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ジェフ・クーンズの28問28答

Louis Vuittonとのコラボレーションでも話題のアーティスト、ジェフ・クーンズ。彼に触発されたと公言する4人のファッション・デザイナーが、憧れのクーンズにi-Dを通して質問を投げかけた。

by i-D Staff
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18 April 2017, 6:05am

Isabel Asha Penzlien

ガレス・ピュー(Gareth Pugh
キャラクターものの巨大バルーンなどに並々ならぬ興味を持つガレス。もしもファッション・デザイナーになっていなかったら、水素やヘリウムガスを注入して浮かべる飛行船の設計に携わりたかったのだそうだ。そういえば、ロンドン・ファッション・ウィークでファッション関係者たちの度肝を抜いたガレスのコレクションには、母から贈られたプードルの形をしたホログラムのネックレスに着想を得たという、バルーンで作ったプードルのようなドレスがあった。

1日だけ透明人間になれるとしたら、何をしますか?
美術館に行くかな。美術館という空間が好き——ひとりで集中できる時間をたくさん要求される場所。

最も好きな美術館は?
ニューヨークのメトロポリタン美術館が好きだね。

どのくらいの頻度でメトロポリタン美術館を訪れていますか?
ニューヨークへ行くときは、大抵が家族と一緒だから、メトロポリタンに行けるのは年に2回くらいかな。もっと行けたらいいんだけれどね。

もしアーティストでなければ何をやりたいですか?
哲学だね。若い頃は、アーティストになるべく生きていた。アートがどのようにして物事の核となって機能しているかが手に取るように理解できた。そして、アートを通して、哲学や心理学、社会学、物理、その他、"この世の理"ともいうべきものを理解していったんだ。そういったすべてがアートを豊かにしているんだ。

あなたのお葬式で流してほしい音楽は?
レッド・ツェッペリンの「Bring It On Home」が持つエネルギーが好きでね。古いブルースの曲なんだけど、ツェッペリンがその曲にほどこした解釈が素晴らしいんだ。大ファンだよ。

できるうちにやっておきたいことは?
やりたいことに取り組み続けること。ひとは、本当にやりたいことほど避けてしまうもの。大切だからこそ、不安に駆られてしまうんだ。だから、自分がもっとも心から望むものに挑戦していきたい。

風船に対する執拗なまでのこだわりはどこから?
それは、子どもと掃除機からきているんだと思う。擬人化されて、ものすごい力を持ったその機械に出会ったときのことを鮮明に覚えているんだ。風船が好きなのは、人間みたいだから。ひとがいてはじめて膨らんで、ちゃんと呼吸をする——でも正反対の存在でもあって、人間が体内に密度を持っているのに対して、風船は中が空洞。風船の場合は、密度がその外側にある。

今朝、何を食べましたか?
グラノーラとフルーツをベリー。

ヘルシーな生活を送っていますか?
それほど熱心ではないけれど、食べるものに気をつけてはいるよ。

ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck
「美的感覚のテロリスト」と自らを称するウォルター・ヴァン・ベイレンドンクは、マンガ文化と色彩の世界にどっぷりと浸かっている。彼の最新コレクションは、「Fuck Face("どうでもいいひと"の意もあり、またイラマチオも意味する言葉)」「Dick Head("バカ"と同時に"亀頭"も意味する言葉)」「Super Cum(大量に勢いよく出る精液)」など性的なニュアンスをもつ言葉に着想を得て作られた。ジェフ・クーンズの大ファンだというベイレンドンク。質問の内容は、クーンズがチチョリーナと結婚していた時期——彼自身が作品のモデルともなった時期——にかすかに触れるようなものも……。

