”でもあります。このシューズは、バスケやダンスなど、その人が愛するものに人生を捧げているという象徴、ある種のメッセージ。今回、カルチャーを生み出したNIKE AIR FORCE 1のアンバサダーに任命されて本当に光栄です。

──NIKE AIR FORCE 1 の作品で表現されたいことはなんでしょうか?
この作品では、自分のアートに忠実な何かを表現したいと思いました。もちろん、シューズのデザインやシェイプを活かして、より魅力的に仕上げたい。ここにある実物は黒のアウトラインを描いた途中過程ですが、iPad上でファイナルイメージを描きました。作品の経過を見るのが好きなので、iPadの作業を動画として記録もしています。ベースカラーは赤、白、黒。NIKEのスウッシュを目立たせたかったので、遠くから見ると、人の顔だとわからないようにしようと考えていて。このふたつに別れた人の顔は、私の作品でよく出てくるモチーフ。これは私にとってとても忠実なシンボルで、私自身が探して求めていた人生とアートのバランスを意味します。シューズは2つで1ペアだから、パーフェクトなテーマだと。NIKE AIR FORCE 1が象徴する“Labor of Love(愛の労働)”にもぴったりですよね。私にとっての“Labor of Love”は間違いなくアートだから、このプロジェクトは挑戦的で、怖いものでもあります。でも、“Labor of Love”があるからこそ、人は前進できる。

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WITH HER NIKE AIR FORCE 1 (WORK IN PROGRESS).

──シューズに描かれている女性の顔ですが、これはご自身の投影でしょうか?
私も彼女が誰なのかわからない(笑)。アートとは何か、アートの目的とはなんだろうといつも自問していて。でも、その答えはきっとわからない。だから、自分が自然に感じるがまま、作品を描きます。私をわくわくさせて満足させてくれる何かを描くのが、ベストな表現方法。

──作品はいつも、即興で制作されるのでしょうか?それともスケッチなど、何かしら既存のアイディアがある

このNIKE AIR FORCE 1の作品に関しては今日ここでスタートさせました。今朝、スタジオに向かって歩いているときに考えていて(笑)。以前インターネットかどこかで、スニーカーのソール同士を合わせた状態で、内側にハートが描かれている写真を見かけました。そこから着想を得て、アイディアを発展させたんです。一足ずつ個別に描くより、1ペアでひとつの作品に仕上げたかった。でも、普段の作品はもっと即興的です。その瞬間に応じて取り組む方が、プロジェクトに入り込みやすいし、ベストワークを生み出せる。

──では、インスピレーションもそのときどきに感じているもの。
そうですね。作品のインスピレーションはその日に感じていることが多いです。悲しさ、幸せ、寂しさ、怒り。長期間にわたってひとつの作品を仕上げるときは、パズルをやっている感覚に似ています。ペインティングは、終わりがないものですよね? 終わりは自分で決める。だからとても面白いんです。アートは私にとってふたつのもの。ひとつは、自分の内面を観察して人生を理解するもの。もうひとつは、新しい挑戦をみつけるもの。だから目的によってインスピレーション源も変わってきます。そのときの感情を出しているのか、それともストーリーを紡ぐものなのか。

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SHOE NIKE AIR FORCE 1. TOP & BOTTOM MODEL'S OWN.

──絵を描き始めたのはいつですか?
物心ついたときからずっと絵を描いていたと思います。母によると、2歳ぐらいのとき。夜、ベッドに入る前にナイトスタンドの明かりの下、クレヨンで絵を描いていたのを覚えています。そうやって自然にアートに興味をもち始めました。それから、ハワイで通っていた仏教の高校で、アートの基礎クラスを受けていました。ひとクラス15人と少人数制の学校で、基礎クラスではコップの模写とか本当にベーシックなことを学びましたね。高校以外では毎週月曜日に、人物のデッサン教室に通っていて、それがすごく楽しかった。

──ドローイングのほかに、違う媒体でアート作品を作った経験があれば教えてください。
実は、あるプロジェクトで、私のドローイングのキャラクターを彫刻で作成しています。それが楽しくて。芸術は答えがないから素晴らしい。ひとつの方法で作らなければいけないとか、これはこうしなければいけないとかっていう決まりはない。そうやって自由に作品を作りたい。いろんな方法を試したかったんです。結局、芸大に進まなかったのもこれが理由でした。

