「反逆精神?そんなの無い」:スタークローラー interview

ライアン・アダムスからデイヴ・グロールまでを虜にしながら、反逆精神を完全に否定する4人組。これぞ現代版ロックスピリットというわけ?

|
aug 6 2018, 9:18am

2015年に当時18歳のフロントウーマン、アロウ・デ・ワイルドを中心にLAで結成され、またたく間に人気を獲得したスタークローラー。アロウの父親アーロン・スパースキはアリエル・ピンクやファーザー・ジョン・ミスティらと活動するドラマーで、母親オータム・デ・ワイルドは、ベックからホワイト・ストライプスまで有名ロックスターを撮り下ろすフォトグラファーだ。彼らの人気を決定付けた『I Love LA』のMVも、彼女の母の手によるものである。フー・ファイターズのデイヴ・グロール、マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイ、エルトン・ジョンらがラブコールを贈り、ライアン・アダムスに至っては彼らのデビューアルバム『Starcrawler』のプロデュースを申し出たほど。

恵まれすぎな環境のもと、新世代のロックをぶちかまし、ロックの救世主とも呼ばれる4人。だが、本人たちは……。今年3月の単独初来日ツアーに続き、フジロックで再来日した彼らを東京・渋谷で捕まえた。

————なぜ今、あえてロックンロールなの?というところから聞かせてください。

アロウ・デ・ワイルド(Arrow de Wilde:Vo. 担当):みんな違った音楽バックグランドを持っていて、いろんな音楽を聴いてきたけど、でもその大半がロックの系譜下で、どこかで繋がってたという感じかな。よく分からないけど、一緒にやったら上手く行ったの。
オースティン・スミス(Austin Smith:Dr. 担当):バンドをやろうっていうのがまず第一にあって、全員に共通している音楽がこんな感じだったんだ。

——あなたたちのような若い世代にとっては、ヒップホップやエレクトロニック・ミュージックのほうが身近でエキサイティングだったのでは?

オースティン:僕はヒップホップも聴くけど、自分でやりたいのはロック。
アロウ:私はヒップホップやエレクトロニックにはまったく興味がない。

——じゃあ今でもロックに反逆精神は残っていると思う?

ヘンリー・キャッシュ(Henri Cash:G、Vo. 担当):反逆精神を表現したいとか、何かを訴えたいとかじゃなくて、ただ自分らしくしてるだけかな。子供の頃にはパンクなんかも聴いてたけど、反逆精神云々って意味で聴いてたわけじゃないし。ただ単にそういう音楽が好きだったんだ。
ティム・フランコ(Tim Franco:B. 担当):今となっては音楽をするのに理由なんて、もう要らないんじゃないかな(笑)。
アロウ:私自身、別に反逆精神があるとか、訴えたいことがあるわけじゃないし。パンクロックをやったら、逆に嘘をついてるって気がする。それにパンクロック自体が、もう反逆精神を持ってるかっていうのも疑問だし。そもそも、育った環境にもよるんじゃないのかな。ほら、私の場合両親がロック大好きなわけでしょ。それに反逆しようと思ったら、フーティ&ザ・ブロウフィッシュとか聴くしかないわけで……って冗談よ(苦笑)。
ヘンリー:じゃ僕はトレインでも聴こっかな(笑)。

——ファーストアルバム『Starcrawler』のプロデュースを手掛けたライアン・アダムスをはじめ、エルトン・ジョン、デイヴ・グロールといったレジェンドたちから絶賛されていますが、同世代からの反応は?

アロウ:場所によって凄く違ってるかな。ヨーロッパや日本だと、若い子たちがいっぱいライブに来てくれる。アメリカだと、けっこう年齢層が上。会場の年齢制限が厳しくて、若い子が入れない状況も関係してると思う。
ヘンリー:21歳以上って会場が多いから。
アロウ:フェイクIDを持ってなきゃね。
ヘンリー:うん、僕も作らなきゃ(笑)。

——メンバー中で一番若いのは?

ヘンリー:僕だよ、18歳。
オースティン:僕も苦労したけどね。LAで人気のロッククラブ『エコー(The Echo)』に入りたくて、16歳の時、ドキドキしながら列に並んでまぎれ込もうとしたけど、あっけなく入り口で拒否られたよ。

—— アロウはランナウェイズ(平均年齢16歳でデビュー)の大ファンだとか。ジョーン・ジェットを知る人は多いけれど、ランナウェイズを知ったきっかけは?

