ファレル・ウィリアムス × カニエ・ウェスト対談:混沌のなかの信仰

伝説的ラッパー/敏腕プロデューサー/ファッション界のトップアイコンであるカニエ・ウェストとファレル・ウィリアムスが、クリエイティビティ、インスピレーション源、コミュニティについて語る。ロックダウン中に制作されたi-D最新号掲載の対談を一挙独占公開。

by i-D Staff; translated by Nozomi Otaki
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16 June 2020, 7:33am

本インタビューはi-D The Faith In Chaos, no.360に掲載されたものです。注文はこちらから。

この音楽界を代表するスーパースターたちを、どのように紹介したらいいだろう。彼らは音楽に限らず、現代の生活のサウンド、ルック、フィーリングを定義し、新たに作り変えてきた。ふたりのクリエイティブなヴィジョンが触れていないものは、もうほとんど残っていないくらいだ。

ファレルはパイオニアだ。1990年代初めからプロデュースグループThe Neptunesの一員として、その後は新たなメンバーを迎え、ジャンルにとらわれない反体制的なグループN.E.R.Dのフロントマンとして活躍。彼らが当時のヒップホップ世代のサウンドを形づくったといっても過言ではないだろう。今では、ビルボードのヒットチャートのいたる所に彼のスピリットが息づいている。正真正銘のソロアーティストとして活動する傍ら、アリアナ・グランデからミーガン・ジー・スタリオンまで、さまざまなアーティストの作曲やプロデュースを積極的に手がけている。

また、彼はヒップホップをハイファッションの世界へと進出させる青写真を提示した人物でもあった。彼の影響力はさまざまな勢力を築き上げたが、本人によれば、そのひとつがカニエ・ウェストの〈帝国〉だという。この世界で最も多忙なラッパー、デザイナー、建築家、敬虔なクリスチャンの言葉は、長きにわたってファレルにインスピレーションを求めてきた。ファレルがかつてラッパーからかけ離れていると考えられていたハイファッションの世界へと参入する第一歩を踏み出さなければ、Yeezyが現在のような1億ドル企業に成長することはなかったかもしれない。

2000年以降、何度もコラボレーションを重ね、世界中を飛び回っているふたりだが、彼らは何よりもまず友人同士だ。そして今、このコロナ禍においても自らのクリエイティビティを発揮している。今回のパンデミックは、ある意味では平等だ。私たちの誰もが、政治的にも社会的にも不透明な時代を生きている。しかし、私たちの多くは国のトップの言動に失望し、政治家ではなく信頼できる作品を発信するアーティストに、前に進む方法を見出そうとしている。

今回i-Dは、マイアミビーチにいるファレル・ウィリアムスとワイオミング州にいるカニエ・ウェストにインタビューを敢行。業界を越えて活躍するふたりが、すべての始まりや今活用すべきクリエイティビティ、人と人が切り離されている世界から立ち直るために私たちが行動を起こすべき理由について存分に語り合った。

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Pharrell wears hoodie and hat Human Made. Sunglasses (worn throughout) Chanel.

カニエ:ハロー!

ファレル:最近は何してる?

カニエ:ワイオミングでのんびり過ごしてるよ。君は?

ファレル:マイアミにいる。ビーチがあるっていいね。空気もピンク色の空も。子どもたちや家族もいるし、最高だよ。

カニエ:それに人混みからも離れられる。追いかけるなら群衆(crowd)より雲(cloud)のほうがいい。

ファレル:最高の気分だよ。ほこりやホワイトノイズに煩わされることもないし。ところで、今日はインタビューを引き受けてくれてありがとう。

カニエ:こちらこそ。

ファレル:僕たちが初めて会ったのは君がまだ駆け出しの頃だったよね。確か曲も出す前だったと思う。会った瞬間、「こいつはみんなとは違う」と思ったのを覚えてるよ。君の粘り強さはみんなに伝染するし、曲をリリースしてからは何もかもが君の予想通りになった。君は適切なメンバーを集めて、プロダクトや曲、体験をリバースエンジニアリング(※構造や仕組みを分析し、その構成要素を明らかにする)する才能に長けているし、そういうひとたちを集めるためならどんな苦労も惜しまない。だから、君があらゆる挑戦を成功させてきたのは当然のことだと思う。