──あなたは、アメリカのマサチューセッツ州で生まれ、ハワイで育ちました。まもなく、LA に移られてしまいますが、今までは東京を拠点に活動されていました。日本の文化に興味をもったのは何がきっかけだったのでしょうか?
ハワイに引っ越してから、日本のアニメ、日本語、日本食と、とにかく日本の文化がまわりにあふれていた。なかでも、日本のアニメが私の心に触れたんです。物語、音楽、すべてが感動的でした。当時、高校で孤独を感じていて、そこから救ってくれたのが日本のアニメ。ジブリの作品は特に影響が大きかったです。それが私の心奥深くに入り込んだ。日本の文化のこと、アニメのことをもっと学びたいと思い、15歳のとき交換留学生として、6週間ほど広島の高校に通いました。モデルの仕事もそのとき始めたのですが、次第に、 “もしかしたら”という感情が私の中に芽生え、日本でモデルをフルタイムでやりたいと思うようになりました。この“もしかしたら”という気持ちを追求することにして日本に拠点を移しました。

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SHOWING THE FINAL IMAGE OF AIR FORCE 1 PROJECT ON HER IPAD.

──あなたを突き動かし、前進させるものとは?
言葉にして表現するのは難しいんですけど……私たちは自分たちの現実や、生活の大半をコントロールできます。人生を謳歌したいし、そのために頑張っている。夢を叶えるために、最善を尽くす。それは自分にしか、自分の夢を叶えることができないからです。自分の人生に誇りをもって、幸せになるために前進することが、たったひとつの選択だといつも思っていました。だけど、私はずっと、幸せではなかったと気づきました。理由は、他人が求めることをやっていたから。クールで、パーフェクトで、キュートなローレン。少しも自分じゃない誰かになろうとしていた。一日が終わると、すごく虚しい気持ちになっていました。モデルという職業が、そうさせてしまうこともあると思うんです。周りは、「すごい成功してるね!」とか、「ファッションショーに出るんだね!」とか称賛してくれましたが、私は少しも幸せじゃなかった。自分のためにやっていたことではなかったから。それで、自分のために毎日を生きることが幸せになれる唯一の方法だと気づきました。これは、みんなに伝えたい私からのメッセージです。私たちは人から、こうした方がいい、ああした方がいい、インスタではこうするのがいいと、いろんなことを言われます。人生でもっとも難しいことは、自分に自信をもつことなのかもしれません。それは、とても重要なこと。大切だから、怖い。これが、みんなが直面しているバトルなのだと思います。だからこそ、自分自身のために戦うことはとても重要。

──自分を奮い立たせて、才能を見せつける瞬間はありますか?
この世界に自分が生きた証しを残したい。自分のために何かをしたいんです。いつか自分のプロダクション・スタジオをもつことが夢です。ディズニーのような。壮大な夢ですが、挑戦したい。実現するまで、何もリアルじゃない。でも、可能性はある。アートは、私という人間が誰なのかを他人に伝えるものです。そして、アートが、私に似た人と繋げてくれる。だから、自分自身を表現して世に出していくことはとても大切。人はそれを好きじゃないかもしれないし、理解してくれないかもしれない。怖いけど、自分にとって何がリアルかを見せないと、それを気に入ってくれる人たちに出会うことはできない。

──10 年後の自分はどうなっている?
まったく見当もつかない! 去年は、今年経験してきたことをやるなんて想像もできなかったし。その前の年だってそんな感じでした。いろんなことが急速に起こっていて、クレイジー。でも、そうやって生きていきたい。自分をボックスのなかにとじこめてしまうのではなくて、つねに自分に正直でありたい。アメリカでは働けない、だって私みたいな容姿の女優はいないから……って、なんでこう考えちゃうんだろう? こんな考え方で、自分の可能性を潰すのはよくない。でも、人ってすぐに言い訳を思いついて、“できない理由”を考えてしまいますよね? 私はただ一日一日を生きようとしているだけ。今日という日を生きたら、いい一週間になるし、いい一ヶ月になる。そして、いい一年になるかもしれない。これが今の私にできること。Day by dayです。

NIKE AIR FORCE 1
www.nike.com/jp/ja_jp/c/force

BATTLE FORCE
nike.jp/battle-force(モバイル専用サイト)

Credits


Photography Fish
Interview & Text Kaeko Shabana

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