「私たちはどこにでもいる」ウィーン発のブランド、Kids of the Diaspora​の挑戦

「私たちは自分自身を正当化したり、説明したりする必要はないんです。堂々としているだけでいい」ディアスポラ・コミュニティ出身の28歳がウィーンで立ち上げたブランド、Kids of the Diaspora​(キッズ・オブ・ディアスポラ)。デザイナーのレニ・チャールズがそこに込めた想いとは。

by Marieke Fischer
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21 June 2019, 3:42pm

This article originally appeared on i-D DE.

ヨルバ民族の血を継ぐ娘として、オーストラリアにある白人ばかりの村で育ったレニ・チャールズ(Leni Charles)は、いつも自分のクリエイティビティが発揮できずにいた。そんな彼女が28歳のときにたどり着いたのが、Kids of the Diaspora(キッズ・オブ・ディアスポラ)だった。このブランドが発信するメッセージは、性別や皮膚の色を問わず、多様性を認め合い、誰もが自由のために、自由に自分のあり方を選べる、すべての文化を受け入れる寛容性だ。このブランドは、マイノリティとそのボーダーラインの概念とは何か?という疑問を私たちに投げかけてくる。

彼女はどうしてブランドを立ち上げたのか。i-Dはレニ・チャールズにきいた。

--さっきこの辺りを歩いていて、ウィーンは多様性のない町だという印象を受けました。この感覚は当たっているでしょうか?
ウィーンはオーストリアで最も多様性のある町じゃないでしょうか。他の国際都市と比べるのは難しいのですが……どう説明しましょうか。私はウィーンではなく、小さな村で育ちました。10代のころは父が住むニューヨークにも時々行っていました。なのでその両極端な環境が、私にとっては自然なんです。そうした状況で育った私の感覚から言えば、ウィーンはとても多様性のある町だと思います。

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--地元の村とウィーン、ニューヨークを行き来しながら育つのはどうでしたか?
いいものでしたよ。子どもは冒険心に溢れていますから。ただ気楽なことばかりではありませんでした。私たち姉妹は地元で唯一のアフリカ系の女の子だったんです。毎日のように差別に遭いました。状況が好転したのは、ウィーンに引っ越してから。そこでようやく、同志と呼べる人たちと出会うことができました。

--Kids of the Diasporaを立ち上げたキッカケを教えてください。
特にこれというキッカケはありませんでした。どちらかというと、私が長いあいだ考えていたことの結果です。たとえば友人たちと話していて、そのうちのひとりが個人的な差別体験を話すと、「私も同じ体験をした」「すごく共感する」といった反応が出てくる。私の周りではよくあることです。体験を共有することには、魂に安らぎを与える効果があるのかもしれません。私たちは自分自身を正当化したり、説明したりする必要はないんです。堂々としているだけでいい。こういう考え方から、Kids of the Diasporaは生まれました。

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--今のオーストリアの政治情勢をどう見ていますか?
排外主義的な政治のために、多くの人が差別的な行動に後ろ盾を得たように感じています。だからこそ私は、差別主義やナショナリズムに異を唱えるすべての人を誇りたい。敵味方でわける思考法を乗り越えて、私たちが互いに歩み寄れるような方法を見つけられるよう祈っています。

--このような状況で、Kids of the Diasporaはどんな役割を果たすのでしょう?
和解への尽力です。私たちの目標は、平和な集団生活の実現とエンパシー(他人の身になって考える力)への強い信頼をもたらすことです。キッズたちには私たちと一緒にいたら、必要なときにはいつでも避難できる場所が見つけられると知ってほしい。いつどんなときでも。世界中からメッセージが送られてきて、彼らがKids of the Diasporaを見つけたときの喜びを伝えてくれています。彼らはこのブランドを“自分たちの”ものとして認識しているんです。出身地は関係ありません。愛情や他者への理解、自分の行動を省みることができるかの問題です。このブランドは、今世界のどこかで途方に暮れているディアスポラのキッズへの温かいオマージュ(敬意)なんです。そして、今立ち上がろうとしているすべての人、若い世代のロールモデルになろうとしている人へのオマージュでもあります。Kids of the Diasporaが伝えたいのはこういうことです--〈私たちは自分たちが考えるより近い存在で。私たちはどこにでもいる。私たちはひとつである〉

--どういった点で、あなたはディアスポラのキッズ(a kid of the diaspora)ですか?
精神は100%ディアスポラ・キッズです。

--どういう意味ですか?
言葉が通じなくても理解し合えるということです。私たちの見た目はバラバラでも、考え方は同じですから。

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--社会を変えるために私たちができることは何だと思いますか?
繊細なコミュニケーションをすることです。言葉は思いがけず飛び出てしまうことがある。一瞬にして。言葉が鋭どすぎて、論争のきっかけになったりもする。私たちは、自分の行動がどんな影響を与えるかを理解すべきです。人の立場に立って考えられるように、個人と個人の関係を尊敬できるようにならなければ。そして、物事をより丁寧に観察し、私たちは互いにとって必要なのだということを理解する必要がある。それが理解し合えたとき、私たちは強くなれるのです。

--若い世代には何を期待しますか?
愛の扱いかたを知ること。そして、人とその愛をシェアするのを恐れないこと。


Kids of the Diasporaの期間限定ポップアップストアが代々木上原の12XUにて開催中。

KIDS OF THE DIASPORA リミテッドショップ
期間:6月21日〜6月30日
場所:渋谷区上原1-33-16 12XU
TEL : 03-6804-7130

Kids of the Diaspora

Credits


Photos: Miguel Vera Casso and Marcus Riggs
Art Direction: Leni Charles
Styling: Ilija Milicic

Translation: Sogo Hiraiwa

This article originally appeared on i-D DE.

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