アロウ:映画『ランナウェイズ』(ダコタ・ファニング、クリステン・スチュワート出演)も良かったけど、ランナウェイズはそれ以前から知っていた。一番好きなのは彼女たちの『Live In Japan』。ライブアルバムのサウンドの方が、スタジオバージョンより断然優れてる。キレイにプロデュースされたスタジオ録音より、きっとエネルギーが溢れているから。
ヘンリー:チープ・トリックも、そうだよね。ライブアルバム『Cheap Trick at Budokan』の方がずっといい。

——若いってことの利点はなにかな?

アロウ:う〜ん、可愛いこと(笑)。
ヘンリー:活力に溢れてること。
ティム:考えすぎないってことも。
ヘンリー:あと両親と一緒に住んでれば、家賃はタダ(笑)。

——紅一点で両親の知名度も高いアロウばかりに注目が集まることで、メンバー間がギクシャクしたりはしない?

ヘンリー:ティムにも両親はいるんだけどね。
全員:(爆笑)
ヘンリー:嫉妬みたいな感情は僕らの間にはないよ。凄く仲がいいし、互いに労わりあっている。
オースティン:それに僕らとしては、彼女の両親の話題で注目を集めたいとかまったく思ってなかったし。ただジャーナリストがそこを強調しがちなんだ。ページを埋めるためだよね。
アロウ:うん、そうだと思う。

——アロウのルックスや佇まいも注目を集める理由じゃないかと思うのですが、差し支えなければ、ボディイメージに関して、アロウ自身はどんなふうに考えているのか教えてもらえますか?

アロウ:いいわよ。私自身はいろいろ言われるのは仕方ないと思ってる。ステージでフロントに立つ以上、ネットで好き・嫌いを言われるのは分かっているし、私にはどうしようもない。いろんな意見を言われるけど、いちいち答えたり、正したりする必要性も感じない。好き勝手に思ってくれてていいかな……あ、でも、最初の頃は違ってた。落ち込んだりもしていたな。今でも「ヘロインやってるでしょ?」なんてメッセージが来るわ。「あの子にヘロインを売ってるのは誰なんだ!」って書き込みなんかも(笑)。拒食症じゃないか、皮膚病じゃないかって噂を流されたこともある。
ヘンリー:食べても、太らない体質ってやつ? アロウは僕らと同じくらいの量を注文して、全部は平らげないけど……まあ、普通に食べてるよな。

——でも、そういうのって密かに悩んでいる人も多いわけで、どう尋ねたものか迷ったんだけど……。

アロウ:ありがとう。でも大丈夫よ(笑)。
オースティン:そういえば、この質問って初めてかもね(笑)。
ヘンリー:だけどロックスターにとっては、最高のルックスだよ。変わってるのはいいことさ。

——グループにとって次のステップとは?

全員:(口々に)次のアルバムの制作。
アロウ:いま曲作りをやってる真っ最中。前作から極端に変化はしないと思うけど、もう少し時間をかけてビッグなサウンドにしたいと考えてる。前作は短時間で作り上げた感じだったから。急かされたわけじゃないけど、あっと言う間のレコーディングだった。でも、今度はもっとスタジオでじっくり時間を掛けて作りたい。

——じゃあ最終的な目標は?

ティム:自分たちの大好きな音楽を、こんなふうにずっと続けていけると嬉しいな。
ヘンリー:まあ、普通に食べれるくらい稼げれば。
オースティン:あと早く一人暮らしを……。

——え、もしかして実家暮らし?

ヘンリー:そんなビックリしなくても…(笑)。
オースティン:そう、全員まだ実家暮らしなんだ。
アロウ:私は最近はボーイフレンドのアパートに転がり込んでるけど。母親から「ママのこと覚えてる?」って、よく言われる。荷物は、実家に置いたまま。
ヘンリー:倉庫として使ってる(笑)。
アロウ:あとマイカーはあるけど、免許がないの(笑)。
オースティン:とにかく、グループ最大の目標は自立ってこと(笑)。