カニエ:それこそが今まさに俺たちがやっていること、つまりここワイオミングでコロナの状況下での製造業のありかたについて考えることなんだと思う。6月に出る予定のFoam Runnerは、Yeezyが初めて米国でつくるアイテムで、国内で製造する手段を考えなければならなかった。でも、これは何かを説明するというより、どうアプローチするかという問題なんだ。歴史上のひとつの時代でも音楽ジャンルでもファッションのスタイルでも、みんな何かを行うためのひとつのアプローチに過ぎない。今年の夏は、いつも以上に人びとがイメージから受ける影響が大きいと思うから、試行錯誤してるよ。人びとが思い切って行動に出たり、世界のあらゆるものに向き合うハードルが上がってるような気がする。

この前、娘の誕生日でプエルトリコに行ったとき、ギターを弾いている男性に出会った。演奏が終わったあと、彼に多めにチップを渡してお礼を言って、こう伝えた。「ここであなたがギターを弾くのも、俺がスタジアムのど真ん中に立つのも何も変わらない。それが俺たちの仕事でしょう?」と。音楽は自分を表現するための最高のプラットフォームだけど、いつか表現の限界に行き着くときがくる。ラジオやメディア、マーケティングに関するアイデアにも、圧倒的にすばらしくてパワフルなものが存在するけど、〈ラジオでかけられること〉を目指していなければ、古い型を破ることなんてできない。俺たちがともに育ち、愛してきたヒップホップが重視していたのは、よくいわれていたようにラジオでかけられることを目指しているかどうか、ということ。俺たちを決めつけるものなんてなかった。

ファレル、君から受けた刺激のひとつが、恐れずに型を破ることだった。君がインスピレーション源なんだ。ピンクのポロシャツを着るようになったのもそうだし。そういう連鎖がはっきりと示され、証明されているから、今のカルチャーが形成されるまで君が与えてきた影響を遡ることだってできる。君が俺たちのファッション界への扉を開いたんだ。君がパリに行ったときみたいなエレガントな装いは、学ぼうと思って学べるものじゃない。それから『The Source』史上初めてスケートボードを持って表紙を飾ったり。俺たちが壁を破って全く違うことを始めた瞬間の数々が、この世代全体に刺激を与えてきた。あらゆるものがファレルが始めたことへとどんどん近づいていったんだ。

君はひと世代前のマイケル・ジャクソンみたいに、いろんな壁や扉を打ち壊したように感じた。特にマイケルがまるでドラッグを打ったみたいに、こっそり超ギャングスタ的な振る舞いをしたりしたところなんかはそっくりだと思う。MTVでエルヴィス・プレスリーの娘にキスしたりね。昔のブラックカルチャーっていうのは……みんなひと晩中他人になりすましたりしていたけど、マイケルは俺たちがこうするべきだとプログラミングされたこととは全く違うことをやっていた。ビートルズのバックカタログを買ったりとか。それがマイケル・ジャクソンだったんだ。俺たちのなかには、どの企業にも俺たちのヒーローを引き裂かせてはいけない、と訴える何かがあるはず。それが(ウェブメディアの)The Shade RoomでもSNSでも、ドキュメンタリーだったとしてもダメだ。メディアが俺にイチャモンをつけるたびに、「ほら始まった。ヤツらが俺をワコー・ジャコー(Wacko Jacko:マイケルの蔑称)しにくるぞ」って思う。それはある意味、彼らが昔からやろうとしてきたことなんだ。

シカゴで育った子ども時代を振り返ってみると、俺の友だちはみんなギャングスタで、夏に郊外に行けば俺は〈黒人の子〉と呼ばれた。当時はギャングスタラップに囲まれていたけど、俺がそれ以上に共感したのはファレルの言葉だったんだ。それからもうひとつ言っておきたいのは、ちょっと話は変わるけど、ヴァージニアがブラックミュージックにとっていかに重要かということ。よく話題に上がるのはデトロイトの重要性だけど、現代のブラックミュージックの中心はヴァージニアだよ! テディ(Teddy)、ファレル、ティンバランド(Timbaland)、それからJODECIの俺の親友といえば? ディヴァンテ(・スウィング)だ! 彼らのゴスペル的なコードが俺に与えた影響は、言葉じゃ表せないくらいだ。度肝を抜かれたよ。それからゴスペルのコードに対してパンク的なアプローチをとったのがファレルだ。ファレルはまさにパンクなんだ。君がライブでドラムを使い始めたあの瞬間は忘れられないよ。君は最高のアーティストのひとりだ。

