ミラノ・ファッションウィークはハリウッド一色

Gucci、Roberto Cavalli、Philipp Pleinが2017年春夏ミラノ・ファッションウィークの先陣を切り、華やかなハリウッドを描くショーが続いた。

by Anders Christian Madsen
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30 September 2016, 6:35am

「誰もが成功を夢見てハリウッドに来る」とマドンナは歌った。アートやエンターテインメントの世界に身を置く者にとって、ハリウッドはイギリスの首相にとっての君主制のようなものだ。どれだけ芯が強かろうと、誰もが最終的にはその魅力に屈してしまうのだ。Gucciでの成功で一躍スターとなったアレッサンドロ・ミケーレだが、いまやジャレッド・レトやダコタ・ジョンソンらと遊び、ロサンゼルスのスターたちがこぞって群がる存在となった。その様相は、ヒラリー・クリントン次期大統領候補の資金集めパーティさながらだ。来年2月からウィメンズとメンズをひとつのショーとして発表するGucciだが、"ウィメンズのショー"としては最後となるGucciの2017年春夏コレクションで、ミケーレは、彼がInstagramアカウント@lallo25で「魔法のちょうちん」と形容したフラッシュライトの世界を描いた。「僕が知るなかで最もグラマラスな場所、ハリウッドのイメージを形にしたんだ」と、ミケーレはバックステージで、押し寄せた人々に向かって説明した。コメントを求めるジャーナリストたちだけではなく、そこにはミケーレを画像や写真に捉えようと奮闘するカメラマンやファンの姿も多く見られた。

Gucci spring/summer 17

「ロサンゼルスに行ってしばらくたった頃、エルトンに出会った」とミケーレは続けた。「エルトン・ジョンのことね。それは素晴らしいひとときだった。エルトンは花火見たいな人。音楽の守護神で、派手な世界観を貫いていて、良い物をとにかく守り抜いている素晴らしい人」と彼は、エルトン・ジョンを絶賛した。キラキラした大仰な世界観とショーマンシップを体現したエルトン・ジョンという存在は、さまざまなモチーフをミックスして贅の世界を描こうとするミケーレのそれと相通じるものがある。直接的に表現されてはいないものの、ミケーレが作り出す新生Gucciには、エルトンの世界観が否応なく見て取れる。彼がこれまで披露してきた過去のGucciショー同様、今回のショーもミケーレの心をよぎる豊かなインスピレーションがひとつのコレクションに溶け込んでいた。イギリスという文化の概念をふんだんに盛り込んで、その独特の美しさを見事に表現した5月のクルーズコレクションを除き、ミケーレが作り出すコレクションの素晴らしさは言葉で表現するのが難しい。彼のショーノートも同様だ。「12から18までのライン、どうにも意味がわからない」と、とある知的なファッション批評家はショーを前に頭を抱えていた。ショーのプレスリリースには「物語の原理は、決して直線的ではない」など、難解な表現に溢れていた。

Gucci spring/summer 17

バックステージでミケーレが語っていた「ハリウッド」は、ショーノートには書かれていなかった。コレクションを言葉で理解しなくてはならない私たちのような人間には、言葉による彼の説明は大変役に立った。しかし、ミケーレは、Gucciのコレクションにおいてテーマの具体性がそれほど重要ではないことを強調した。ミケーレの作品は、結局いつも巡りめぐって同じ観点に立ち返るのだ——「美しく、ポップで、でも同時に洗練された世界観を持っている。それは言語の違いのようなもので、その言語は間違いなく今という時代を生きる僕たちのもの。僕が考えるファッションは、ひとつの物語を描いているんじゃなく、言ってみれば幻想のフレスコ画みたいなものなんだ」とミケーレは説明した。「1500年代ヴェニスの娼婦にインスピレーションを受けて作った服に、ロサンゼルス、ポップカルチャー、そしてアジアをミックスした。ミュージシャンと同じで、続く音がなければ曲にならない。僕は、その音楽を終わらせたくないんだ」。この感覚は、表現は違ってもRoberto Cavalliのデザイナー、ピーター・デュンダスにもよく理解できるものだろう。デュンダスはこれまで常にハリウッドを自らの世界観に積極的に取り込み、世界のスーパースターたちのレッドカーペット用ドレスを多数作り出してきた。デュンダスによるRoberto Cavalli 2017年春夏コレクションのショーは、同ブランドとしては初となるウィメンズ、メンズの合同ショーとなった。今シーズンのコレクションでは、ウィメンズウェアにはメンズウェアの影響が強く見られた。

Roberto Cavalli spring/summer 17

「いつもパートナーと自分用にヴィンテージの服を買うんだけど、それがコレクション制作に影響を与えるんだ」とデュンダスはいう。コレクションには、14歳で家族と共にデュンダスが移住したアメリカのナバホ族、彼のルーツであるノルウェイを表す雪、そしてスウェーデンの木靴、日本の着物など、遠近問わず世界中の文化からさまざまなモチーフが用いられていた。彼は、自身のコレクションを「訪れた土地から得たインスピレーションをパッチワークにしたもの」と話しており、旅好きのデュンダスならではのその世界観が、まだクリエイティブ・ディレクター就任から1年と経っていないにもかかわらず、すでに新たなRoberto Cavalliを象徴するロックンロール的贅の世界を築き上げている。その世界観にはハリウッドが香り、ミケーレ同様、デュンダスもまた、それが普遍的魅力を意味していることをよく理解しているようだ。ニューヨークへと生活の拠点を移すデュンダスにとってミラノでは最後のショーとなった水曜午後のショーは、楽しいストリートフェアが催されるアメリカ郊外の町を模したセットで行なわれた。その"ゲットー化"された世界観は、フィリップ・プレインが自身のショーで実現したかった要素だろう。プレインのショーは、歌手のファーギー(Fergie)に捧げられた作品だった。そのファーギーはプレインのショー冒頭でパフォーマンスを披露した。プレインのショーでミラノ・ファッションウィークは幕を開け、ミラノがハリウッド感満載のシーズンになることを印象付けた。

Philipp Plein spring/summer 17

Credits


Text Anders Christian Madsen
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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