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Facebookとケンブリッジ・アナリティカを内部告発した者のスタイルが語ること

リアルなハッカーというより、映画やTVに登場するハッカーに近いクリストファー・ワイリー。それがこの一連の事件の進展をどの程度助けたのか。そして、彼自身の出で立ちがその意図を示唆していると明らかにすることができるだろうか?

by Sophie Wilkinson; translated by Aya Takatsu
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12 April 2018, 1:36pm

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「現代の不良とはどういうものか?」 バッドテイストの王ジョン・ウォーターズが、ちょうど1年前にそんな疑問を口にした。現代の不良は、母親の家の地下室からPCを使って「政府を破滅させる」のだと彼は嘆く。「ハッカーにはファッションがない。ハッカーからどんなファッションが始まったというのだ? 彼らは姿勢も悪く、外にも出ない」

クリストファー・ワイリーはどうだろうか。ファッションの流行予測で博士号を取得した、このピンクヘアでヴィーガンの青年は、先日ケンブリッジ・アナリティカを内部告発したばかり。この政治コンサル会社は、かつてスティーヴン・バノン(ドナルド・トランプの当時のキャンペーン・マネジャー)によって経営されており、選挙への影響を見越した「心理戦の道具」をつくるため、Facebookユーザー5千万人からデータを集めたのだった。ワイリーはまた、Facebookもこの情報漏洩を知っていたと主張している。ケンブリッジ・アナリティカは、ワイリーの申し立てを否定し、CEOのアレキサンダー・ニックスを停職処分にした。Facebookもワイリーの主張を否定し、FacebookとInstagram上にある彼のプロフィールを削除している。

これは歯がゆいことだ。私にはワイリーとわずかなつながりがあったに違いないから。彼は知り合いにいそうにも見えるし、あなたの知り合いだったかもしれない。ピンクの短髪、角縁眼鏡、鼻ピアス、長いゴールドのペンダントに、不可解な大文字スローガンやザ・ウィークエンドのロゴが入った服。5年前にはケタミンを求めてEast Blocに通っていたかもしれない、単なる青年には見えない。Westfieldで買い物をしていそうな男性なのだ。

Facebookに関して、もっと苛立たしいのは、大勢がアカウントを削除しようとしていること、そしてFacebook社の株価が急落していることだ。国会議員はFacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグを喚問し、答弁させた。

もちろん、5千万人もの人々や、世界人口の4分の1をユーザーに持つFacebookを巻き込んだ情報漏洩は、大きな事件となるだろう。しかし、ワイリーが昔ながらのオタクハッカー(エドワード・スノーデンふう)ではなく、21世紀が目前というころ、ストリートウェアに身を包む悪ガキを演じた『サイバーネット』時代のジョニー・リー・ミラーにより近いという事実は、この事件の進展にどの程度与したのだろうか。結局のところ、彼は元上司のバノンがトランプの票稼ぎのために“変曲点”を求めたとき、彼はファッション界の比喩を用いて説明したのだ。つまり、UggやCrocs(空前のブサイクシューズ)がクールになれるのだったら、真に不快な人物でさえ大統領になれるだろうというのである。

i-Dは今回、ファッションを専門とするジャック・サナックスと、パーソナルブランドのエキスパートであるジェニー・ホロウェイに、ワイリーの装いについて尋ねてみた。

——彼のスタイルをこれほどじっくり調べるのはフェアなことでしょうか?
ジャック:あんまり。でもあの蛍光ピンクの髪は、写真撮影用に新しくやったんじゃないかな。だから、あれが来るって確信があったのだと思う。何もしないで、みすぼらしく見せることはしなかったんだ。