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ファレル:こんなに褒めてくれるなんて、言葉が出てこないよ……。でも、僕ひとりだけじゃなかった。名前は知られていないかもしれないけど、そういうひとはたくさんいたんだ。そのおかげで僕たちは、当時メディアでいわれていたよりずっと多くの〈型〉を使えるということに気づいた。「じゃあ僕たちはどうなんだ?」って。僕たちはひとつの箱に収まってるわけじゃない。僕たちは図らずも多元論者なんだ。君だってずっと同じことを続けてきたんだろ? 君は正真正銘の本物だ。本当にそう思うよ。頭のなかではっきりと思い描いたものを形にすることができる。それこそが人間の体験を証明するものなんだと思う。人は誰しもその領域へと踏み出す力を秘めているけど、なかには生まれつきその方法を体得しているひともいる。そういう力に恵まれている君みたいなひとが、人間の精神は巨大で、僕たちは肉体だけでなく精神でも出会っているということをみんなに気づかせることができるかどうかは、そのひとの選択次第なんだ。

カニエ:この世界は俺たちが裡に秘めているものに気づかせないようにするから、何を犠牲にしてもそれを守らなくちゃいけない。サンセット大通りをドライブして大量の看板を見ながら、この映画が公開されるんだ、とか、あの曲がリリースされるんだ、とか思っていると、ありのままの自分を忘れてしまう。時には電話の電源をオフにして9ヶ月間ハワイに行ったり、家族みんなでワイオミングに引っ越してその答えを探したりしなきゃいけない。ここワイオミングでは、時間の流れも空間の広さも違う。他には何もないけど、空間と時間だけはたっぷりある。意識の流れも違うような気がする。自分を精神的に導いてくれ、ありのままの自分を思い出させてくれる物事を探すことに集中できるんだ。

みんなミュージシャンが最高傑作をつくる期限を定めようとする。でも、偉大なヴィジュアルアーティストや画家のなかには、50歳で活動を始めたひとも多い。ラルフ・ローレンだってPoloを始めたのは40歳になってからだった。

ファレル:今ピークとされているのは16〜25歳のあいだで、もちろん例外的に若くして成功するひともいるけれど、実際のクリエイティビティの可能性は、業界でのイメージとは全然違う。彼らは、僕たちが漁師みたいに海に網を投げ入れて何かがかかるのを待っている、ということをわかってないんだ。うまくいくこともあれば、何も収穫がないこともある。潮も満ちたり引いたりする。そのきっかけを掴めないときも、魚を取り逃がすことだってある。そういうことなんだ。全ては宇宙とのつながり次第で、そのつながりには時間も場所も関係ない。でも業界にそういう考え方はないから、誰もそのことを知らない。

カニエ:農家の人たちと農場を見に行くことがあるんだけど、豊作のときもあれば不作のときもある。全ては神のみぞ知るだ。2日前、山に沈む夕日を見てもらいたくてデザインチームをここに招いた。ときどきピンク・フロイドの『狂気』のジャケットみたいな景色が見えるんだ。でもその日はもやがかかってて、夕日は見えなかった。ただ灰色から真っ暗になっただけ。でも、湖のそばを通ったら白鳥や鳥や他の動物たちが現れて、突然あらゆるものが活気を取り戻した。俺たちは計画を立ててそこに行ったけど、結果は違うものになった。〈計画を立てれば神が笑う〉といわれるけど、毎朝俺たちはゲームのなかで目を覚ましている。神が主導権を握り、マスタープランを立てている人生というゲームのなかで……。あるとき父が、人生とは能力と物理的な力の拮抗だ、と言っていた。父の言葉のなかでも特に印象に残ってる。流れに身を任せれば、運命は1本の線になり、神が俺たちに望んでいることを理解し、これらのつながりに気づけるようになるんだ。

農場を経営してるのはいとこなんだけど、朝食のテーブルに座るひとの組み合わせとか、今ここで話している内容とか、話し相手すらも神の采配なのかもしれないと思うこともある。昨日昔ながらのレコードプレーヤーで(スティーヴィー・ワンダーの)『キー・オブ・ライフ』を聴いていた。ランチを食べながらこのレコードをかけてたんだけど、クリス・ジュリアンがスティーヴィーと全く同じタイミングで「全てが開けていく、あらゆるものが」と言ったんだ!

