「私たちに必要なのはもっと深い癒し」#MeTooムーブメントの創始者、タラナ・バーク interview

#MeTooムーブメントの創始者タラナ・バークに、リアーナが質問を投げかける。

by i-D Staff; translated by Nozomi Otaki
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07 February 2020, 6:18am

この記事は、i-D特別号『Rihannazine』に掲載されている。購入はこちらから。この1回限りのプロジェクトのために、リアーナが現代のカルチャーを形づくる女性たちに様々な質問をぶつけ、彼女たちの2020年のヴィジョンを共有してもらった。

──自己紹介をお願いします。

私はタラナ・バーク。#MeTooムーブメントの創始者で、団体のエグゼクティブディレクターも務めています。

──あなたにとって成功とは?

何年も前、デートした男性たちに、彼らにとっての成功の定義を訊いていました。彼らが求めているのはお金や権力なのかを知りたくて。自分が質問される側になるのは面白いですね。私にとっての成功は、それとは少し違うものであってほしい。成功とは、人生のなかで自分の仕事に安心し、満足していて、そこに充実感を見出せることだと思います。私はまだ若い頃、14歳のときに人生をかけて取り組みたいことを決めて、それを実現することができました。それは#MeTooムーブメントだけじゃなく、大まかにいえば社会正義を求めること。自分がやりたかった活動はほとんど成し遂げられましたし、何かに貢献できたという実感もあります。ありがたいことですね。

「妊娠したとき、あるひとが素晴らしいアドバイスをくれました。『黒人コミュニティの未来のためになるのは、自分が見てみたいと願う世界を思い浮かべながら、黒人の子どもを育てること。それが、あなたが世界のためにできる最良のことだ』と。私はその通りにしたんです。それが私にとっていちばんの成功です」

──仕事でもプライベートでも、今まででいちばん大きな成功は?

私の娘です。23歳で妊娠したとき、まだ仕事を始めたばかりの頃で、周りからは「子どもをもつには若すぎる」といわれました。今思えば、たしかにそうだったかもしれない。でも、あるひとが素晴らしいアドバイスをくれました。「黒人コミュニティの未来のためになるのは、自分が見てみたいと願う世界を思い浮かべながら、黒人の子どもを育てること。それが、あなたが世界のためにできる最良のことだ」と。私はその通りにしたんです。

──では、あなたにとって最大の失敗は?

娘はクィアでノンバイナリーなんですが、12歳か13歳で初めて打ち明けてくれたとき、私はうまく対応できなくて。そのことについてはたくさん話し合って、私は謝りましたが、今でも思い出すといたたまれなくなります。当時の私は宗教との関わりに悩んでいて、子どもへの態度についても周りからいろんな影響を受けていました。それを恥ずかしいとは思いません。親密な関係を築けば、みんな状況をよく理解して、親身になって闘ったり、守ったりしてくれるようになる。だから感謝しています。〈ブラック・ライヴズ・マター〉というけれど、大切なのは私たち全員の命です。黒人も、クィアも、トランスジェンダーもみんな大切。あらゆるサバイバーのために立ち上がれないなら、ひとびとが生き延びるために立ち上がり、権利を訴えることなんてできるはずがない。先ほども言った通り、私は娘を心から愛しているんです。

──2020年を迎えるにあたり、新年も続けたいことと、2019年に置いていきたいことは?

2019年に置いていきたいのは、自分を疑う心、自分は未熟だという考え。みんなネガティブな物事を置いていきたいというけれど、私は自分の成長のきっかけとなるものを置いていこうとは思いません。思いやりがなく偏屈な考えに聞こえるかもしれませんが、私はネガティブな物事を忘れるつもりはないんです。人生のなかで、自分とともに前に進めるのは誰なのかをはっきりさせたいので。もしあなたがネガティブなエネルギーの源だとしたら、私はそれを忘れないし、ともには歩めません。

──もしリアーナにひとつだけ質問できるとしたら?

え、ひとつだけ? 大ファンなのに。リアーナの素晴らしいところは、彼女があるときを境にありのままの自分をさらけ出すようになり、それ以来ずっと気後れすることなく活動してきたこと。そのことについて訊いてみたいですね。どうやってノイズを消して、本当の自分をさらけ出し、自分らしく胸を張って生きることに集中できるようになったの?って。

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Tarana wears coat JW Anderson. Earrings model’s own.

タラナの2020年のマニフェスト

以前の私は、新年を大げさに捉えていた。考え抜いた〈今年の抱負〉リストを女友達に共有してきちんと確認してもらったり、目標やゴールを設定したり、ヴィジョンボードを作った年もあった。けれど、年末になる頃には、というより年末を迎えるずっと前に、その年の目標をすっかり忘れているのが常だった。1年を振り返ってみると、目標やゴールの実現にこだわるあまり、そればかりにとらわれてしまった年もあった。

今年は、新年、そして新たな10年を迎えるにあたり、以前のやりかたはすべて捨て去ることにした。実際、私たちが2010年代に置いていきたいものについて話す機会は多いけれど、私が最近よく考えるのは、自分が続けていきたいことだ。この10年で、とてつもなく悪いことも起こったけれど、良い出来事もたくさんあった。新たな10年の始まりに灯った革新的な光を、2020年代も絶やさないようにしたい。これまでの10年から、私たちは多くを学んだ。たとえば、今の世代やひとつ前の世代が廃止したもの、本当の自由とはどんなものなのか。それはセックス、セクシュアリティ、ジェンダー表現における自由。尊厳を損なうことなく、本当の自分、自分の弱さを大切にする自由だ。私にはもうヴィジョンボードは必要ない。私のヴィジョンは、私の魂に焼き付いている。どんな夢でも思い切り大きく描くべきだということを胸に、新たな10年に足を踏み入れたい。夢を叶えるには、原点に立ち返り、さらに大きな夢を持たなければいけないと教えてくれた思い出や教訓とともに。

私が新たな10年に持っていきたい言葉、考え、ゴール、目標は、〈癒し〉。癒しというものは過小評価されがちで、ビジネスや商品に結びつけられることが多い。でも、私たちに必要なのは、もっと深い癒しだ。私たちは個人として、集団として、癒しを求めている。私はそんな癒しを提供するパイプや源のような存在になりたい。生活を変え、世界を変えるべく、みんなに行動を促すために。

Credits


Photography Mario Sorrenti
Styling Carlos Nazario

Hair AKKI at Art Partner using Oribe.
Make-up Kanako Takase at Streeters.
Nail technician Honey at Exposure NY using Tom Ford Beauty.
Set design Jack Flanagan at The Wall Group.
Lighting technician Lars Beaulieu.
Photography assistance Kotaro Kawashima, Javier Villegas and Jared Zegha.
Digital technician Johnny Vicari.
Styling assistance Raymond Gee, Erica Boisaubin and Christine Nicholson.
Tailor Thao Huynh.
Hair assistance Rei Kawauchi, Takao Hayashi and Motome Yamashita.
Make-up assistance Aimi Osada & Megumi Onishi.
Set design assistance Akaylah Reed and Joe Arai.
Production Katie Fash.
Production coordinator Layla Némejanski.
Production assistance Fujio Emura.
Casting director Samuel Ellis Scheinman for DMCASTING.
Casting assistance Cicek Brown for DMCASTING.

This article originally appeared on i-D UK.

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