マヒトゥ・ザ・ピーポーの呼びかけからはじまった「NoWar 0305」。今私たちにできることは?

GEZANと主宰レーベル〈十三月〉からなる全感覚祭により開催された反戦街宣「No War 0305」。アーティスト・嶌村吉祥丸とともに、i-Dではインタビューを敢行。「No War 0305」という場を記録し、音楽とスピーチによるアピールに参加した7人の声を掲載する。

by Moe Nishiyama; photos by Kisshomaru Shimamura
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30 March 2022, 8:39am

3月5日、新宿駅南口。GEZANと主宰レーベル〈十三月〉からなる全感覚祭により開催された反戦街宣「No War 0305」。マヒトゥ・ザ・ピーポーの呼びかけにより、折坂悠太、七尾旅人、坂口恭平、大友良英、切腹ピストルズ、カネコアヤノ、原田郁子、篠田ミル、踊ってばかりの国、テニスコーツらの19組が参加。戦争反対を呼びかけ、今なお続くウクライナ侵略により危機的な状況に置かれている人たちへの寄付を募ることを目的とした音楽とスピーチによるアピールは、日中から日没まで約6時間に及んだ。

「No War 0305」について、マヒトゥ・ザ・ピーポーは開催理由を下記のように記している。

違った人同士が同じ主張の元で集まることは容易なことではない。2/26の在日ウクライナ人主催のデモには、ハチ公に誰かが貼った「NO WAR」のフライヤーの下に「プーチンを殺せ」というフライヤーが貼られていた。その矛盾に目を瞑り、束ねる熱狂はどんな美しい響きを持ってもなお危険さと隣り合わせで、自分がうまくいられなかった理由はそれかもしれないと思う。それでも、人と人が出会うことは可能性がある。自分の感情や言葉を手放さず、街に出ること、人に会うこと、それには想像を越えた可能性があると言い切りたい。(「No War 0305」Statementより)

会場には年齢や国籍、性別も異なる人が集い、中にはデモに初めて参加するという人、通りすがりの人、友達に連れられて来た人、さまざまな人がいた。オンラインで参加した人もいたと思う。では、あなたにとって「No War」とは何だろう?遠い国を主語にするのではなく、自らを主語にしたとき、何ができるのか。「No War 0305」は考え、言葉を交わすきっかけを与えてくれた。

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i-Dでは当日集会に参加したひとり、アーティスト・嶌村吉祥丸と共に、会場の声を記録するためインタビューを敢行。本記事では音楽とスピーチによるアピールに参加した7人の言葉を掲載する。

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下津光史(踊ってばかりの国、ミュージシャン)

──「NoWar 0305」に参加した理由は?

マヒトから連絡が来て即決しました。電話越しにいつになく悲しげに彼が怒っていたのを覚えています。どちらかの国を擁護するのではなく、あくまで反戦と戦争で傷ついた人たちへのサポートという〈十三月〉の主旨に賛同した形です。

── あなたにとって「No War」とは?

使い古された祈りの言葉。何度も愚かな戦争を繰り返してしまう人類が戦争の恐ろしさをわすれずに過ちを繰り返さないように、唱える全人類共通の合言葉。戦争が起こってしまうこの世界の空気を変える言葉。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

戦争絶対反対。プロパガンダからの巧妙なレールから外れないことには大枠が見えてこない。この戦争で誰が儲かって得をしているのか。いつも犠牲者は弱者。僕らは僕らの時代でこの人類史上で何度も繰り返される殺戮を止めなければならないと強く思います。地球は誰のものでもなくなるべく綺麗なまま未来に手渡したいです。

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カネコアヤノ (シンガーソングライター)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

絶対に歌いにいかなければ、という直感と、こんな私にもやれることがあるならば、という想いです。

── あなたにとって「No War」とは?

戦争反対です。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

悲しいです。人間みんなそれぞれのやり方で普通に生きて、普通に暮らしていくことが奇跡になるなんておかしい。だれもなにも救われない悲しみは要らないのに何故繰り返すのか、いくら考えても分かりません。

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七尾旅人(シンガーソングライター)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

極めて緊急性の高い出来事なので、打診をもらった時ぜひ歌いたいと思いました。どちらかといえば動員やシュプレヒコールが苦手だという友人が主催している点も参加しやすかった。

── あなたにとって「No War」とは?

人間にとって不治の病とも言える「戦争」を、いつか克服し、根絶するための合言葉のうちで、もっともシンプルなもの。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

ロシアによるウクライナ侵攻は、世界大戦や核の応酬に繋がりかねず、ドイツをはじめ欧州各国は軍事力の強化を表明し、世界の均衡はすでに大きく崩れつつあります。何の主体性も持たない幼児的な日本政府も、西側のこうした動きに追従するでしょう。戦争は感染し、人間を退行させる。でも、それに文化は対抗できる。志を忘れない限り。

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折坂悠太(歌手)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

連日の報道に気持ちが落ち込み、人の顔が見える場所に身を置きたかったから。このことについて、誰かと話したかったから。

── あなたにとって「No War」とは?

なんの捻りも、解釈の余地もない、道路標識のようなもの。21世紀を生きる人類の、唯一の世界通念。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

戦う事しか生き方・死に方を用意されない世界、私は怖い。誰かの自由を奪う自由は、誰にもない。今たまたま、銃を持たされず、銃口を突きつけられていない私は、考えなければならない。21世紀には、違うやり方がある。

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坂口恭平(作家、画家、音楽家)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

絵を提供してくれと声をかけてくれたけど、現場に行かなきゃわからないと思って、熊本からきました。

── あなたにとって「No War」とは?

