ロンドン・アンダーグラウンド・ジャズ・シーンの新星、プーマ・ブルー

ロンドン南東部の町並みを憂いの青に染めるバラードの名手、プーマ・ブルー。ロンドンに突如として巻き起こっているジャズのブームについて彼が語った。<ブルーによる、お気に入りのジャズ名曲を集めたプレイリスト付き>

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05 July 2017, 7:05am

2017年半ばが、本格的なジャズ人気復活の夏になるなどと、誰が予想しただろうか? 現在ロンドン南部では、ビンカー&モーゼスやユセフ・カマール、ユナイテッド・ヴァイブレーションズ、エズラ・コレクティヴ(Ezra Collective)などのジャズマンやジャズウーマンが人気を博し、大きなジャズ・シーンを作り出している。本格的なジャズ・シーンが開花するなか、プーマ・ブルーの名で活動するジェイコブ・アレン(Jacob Allen)は、"ジャズ"という意味合いにおいて異端の存在だが、それでも、彼の音楽にはジャズのクールな要素が如実にうかがえる。J・ディラのグルーヴに自身のシンプルな歌声をのせ、奇妙で虚無的なムードを作り出す。その音楽はデヴィッド・リンチの映像を彷彿とさせるが、それは決して「ボーカルに軽く残響をほどこして、雰囲気を出そう」などという小手先のサウンドではない。それは、実際にリンチ映画で聞かれそうな類いの音楽だ。陰鬱としていてセクシーなプーマ・ブルーの音楽は、街を憂いの青が染めるときにロンドンが奏でる色彩そのものだ。彼は先日、<Bermondsey Social Club>にて、デビューEP『Swum Baby』を販売した。ブルーが自身の音楽について語ってくれた。

なぜ今、ジャズが急激に支持を得ているのでしょうか? 誰もが突如としてジャズを聴き始めているように感じられます。
僕はジャズを聴いて育ったんだ。惹かれる音には、必ずジャズの要素があった。どうなんだろう……サンダーキャットやケンドリック・ラマーといったアーティストたちが作り出しているものを聴くかぎり、ここ数年でジャズは新たな局面を迎えているんだと思う。

先日i-Dは、あなたを「チェット・ベイカーのようだ」と書きました。あなたは実際に彼の音楽が好きなのでしょうか?
身に余る光栄だよ。チェット・ベイカーはクールなひとだったからね。でも僕は、ビリー・ホリデイやジュリー・ロンドンといったジャズ歌手たちに、より強く感じ入るものがある。とはいえ、チェット・ベイカー的なものを感じるというなら、もちろん異存なんてないよ!

ほかに好きなアーティストは?
どんなアーティストであれ、僕はそのひとの音楽が気に入ったら、そこからできるだけ多くを吸収したい。今は、バッドバッドノットグッドと、ショー・ミー・ザ・ボディのミックステープを繰り返し聴いてる。でも、ずっと僕にとって大きな意味をもってきたアーティストは、ジェフ・バックリィ、J・ディラ、そしてディアンジェロ。ヒップホップ全般、エリオット・スミス、レディオヘッド、ビル・エヴァンス、ウェス・モンゴメリー、DJハリソン、ジョン・フルシアンテ、ダニー・ハサウェイといった音楽にも大きな影響を受けた。

現在ロンドンに巻き起こっているジャズ・シーンの仲間たちに関してはどうでしょう? シーンが打ち出している精神に受ける影響は? そして、なぜ今、ロンドン南部の音楽シーンが活気に満ちているのでしょうか?
僕と同じジェイコブという名のミュージシャンが、ジャークカーブ(Jerkcurb)というドランクン・サーフ系の音楽プロジェクトを進めていて、それがとても面白い。それと、ルーシー・ルー(Lucy Lu)の名で活動するルーク(Luke)ともたくさんの音楽コラボレーションをしているよ。今、ロンドン南東部には、音楽に身を捧げて、とんでもなく素晴らしい作品を作り出しているひとがたくさんいる。みんなが音楽への愛に突き動かされるようにお互いのバンドでプレイし、お互いを押し上げている感じ。あ、それと、僕の仲間、マックスウェル・オーウィン(Maxwell Owin)もね。あいつは音の魔術師だよ。

EPのリリースライブはすぐに売り切れましたね。ライブでのあなたについて聞かせてください。
ありがたいね。1日で売り切れるなんて想像もしてなかったよ。ライブは大好きだよ。僕の音楽の、よりヘビーな部分を表現できるし、一緒に演奏するバンドのメンバーも、最高のミュージシャンだし、深く理解し合い、信頼している仲間ばかりだから。ステージを作り上げるのに力を尽くしているし、これからももっと良いライブを作り上げていきたいと思っているよ。

これからの予定について聞かせてください。
今年の夏はモントリオール・ジャズ・フェスティバルが7月にあるのと、ほかにもいくつかの音楽フェスに参加する。それが終わったら曲作りに戻るよ。

新シリーズの『ツイン・ピークス』はもう見ましたか? サウンドトラックへの参加依頼がなかったことにがっかりしていますか?
僕はテレビも持っていないんだ。でも見るのは楽しみだね。僕なんて無名だから、参加依頼がなくてがっかりなんてこともなかったよ。

Puma Blue launches his Swum Baby EP this Thursday (8 June) at Bermondsey Social Club. He's also playing Montreal Jazz Festival this year because, well, of course he is.

Credits


Text Matthew WhitehousePhotography Julia GrzeszczakTranslation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.