ジュディ・ブレイムによるMoschinoハットに脱帽
伝説のスタイリスト、そして帽子職人としても知られてきたジュディ・ブレイム。今、ファッション界で話題をさらっている彼に、ジェレミー・スコットによるMoschinoとのコラボレーションについて聞いた。

moschino autumn/winter 17
ジュディ・ブレイム——神話。伝説。Instagram上でもっとも完成された世界観を放つインスタグラマー。そして2017年秋冬Moschinoメンズ・コレクションのショーでベレー帽の数々をランウェイへと送り出し、話題をさらったアーティストだ。鍵やボタン、ピンなど、ガラクタが放つ美を手作り感覚溢れる作品世界に表現するブレイム。それはたしかにジェレミー・スコットの世界観にぴったりだった。ジェレミーもまた、俗世的なセンスをラグジュアリーに変えてしまう魔法を使うデザイナーだからだ。ジェレミーは2017年秋冬コレクションに関し、「僕たちは戦っていかなきゃならない。美しいもののために、権利のために——僕たちが信じてきたものすべてのために戦わなきゃならないときが来ているんだと思う」とジェレミーは、i-Dのアンダース・クリスチャン・マッドセンに語り、そこに現在の政治的機運のインスピレーションがあったと明かしていた。今回ブレイムが作り出したベレー帽は「俺たちをバカにするのも大概にしろ」と叫ぶ戦闘態勢の表れのように見えた。そして、現代社会に対する理解と疲れも相まって、見る者はそこに深い意味合いを見出さずにいられなかった。世界が行き場をなくすときこそ気骨あふれる作品で力を放つアーティストというものがいる。ブレイムは間違いなくそのひとりだ。

Moschinoとのコラボレーションをあなた自身の言葉で表現してください。
コレクション完成直前での依頼。難産。オールド・スクール。
どんな経緯でコラボレーションが実現したのですか?
ジェレミーからメールをもらったんだ。私の過去のベレー作品を見たらしく、「ちょっと会ってほしい」と。そこで「Moschinoのコレクションのために最新のベレーを作ってほしい」と頼まれたんだよ。
今回のMoschinoコレクションについて、「現在の政治的機運と、信じるもののために戦わなくてはいけないという信条にインスパイアされて今回のコレクションが生まれた」と、ジェレミーは語っていました。あなたは今、何のために戦いますか?
人権と、世界の癒しのためだね。
初めてカスタマイズしたハットのことは覚えていますか?
ボーイ・ジョージのためにカスタマイズしたのが初めての作品だったね。ボーイの衣装に合わせてたくさんのハットを作ったよ。
ハットに生まれ変わるとしたら、どんなハットになりますか?
大仰なヴェールがついたトップハット。
最後に、センテンスを完成させてください。「私が帽子を置けば、そこには……」
「やっぱり同類が!」
ありがとうございます、ジュディ!
関連記事:ヴィンテージ気分の新世代パンク
Credits
Text Matthew Whitehouse
Judy portrait by Juergen Teller
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.