ファレル:スティーヴィー・ワンダーといえば、今思い出したけど、君に電話してほしいと言ってたよ。

カニエ:ちょうど今朝、昨日スティーヴィーに電話しなきゃいけなかったことを思い出したんだ。番号を教えてくれる? もちろん記事には載せられないけど!

ファレル:(笑)あとでメールで送るよ。

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Jumper, hat and bracelet Human Made. Shorts Patagonia. Watch (worn throughout) Richard Mille.

カニエ:今回のi-Dのテーマは「Faith In Chaos(カオスにおける信仰)」だけど、何について話そうか? クリエイティビティ? コロナウイルス?

ファレル:はっきりさせなきゃいけないのは、今僕たちが体験しているのは疫病だということ。僕は〈ニューノーマル(新たな日常)〉なんてものはないと思ってる。パンデミック以前の僕たちとこれから先の僕たちをはっきりと区別することなんてできない。パンデミックによって慎重になったり緊張感を持つひとは増えたと思う。これからの生活は、今までとは全く違う重みを持つようになる。それに今の僕たちはみんな離れ離れだ。オンラインでの距離は今までになく近づいているかもしれないけど、人と人は切り離されてしまった。まるでバベルの塔みたいだよね。みんながこれほど繋がれる時代は今までなかった。そこにはメリットもたくさんあるけど、もちろんデメリットも多いし、グレーゾーンも増えている。

それと同時に、愛がとても深い感情になっていく気がする。今まさに多くのひとが実感してるはず。もう前みたいに握手やハグで気持ちを伝え合うことはできない。経済に関しては、たとえどんな安定化措置が生まれたとしても、それはただ安定させるだけであって、日常を取り戻すことはできない。経済は波のようなもので、いつかは安定するときが来るけれど、たとえそうなったとしても、これほど多くの店が廃業に追い込まれ、多くのひとが職を失っているのに、〈日常〉なんて言えない。でも、人間はこれまで多くの疫病やパンデミックを乗り越え、生き延びてきた。だから今回もきっと乗り越えられる。どんな窮地に陥っても、いろんな方法で切り抜けてきたんだから。

カニエ:もうそのコメントのあとには、何も言わなくていい気がするな。

ファレル:君が感じてることも教えてほしい。i-Dからインタビューの相手は誰がいいか訊かれたとき、すぐに君が思い浮かんだんだ。君は世界で最も影響力のある人物のひとりだ。君の存在や物の見方はさまざまな世界に根付いてる。君が話せば、みんなが耳を傾ける。君の意見に賛成だろうと反対だろうと、とにかく君の声を聞こうとする。人びとに必要なものや、今の世界をどのように見ているのか、どうすれば人びとに癒しのヴァイブスを届けられるかを話し合うには、君以上にふさわしい相手はいないと思う。

カニエ:さっきまで隣にマネージャーのブーが座ってて、どうしてみんな米国に来たがるのか、米国のどこがそんなにすばらしいのかを話し合ってた。それから米国における貧しさとはっていう話になって、「アフリカで貧しいひとは…」って言いかけたら、ブーが俺の言葉を遮って「米国に来るよりもアフリカにいたほうがマシだ。アフリカにいれば、飢えないようにコミュニティが助けてくれるから」って言ったんだ。こういうメンタリティこそが、パンデミック後の世界で前に進んでいくために必要なんだ。変化を起こさなくちゃいけない。人間をひとつの種としてとらえ、メンタリティを変え、価値観を見直し、そうやって一新した価値観を通して世界を変えていかないと。世界を変える唯一の方法は、ひとが変わることなんだから。今、こうやってリセットしなければいけない状況になっているのは、それまでの世界が正しい方向に進んでいなかったから。全ては神に導かれていて、俺たちは今、みんなが救われ、答えを与えられていることに気づき、今何が起こっているのかをいっしょに考える機会をもらった。今は一旦立ち止まって真剣に考え、互いに本当の気持ちを尋ね合うための時間なんだ。俺たちは何を感じてる? 自分は? 君は? それから互いの考えを共有し合う。本当の気持ちを知ることが、最も深いレベルのコミュニケーションなんだ。

物事はもっとシンプルにできるって信じてる。俺たちの周りにはものが溢れてる。今はそれを見直して、本当に必要でシンプルなものに向き合うチャンスなんだ。

ファレル:そのとおりだね。今はまさに水瓶座の時代(Age of Aquarius:科学技術から文明、思想までさまざまなものが影響を受け、物質中心主義の時代が終わって精神性が重視されるようになる、またはテクノロジーによって生活が一変するなど諸説ある)なんだと思う。あらゆるものが概念的にも、文字通りの意味でも、比喩的にも宙ぶらりんな状態なんだ。信仰とは、目に見えることでも耳に聞こえることでもない。自分が何を感じるかだ。人類の感覚は今、これまでになく研ぎ澄まされた状態にある。

