i-Con:Ryan MacGinley

東京オペラシティで現在開催中の『BODY LOUD!』展。ライアン・マッギレーの来日インタビュー。

by i-D Staff
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08 June 2016, 11:39am

2003年、ホイットニー美術館での個展『The Kids Are Alright』を、最年少記録となる26歳でやってのけたライアン・マッギンレー。 そこには、月光に照らされたビルの屋上でグラフィティをするダッシュ・スノウや、全身落書きまみれのダン・コーヘンの姿があった。会場に訪れた観客たちは彼のファインダーを通して、当時のキッズの刺激的な日常を垣間見た。それから13年経った今、彼はコンテンポラリーアート界の成功の道を確実に辿っている。今回の『BODY LOUD!』展は、そんな彼の初期作品から自選の50点を一度に見ることができる、見ごたえたっぷりの個展だ。

『The Kids Are Alright』の作品には、被写体との親密な関係性が表れていました。その頃のこと、そして最も印象的だった出来事を教えてください。
写真を撮り始めた1998年の終わりには、TumblrやInstagramなんてなかった。つるんでた仲間のなかでは、僕が唯一カメラを持ってたんだ。ポケットにフィルムロールをたくさん突っ込んで外を歩き回るのは、すごく解放的だったよ。今みたいに写真がカルチャーとして発展してなかったからすごく特別なことのように思えて、とにかく楽しかった。5年くらいの間、14丁目からキャナルストリート、そして東西のハイウェイに囲まれたダウンタウンニューヨークを記録してたんだ。感謝すべきことに、その時代の写真が評価されて他の仕事につながったんだ。

今のユースたちは、その頃に比べると違いを感じますか?
ニューヨークでは大差ないよ。人は移り変わり、テクノロジーは発展するけど、雰囲気は変わってないと思う。ただ今は情報が簡単に手に入るから、写真に対する感情が違うとは思う。僕の時代は写真を撮ったあとに考える時間があったけど、今は撮ってすぐ世の中にアウトプットできるようになってる。でもそれが悪いってわけじゃなく、写真というものの存在意義が以前とは別物になっていると思うし、これからも変化し続けるだろうね。今のユースもイケてると思う。みんな楽しくクリエイションをしていてクールだと感じるよ。

あなたのオブセッションは何ですか?
僕のオブセッションは……写真を撮ることだね。OCD(強迫性障害)ってあるでしょ? 手を何回も洗わないと我慢ならないとか。僕は、撮り続けないと気がすまない。普通の人みたいに1つの場面で1枚ってわけにはいかないんだよ。写真を撮ることはあくまで日常生活の一部であるべきものなのに、取り憑かれたように写真に夢中になりすぎてしまうのはよくないって自分に言い聞かせてるんだけどね。ずっとカメラを持って、上がりを見て、編集してっていうのを、ずっと繰り返していたい。完全にオブセッションだよね。

今、あなたが写真を撮るときに原動力としているものは何ですか?
美、色彩、皮肉、可愛らしさ、醜さ……本当に色々だよ。世界は、面白いもので溢れてる。でも僕の作品の被写体は、ほとんどが人だね。人を見るのが好きだし、被写体の人生観や生い立ち、親とか恋人のことを聞くのも好き。人の体が動くのを見るのもね。特にヌード。何も服をまとってない体って、永遠に夢中になれる。人が裸になる瞬間って、すごくパーソナルで親密なものなんだ。それを僕と共有してくれるのはすごく光栄だし、この上なく美しいものだと思う。

東京のキッズについてどう思いますか?
彼らはとにかくセンスがいい。誰を見てもみんな服がオシャレでスタイルがある。みんなマスクしてるのも好き。あれをニューヨークでしてたら、完全に頭がおかしい人だと思われちゃうけど(笑)。あと、カメラを持って歩いてる人が多いよね。写真好きが多いのかな。

あなたの夢は叶っていますか?
どんなアーティストにとっても、自分のアートで食べていけるっていうのが夢だと思う。だから、僕の夢は叶ってるね。例えてみれば、僕がずっと地道に作ってきたケーキは、アーティストとして成功したときに完成したんだ。それ以降に訪れる小さな幸せの数々はトッピング。もしくはパフェに乗ってるさくらんぼかな。

夢を叶えたい若者に向けてアドバイスはありますか?
アーティストになりたいとしても、他の職業と同じようにアプローチするべきだと思う。アートに絶対的な良し悪しがないのをいいことに、楽してカジュアルにやってる人って多いんだ。技術的な面も少なからずあるし、センスや運も絡んでくるから、なおさら真剣勝負なはずなのにね。僕は医者と同じくらい仕事にエネルギーを注いでると思ってるよ。たまに瞑想してチルアウトしないと死にそうになるけど(笑)。

では、最後に、『The Kids Are Alright』時代のキッズたちは大丈夫 (alright)ですか?
僕のクルーは大丈夫じゃない(笑)。2017年にデンバーで『The Kids Were Alright』という展覧会をやる予定だよ。Areを過去形に変えてね。若いときって全てがきらびやかで簡単だけど、年をとるにつれて生きるっていうことがとても現実的になり、難しいこともでてくる。だから僕の作品では常に"alright"なんだ。僕の写真は真実ではなくて幻想なんだよ。だから、自分の作品で現実逃避もする。綺麗な場所や美しいライティングに酔いしれることができるからね。でも結局、全ては架空の世界。現実の世界は……何とも言えないかな。自分のことしか語れないけど、僕にはアーティストの仲間がいて、皆がお互いに協力し合っていて、温かいんだ。それはすごく大切なことだと思う。仲間の視点って大事だし。彼らといると幸せで、"alright"だと思うよ。

ライアン・マッギンレー BODY LOUD!
開催期間 2016年4月16日(土)〜7月10日(日)
開催会場 東京オペラシティ アートギャラリー(3Fギャラリー1,2)
開館時間 日・火・水・木 11:00〜19:00、金・土 11:00〜20:00 
休館日 月曜日 
入場料 一般 1,200円(1,000円)、大学・高校生800円(600円)、中学生以下無料

Credits


Text and Photography Kazumi Asamura Hayashi

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