ルチア・ピカ 2014年インタビュー

「メイクは美しさを強調するための力強いツール。自信をつけるためのもので、自分を隠す仮面であってはならない」 

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nov 24 2017, 6:24am

This article was originally published by i-D US. 本記事は2014年12月15日に公開されました。

「美」とは何か? 顔は私たちが鏡を通して自分自身と対話し、ひとに第一印象を与える部分でもある。メイクアップアーティストのルチア・ピカは絶えず進化するそのフェイスアートを通して、現代の「美」を変えるという任務を担う数少ない精鋭のひとりだ。

2014年12月、CHANELはグローバル クリエイティブ メークアップ&カラー デザイナーにルチア・ピカの起用を発表した。彼女がもつ美のあり方とは、そしてそれはどうやって育まれたのかを訊いた。

「自分の色や素材の使い方にハーモニーが生まれると考えるのが好き。それは女性の日常にも置き換えられることだから。それに、私のやっていることが誰かが新しいことにチャレンジしたり、美を表現するためにプロダクトを実験的に使ってみたりするきっかけになるかもしれないって考えるのも好き」とルチアは言う。『i-D』の撮影の前日のだった。「ファッション誌はインスピレーションを与え続けてくれる。女性たちが私の作品を見て自信を持ち、自分でも試してみようと思ってもらえると嬉しくなる。新しい事を発見する最高の方法だと思う。いつもより濃いリップを試してみるとかね。パワーが満ちてくるような気分になるの」。顔の持つパワーは、ルチアの印象深い作品群からも浮かび上がってくる。そのひとつがジャーダン・ダンを起用し、アラスデア・マクレランが撮影した2011年冬の『i-D』の表紙だ。黒いタートルネックを着たジャーダンが、ピンクのアイシャドウをつけ、目の周りにはドラマチックなライン、マットな赤いリップと黄色いネイルといったスタイルで撮影されたものだ。

ルチア・ピカは1976年にナポリで生まれた。母親が毎日行う化粧を見たのがメイクの原体験だったという。「母にはリップを塗ってちょっと頬をはたいていたの。この習慣が私にも移っちゃって、今でもやってる」と彼女は話す。ティーンの例にもれず、ルチアは試行錯誤を経てメイクとの関わりを深めていった。「16歳のころはすごく濃いメイクをしてた。エモ系から90年代眉まで、毎日違うメイクをして学校に行っていた。あのころはほとんど何にも残らなくなるまで、眉を抜いてたわね。流行を追うことの弊害かもしれない! 運良くまた生えてきたけどね」

15年前、ルチアはメイクアップアートを学ぶべくロンドンへ移住した。その夢を志すものは誰でもたゆまぬ関心、やる気、努力が必要なのだと彼女は言う。グラスペイント・メイクアップ・アカデミーでのコースを終えた彼女は、経験のためにアシスタントを始めた。「粘り強さが報われるまで、大手のエージェンシーにアプローチし続けた。そして、シャーロット・ティルベリーのチームで働く機会を得たの」。ティルベリーのもとで数シーズンアシスタントを務め、最終的にはファーストアシスタントとして3年働いた。その後、満を期して独立した。2014年には、CHANEL UKのメイクアップチームの一員となった。CHANELは時代や世代を超越していると彼女は話す。「それはココ・シャネルが強く、向上心のある女性だったからだと思う。リアルな女性を輝かせるような美へのプロセスを築き上げた人だから」。それこそがルチアの作品、そして現代におけるメイクのあり方を特徴づける哲学なのだ。「メイクは美しさを強調するための力強いツール。自信をつけるためのもので、自分を隠す仮面であってはならないと思う。ナチュラルでも主張の強いものでも、現代性と女性の人柄を入れるのが好きですね。同じ女性として、そこに写っている女性に近づけたらと思うから。若いときは、イザベラ・ロッセリーニや『パリ、テキサス』のナスターシャ・キンスキー、パティ・プラヴォのメイクが大好きだった。不完全なんだけど、グラマラスでかっこいいの」。ルチアの作品の根幹にあるのは、自然な美しさに対する賛美なのだ。そしてそれは「美容」という枠組みすら超えてしまう。彼女は偉大な師のひとりとして母親を挙げている。それは彼女シンプルさを愛していたからだ。「シンプルでうるさくない視点で物事を見るのよ。すべてをドリーミーでロマンチックに解釈してしまう私にとって、母は地に足のついた力強い存在です」と笑いながら話す。「彼女の哲学は、メイク法にも表れている」。ファッションや芸能界では、常に多くを必要とされるようだが、ルチアは少ないほうがいいのだと断言する。「ときに女性たちは自分自身に対して間違った考えを持ってしまって、必要以上におおい隠そうとしてしまう。メイクを減らしても、完璧な仕上がりにできるのにって思うことがよくある。もっと軽いファンデーションやコンシーラー、それにミネラルベースやパウダーのような皮膚を健康に保つプロダクトを探すこともできるしね」。

@picalucia

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Credits


Photography Alasdair McLellan
Styling Jonathan Kaye
Make-up Lucia Pica
Text Anders Christian Madsen
Hair Anthony Turner at Art Partner.
Nail technician Trish Lomax at Jed Root using Les Rouges Culte de Chanel and Body Excellence Hand Cream.
Photography assistance Lex Kembery, James Robjant, Matthew Healy.
Styling assistance Max Ortega Govela.
Hair assistance David Harborow.
Make-up assistance Siobhan Furlong.
Executive producer Lucy Johnson at Art Partner.
Production manager Graham McLoughlin.
Retouching Output. Model Vanessa Axente at VIVA London.
Special thanks to Spring Studios.
Vanessa wears all clothing Chanel Resort 15. Make-up throughout Chanel Les 4 Ombres, Rouge Allure Lip Colour and Perfection Lumiere Velvet.