——例えば、ハッカー内部告発者の象徴的存在エドワード・スノーデンと彼を比べて、どうですか?
ジャック:スノーデンのノームコアスタイルは、ここ5年ほどハッカーファッションの定番となった。思うに、そろそろ新機軸の、危ないデジタルファッションが出てきてもいいんじゃないかな。つまり、完全にニュートラルな見た目のスノーデンみたいな者に比べて、ワイリーには確固としたスタイルがある。だから勝負にならないね。ワイリーの勝ちだ。だけど『マトリックス』の登場人物ほどシックというわけじゃないね。映画で誰がワイリーを演じるか? ロバート・パティンソンなら、あの鼻ピアスも受け入れるんじゃないかと思うけど。

——ワイリーのあのスタイルがなくても、あの事件がこれほど尾をひいたと思いますか?
ジャック:思うよ、世界の政治を揺るがすことだから。彼が下院で証言する程度まではね。あのヘアスタイルのせいで、すべてがよりファッショナブルになった。彼がやってるようなTopshop仕込みのアナーキスト・ルックは好きだよ。すごく“一般に受ける”。ひとつだけ提案するなら、これから数週間、そこに力を注ぐこと。ご存知の通り、現在の政治的状況下では、卑劣な暴露など絶え間なく続いている。だから、より凶悪な事件が起こるまでしか時間がない。ヘアカラーもいろいろ変えたほうがいいだろうし、もっとアップタウンなスタイルもいいかもしれない。ブラウスに低めのヒールで証言に行ったらいいんじゃない。

—— ジェニーは、クリストファーのスタイルについてどう思いますか?
ジェニー:ただ彼の言葉を聞いているだけなら、「うーん」とか「あー」が多くて、洗練さに欠ける。その点、エドワード・スノードンはもっと信頼が置けて、自分自身をわかってる感じ。そうね、ワイリーがうまくいっているのは洗練さに欠けているから。みんな、彼は自分の任務を遂行してる男だと思うでしょう。

——「うーん」と言うことで、信頼さを失っているのですか?
ジェニー:その逆。そういうためらいが、心から話しているということになるから。彼は完ぺきに考えをまとめ上げてはいないけど、つまりそれは、みんなに自分の言うことを信じ込ませようと躍起になりすぎてないってこと。

——では、見た目を考慮するとどうなるでしょうか?
ジェニー:ワイリーは、この事件の影響を受けた人たちにすごくマッチしてる——Facebookは若者のものだと思われているけど、彼のスタイルはそうしたオーディエンスや逸話にぴったりハマる。彼には強く人目をひくものがある。ピンクのヘアや鼻ピアスがあれば、彼のことを忘れたりしないでしょう。

——自分を個性的にすることでより勇敢に見せるから、信頼が置けるということでしょうか? 彼はそういうファッションを隠しもしません。
ジェニー:そうね、彼がロシアに受け入れられるとは思えない。ゲイで髪がピンクじゃ、あの人たちにぴったり適応しないから。注目すべきは、彼の見た目がアナーキストみたいで、やったこともアナーキスト的だということ。大物相手に立ち向かうと宣言したわけだから。Facebookは自らを私たちの友人で、いいやつだって売り込んできたけど、そうじゃない。彼はほかのみんなと同じ見た目じゃないけど、悪目立ちすることで私たちのレベルに立ち、私たちのために奮起してくれたことを示したというわけ。ほかとは違う人たちを好む若い世代には、すごく魅力的に映ったはず。

——グラフィティとフライヤーでいっぱいの壁を背に撮った彼の写真もでしょうか? あれはカムデンやブリックレーン、ベルリンということもあり得ますよね。
ジェニー:ピンクヘア、鼻ピアス、カモフラジャケットでグラフィティの前に立つ。すべて秩序への反抗を鮮明に表現してると思う。ユーモアも、そのスタイル作り——Instagramが削除されたあと、彼は食べ物や“サースト・トラップ[訳注:SNS上で注目を集めるために性的な写真を投稿すること]”を見られなくなるってツィートしてた——に役立ってる。彼は自分と似てるって、みんなに思わせるから。

This article originally appeared on i-D UK.