子どもやおもちゃがあなたの作品の重要なテーマであるように感じます。それらに多く着想を得ているのはなぜですか?
子どもやおもちゃは日常を象徴するものだからだよ。良いも悪いもなく、すべてのあるがままの姿を受け入れるということ。すべてがお遊びなんだということ。子どもは、物事をあるがままの姿で受け止めて、それをそのまま体験することができる。青、赤、オレンジ……どんな色であっても、その色そのものとして受け止めて、それを楽しむことができる。でもそこに、教育が入ってくる。教育は、ものの質が高いか低いか、物事がどうあるべきかといった思考を生み、子どもの感覚を歪めていく。子どもの頃、人間はもっと自由を与えられている。僕が子どもやおもちゃをインスピレーションに多くの作品を作っているのは、そういった純粋さを視覚的に表現するため。

おもちゃを収集したりしているのですか?
僕の子どもたちにおもちゃをたくさん買い与えているから、いつでもインスピレーションに囲まれている。「Triple Hulk 2」にプリントした頭部の部分は、子どもが持っているおもちゃの写真から取ったもの。僕は周りにあるものすべてを使う——すべては遊びなんだということを忘れないようにね。なんだって、使えるものなんだ。

ほかのアーティストの作品でお気に入りのものは?
アートが持つ語彙——さまざまなアーティストが打ち出すさまざまなアート表現に感銘を受ける。作品をひとつ選ばなきゃならないとしたら、約24,000-22,000年前の旧石器時代に作られたと言われ、1908年にオーストリアのヴィレンドルフで発見された「ヴァレンドルフのヴィーナス」かな。歴史を物語っていて、謎に満ちているから。人類には長い芸術の歴史があるわけだけれど、それを宇宙の始まりにたとえるならば、「ヴァレンドルフのヴィーナス」こそがビッグバンだったと思うよ。

月に行ったことはありますか? そして、行けるとしたら、月を長期休暇の地として選びますか?
僕は物事を考えたり、夢想するのが好き。リラックスして、落ち着いた気持ちでありたいといつも思っている。不安を忘れたいという思いが強いけれど、スタジオにいるときは僕にとって休暇のようなもの。だから、答えは「ノー」かな。

あなたのミューズは誰ですか?
奥さんだね。

アントワープを訪れたことは? わたしの住む街に、あなたの作ったプードルの彫刻を!
アントワープは、行ったこともあるし、すごく好きな街だよ。コンテナ埠頭に行ったんだ。アントワープの埠頭は、僕の最新作「Train」で重要な役割を担う要素。巨大な電車が天井から吊り下げられて、床に向かって走っているように見える——そんな作品だよ。

ベルンハルト・ウィルヘルム(Bernhard Willhelm
破天荒で機知に富んだファッション作品で、色彩、食べ物、スローガン、風景などを表現し続けているドイツ出身のデザイナー、ベルンハルト・ウィルヘルム。これまでに発表した中でもずば抜けて悪名の高いコレクションは、蛍光色の恐竜をテーマにしたコレクションだろう。そのあまりにもポップで、馬鹿げていて、そして楽しい世界観に、誰もが笑みをこぼした——ジェフの作品世界と共通する要素の多いデザイナーだ。

誰かに100万ドルをあげても、何も見返りを期待しませんか?
僕は、寛大な心の存在、そして「アートは寛大な心から生まれるものでなければならない」ということを信じている。寛大でいられないひとは皮肉なことばかり言う——それには共感できないね。100万ドルあげて見返りを期待しないか?そんなことをしてこれたと信じたい。少なくとも、持てるものすべてをつぎ込んで最高の作品を作ろうとはしてきた。それは直接お金を与えることではないけど、人々に何かを与えるものであればと願っているよ。僕は、可能な限りすべてを作品に捧げて、ものづくりをしているんだ。

「ジェントルマン」という言葉は、あなたにとって何を意味しますか?
ひとに対して敬意を欠かさないということ。どんなひとも自分と平等だと思える心。

髪のエクステンションをしてみようと思ったことは?
ないね。

後悔したことはありますか?
唯一の後悔は、若いころにしかないものを、その当時はそうと気づかなかったこと。自分の周りにあるチャンスには常に敏感だと過信していたんだね。そのときにしか生まれないチャンスを活かせるというのは素晴らしいこと。僕は、そのときどきの流れには必ずしも乗ってはこなかった。「お金があるときに家を買わなかった」とか、「景気が良かったときにあれをやっておけばよかった」とか、そういう意味じゃなくね。当時は気づかなかったけれど、教育の大切さというものに気づいたときがあった。気づきの感覚を感じてからは、"いま"というものに積極的に参加するようになったよ。