僕たちは今、みんな覚醒状態なんだ。たとえるなら、朝の3時か4時に疲れ切った状態で車で家に向かっていて、急ハンドルを切ったら友達か誰かに「おい!起きろ!」って叫ばれて「起きてるよ!」って言い返したときみたいな感じ。今の僕たちは目が覚めたんだ。以前の僕たちが起きてなかったっていうわけじゃない。誰もその違いに気づいてなかっただけだ。今は「ウォーク(社会問題に対して意識的であること)」という言葉をよく耳にする。その意味は理解できるけど、じゃあ「アップ」は? アップっていうのは疲れすら感じてないっていうこと。もう目をこすって眠気を追い出す必要はない。集中している状態。僕たちは今、完全に目が覚めた。音楽でも、アーティストでも、アートでも、自分で感じなきゃ意味がない。それが無理なら、二次元的な物の見方しかできないし、空間と時間の無駄だ。全てはフィーリング。あらゆるものがそうなんだ。

僕は自分が感じていることを話すことしかできないけど、この最悪な隔離期間が始まってから、みんなを包むパワーが今までとは違うような気がする。そう思わない? 僕たちのヴィジョン、気持ち、世界とのつながりとか、何もかもがより強まったような気がするんだ。君もそう? もし実体験があれば、君がどう感じているか教えてほしい。人びとは君の体験から何を学べると思う?

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Hoodie and hat Human Made. Shorts Patagonia. Ring Jacob & Co.

カニエ:変な感じだよ。周りに友だちがたくさんいて、アドバイスをくれるひとも雇って数え切れないほどの質問をぶつけたけど、俺自身に対して質問をしてきたひとは誰もいなかった。「君ならどうする?」って訊かれたことは一度か二度あったけど……。俺のアプローチがみんなに応用できるわけじゃないと思うけど、君が言ってることはよくわかるよ。今は製造を地元でやって村を盛り上げ、コミュニティを形成することに全力を注いでる。俺にとって、それは美しいことなんだ。

ファレル:それは今ワイオミングでやっていること?

カニエ:そう。去年の夏はホームレスのシェルターをつくった。シェルターをつくるときは〈ホームレス用〉と想定してつくることが多いけど、俺がつくりたかったのは、こだわりのある、本当の家のような場所だったんだ。それが終わると今度はドラッグやメンタルヘルスの問題はどうなんだ、と訊かれるようになった。ゲーティッド・コミュニティ(※閉鎖的な住宅地)でも、ホームレスの人びとにとっても、ドラッグやメンタルヘルスの問題は同じくらい深刻だと思う。みんなにインスピレーションを与え、自分も住みたいと思えるような空間をつくりたかったから、〈T-shirt of homes〉と呼ぶことにしたんだ。億万長者でもホームレスでもTシャツは持てるからね。

それから、これを建設できる場所に行った。アフリカで集団生活について学んだし、有機栽培や太陽エネルギーについても勉強した。これは今の俺たちに与えられたチャンスのひとつなんだ。街のつくりかたを学んでる。あるタトゥーアーティストがかなり下手くそなタトゥーを入れていたとする。それでもそのひとは最高のアーティストだ。なんでかっていうと、そのひとは自分で練習してるから。俺がこの20年で発表してきた作品をみればわかるように、俺も自分で練習してきたんだ。

ファレル:そうだね、それこそが神が君に与えたものなんだ。君は自ら積極的に携わり、体験してきた。すばらしい熱意だ。君は何よりもその熱意で賞をもらうべきだと思うよ。

カニエ:じゃあファレル、そろそろ妻と子どもたちと食事に行ってくるよ。カイリーとトラヴも来るんだ。家族の時間を楽しんでくるよ。

ファレル:最高だね!

カニエ:よい1日を。

ファレル:家族によろしく!

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Credits


Photography Mert Alas and Marcus Piggott

Digital set up and operations Niccolo Pacilli at Dreamer Productions.
Local digital technician Mike De Janon.
Post production DREAMER POST.
Casting director Samuel Ellis Scheinman for DMCASTING.

This article originally appeared on i-D UK.

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