今こそ輝くフリーダ・カーロの絵画

メキシコを代表する画家フリーダ・カーロが作り出した中でも最も政治色が強い作品が、米大統領選挙を前にアメリカで一般公開される。

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20 juli 2016, 3:11am

IMAGE 3: Self-Portrait on the Border Line Between Mexico and the United States, 1932, by Frida Kahlo

メキシコとアメリカ間の移民問題をめぐる議論は、近年になって無神経さと人種差別、さらには品格の議論へと逸脱している。もともとメキシコ文化に関してまったくの無知で、それを隠そうともしないドナルド・トランプが、大々的に移民規制を公約として掲げ、方々で演説を繰り広げているためだ。そんな中、フィラデルフィア美術館は『Paint the Revolution: Mexican Modernism 1910 - 1950』、"革命を描け:メキシカンモダニズムの歴史"と題した展覧会を通して、メキシコ美術を改めてアメリカ美術界のスポットライトの下へ引き入れようとしている。この展覧会には、ディエゴ・リベラ(Diego Rivera)、ルフィーノ・タマヨ(Rufino Tamayo)、ホセ・クレメンテ・オロスコ(Jose Clemente Orozco)、そしてもちろんフリーダ・カーロなど著名なアーティストたちの作品が展示され、世界の美術史が発展していく上でメキシコのモダニズム運動がいかに不可欠であったかを物語る構成となっている。

首都メキシコシティのベジャス・アルテス宮殿美術館の協力のもと、フィラデルフィア美術館はこのエキシビションを通して、そうしたアーティストたちの世界観を存分に表現している。展示されている作品の多くは、今日においても大きな意味をもって見るものに訴えかけてくる。また、表示されているカーロのセルフポートレート作品は、アメリカとメキシコの国境をまたぐカーロ本人を描いており、まるで現代の政治情勢を物語っているようだ。この展覧会には、メキシコシティの有名な壁画をリベラがデジタル技術で実寸再現した作品3点も展示されている。

カーロの作品がアメリカへとやってくるのに、今ほど絶好のタイミングはないだろう。これは、カーロが25歳のとき作った作品だ。北へ北へと旅して、アメリカへ渡ることを夢に見、しかし国境を越えると途端に肝心のルーツを見失ってしまうメキシカンアート——そんな傾向を憂いて描いた作品だという。彼女は、この絵を描いた3年後にアメリカで初の個展を開き、その後シュールレアリスムの名匠として美術史に不動の地位を築いた。

『Paint the Revolution: Mexican Modernism 1910 - 1950』:"革命を描け:メキシカンモダニズムの歴史"は、フィラデルフィア美術館にて10月25日から、来年2017年1月8日まで開催予定。

Credits


Text Annie Armstrong
Photo courtesy of Philadelphia Museum of Art
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.