今も日本では年間2万人以上自殺してるのでそれも戦争状態にあるという認識です。それで僕はずっと電話番号公開して死にたい人からの電話10年受けてるのですが、つまり10年戦争反対と叫んでるつもりです。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

戦争に参加した兵士も国に帰ってきてから自殺することが多い。自殺と戦争は繋がってます。戦争を直接止めることは難しいかもしれないが、電話番号を公開し、死にたい人が電話しやすくなることでかなり自殺は食い止められます。みんなで電話番号を公開して、No Suicideのために動きましょう。

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辻愛沙子 (株式会社arca CEO)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

アピールにて反戦、そして寄付の呼びかけをするためです。

  1. 今も戦禍のど真ん中で痛みを抱えるウクライナの方々に、そして現地から遠く離れた場所から祖国を思い不安で涙を流すウクライナの方々に、「あなたは1人じゃない。」「世界はウクライナをひとりにはさせない。」という声を届けること。
  2. かつて戦争を進めた当事者だった日本でも、この時代に「戦争反対」という声が確かにあり、思いを同じくする人たちがこれだけ集まったという事実を残しておくこと。
  3. それぞれの思想やスタンスや生きてきた背景が異なっていても、そして全く同じ"ひとつ"の主語にならなくても、「戦争反対」という意志は共に掲げられるということを可視化すること。
  4. 「戦争反対」なんて"当たり前"のことをわざわざ言ったって意味がない。そんなのは綺麗事だ。そんな冷笑の声や見て見ぬ振りをする姿勢の積み重ねが、いずれ侵略戦争を許す社会の歪みとなる。だからこそ、どれだけ小さくても個として声を上げ続け、時に連帯してそれを可視化していくことを蔑ろにしない、と言う意志の表れ

上記4つが、なぜあの場に私が立ったのかの意図でした。

── あなたにとって「No War」とは?

多くの血を流して20世紀に人類がようやく気づくことができた、我々の目指すべき先。イデオロギーやアイデンティティの如何に限らず、人類が共通して掲げていくべき意志であり、当たり前だからと決して後回しにしたり忘れたりしてはいけないものだと思います。過去の惨状を繰り返してはいけない。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

国はロシアへの経済制裁やウクライナへの支援をし、国連大使や外交官は言葉を使って意志を表明し、各企業は経済的対抗を示し、市民は連帯して反戦反侵攻の意を訴える。それぞれの手段で、同じ過ちを繰り返さない、暴力による侵攻を許さない、という姿勢を世界中が見せていることが、かれこれ1ヶ月にも及ぶこの悲惨な状況における唯一の希望だと感じています。

「戦争反対」という一見当たり前に思える言葉にすら、逆張りのリアリスト的冷笑を浴びせようとする人が一定数存在し議論がおこる。今の日本がそんな状況であるという危機感を同時に感じました。アプローチの仕方や国防に関する考え方の違いはあれど、保守かリベラルか、右か左か、といったイデオロギーの如何に限らず、「戦争反対」という意志は、20世紀の反省から学びを得た人類として議論の余地なく共通認識として持っていくべきものだと思います。政策や手法の前に、「No War」の意志を持ち続け可視化し続けることがまず必要なのではないかなと。日本では今それすらもできなくなっている現状なのかもしれません。

「戦争反対」と声をあげることは無意味じゃない。平和を祈ることは無意味じゃない。連帯は無意味じゃない。わたしは一人じゃない。あなたも一人じゃない。人々は平和を心から求めている。そしてそのためにちゃんと進んでいける。

スピーチでもお話ししたこの一節を、繰り返し繰り返し届けていきたいと思います。自戒の念を込めて。

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マヒトゥ・ザ・ピーポー (音楽家)

── 「NoWar 0305」に参加した理由は?

今このタイミングであえて言葉にする必要があった。

── あなたにとって「No War」とは?

政治という範疇をとうに越えた、当たり前の暮らしを奪う圧倒的な悪とそれに対する意思表示。誰や何が悪いとかの議論以前に、どの理由も人を殺していい理由にはならない。そのことに対するそれぞれの意思表示。

── 戦争について今感じていること、疑問に思うことがあれば教えてください。

このくらいのことはっきりとNOと言えなくていつ言葉にするのか。怒りや悲しみという感情はこんな時のためにあるのだと血が凍ったまま沸騰している。まずはこの感情からはじめたい。とにかく1秒でも早い終戦を祈っている。そのための直接行動。

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「No War 0305」でのウクライナ人道支援の寄付金についての報告は下記より確認可能だ。

#NOWAR0305 〈ウクライナ人道支援への寄付についてご報告〉

また、現在ウクライナの人々のために下記の団体から募金活動することができる。

UNHCRユーエヌエイチシーアール(国連難民高等弁務官事務所)への募金

1950年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により故郷を追われた難民・避難民を国際的に保護・支援し、水や食料・毛布などの物資の配布や、難民キャンプなどの避難場所の提供、保護者を失った子どもの保護や心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991~2000年の間、緒方貞子さんが第8代国連難民高等弁務官を務めました。
この国連の難民支援活動を支えるため、広報・募金活動を行う日本の公式支援窓口が、国連UNHCR協会です。

ユニセフ(国連児童基金)への募金ユニセフ(国連児童基金)は、パートナーとともにウクライナの人道支援の最前線に立ち、長引く紛争の影響を受けた厳しい状況にある子どもたちやその家族に、支援を続けています。

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