次の計画は?
新しい作品だね。作品を作り上げるまでのプロセスが好きなんだ。落ち着いて分析してみたりはしないけれどね。僕の油絵シリーズと連動する彫刻を作っていて、ほとんどのデザインは出来上がっているんだけど、それに奥行きを出して完成させたいね。

ジェレミー・スコット(Jeremy Scott 
ピンクのキャデラックやジュークボックスをドレスに表現したり、フライドポテトやハンバーガーをニットにしたり——ジェフ・クーンズ同様、ジェレミー・スコットも、アメリカ中産階級の世界観と、低俗でけばけばしいものが持つ奇妙に楽しい美しさを、作品に打ち出すアーティストだ。そして、ふたりには、「家に大理石の胸像を置いている」という共通点もある。

ご両親は、あなたが子どもの頃に履いていた靴をブロンズ像にしましたか?
したよ。でも今どこにあるのかわからない。なくしてしまったね。

あなたがキラキラしたものを好きなのは、そこに端を発しているのかもしれませんね?
そうは思わないな。母は乗馬が好きで、大会にも出ていたんだ。そこで入選してもらったトロフィーを家に飾っていて、それらのほうがブロンズ像の靴よりもキラキラしていた。僕がキラキラしたものを好きなのは、ペンシルバニア州で育ったことに関係がある。僕が育った地域では、家々の庭に小鳥が水浴びをするためのバードバスと呼ばれるものが設置されていて、うちではそこに、水銀で表面が鏡のようになった球体のガラス飾りを入れていたんだ。僕が作った、銀色にキラキラと光を反射させるウサギの作品は、それをモチーフに作ったものだよ。

その球体はなんという名称ですか?
庭の飾りで、庭園彫刻の一種。僕のウサギ作品は、ほかにもたくさんのモチーフを取り込んだ作品だけど、あの庭の空間に対して僕が抱く感覚が最大のインスピレーションになっているんだ。

パイプがパイプではなくなるのは、どのようなときですか?
パイプとして機能しないとき。パイプが、パイプのような見た目を持ちながらも、その機能を持ち合わせていないとき。大砲をモチーフに新しい作品を作っているんだけれど、そのうちいくつかはおもちゃだから大砲として機能しない——でも、ほかの大砲はアメリカの南北戦争で実際に使われたものの複製なんだけど、きちんと機能も再現したんだ。

そこからは何が飛び出るの?
弾丸だよ。弾丸を放つ迫撃砲を作ってるんだ。

マルセル・デュシャンとアンディ・ウォーホルがレスリングをしたら、どちらが勝ちますか?
デュシャンだね。僕たちは皆、デュシャンの思想を引き継いでいて、オブジェクティブ・アートが持つ可能性追求の過程にいるんだ。

パリス・ヒルトンはあなたの想像力を駆り立てますか? 有名だからというだけでひとがもてはやされる文化についてどう思いますか?
パリス・ヒルトンに心動かされることはないな。セレブ文化には、目を見張るものがあるよ。現代人の弱さを浮き彫りにしているよね。なにかを自動的に、何度も繰り返し見せることによって、"意味"が生まれる——それが僕たちの生活にとって意味を持たないとしてもね。ただ、繰り返し目にすることによってのみ生まれる"意味"だよね。

あなたの作品がオリジナルではないと言われるのに飽き飽きしていませんか?
僕は全般的に自分の作品をオリジナルだと信じて疑わないよ。

関連記事:LOUIS VUITTONがジェフ・クーンズとのコラボシリーズを発表

Credits


Text Ben Reardon
Photography Isabel Asha Penzlien
[Originally published in i-D No. 281, The World Wide Web Issue]

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