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悩むことは美しい:小見山峻写真展「冴えない夜の処方箋」

眠れない夜の自問自答のための一夜限りの写真展が4月14日に開催される。小見山峻に今回のコンセプトや自問自答することについて訊いた。

by Noriko Wada
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13 April 2018, 9:52am

「眠りにつけないひときわ長い夜に、繰り返し巡る空想と記憶」がテーマだという小見山峻の写真展。眠りの糸口を見つけられない夜の自問自答という誰もが持つ体験をフラッシュバックさせるため、日没から日の出までの間に行われる。この刹那的な写真展に込められた小見山峻の想いを訊いた。

——今回の写真展『冴えない夜の処方箋』開催のきっかけを教えてください。
生活のなかで何気なく撮ってきた写真が溜まってきたのでやろうと思いました。今回は第一夜。次は熱帯夜に、野外でやろうかな。

——なぜ1日限定に、しかも夜明けまでにしたのでしょうか?
基本的に夜型なので、夜中にフラフラ歩いて撮ることが多い。タイトルにもつながってくるのですが、それはどうにもしっくりこない、寝ようとも寝れない夜に起こりがちで。その感覚をよりリアルに共有したい気持ちがあって夜間の展示にしました。あと昔何かで見た「なかなか寝つけないのは、あなたが今日一日が終わることにまだ納得できてないから」という言葉がすごく頭に残っているんです。その一夜の問答が朝日によって救われる感覚をより強調したかった。

——テーマの「眠りにつけないひときわ長い夜に、繰り返し巡る空想と記憶」について教えてください。
これは写真という部分にスポットを当てたテーマです。僕がいつも目指しているのは「空想と現実のちょっとした隙間」。「限りなくリアルに寄り添ったアンチリアリティ」って言葉がしっくりきていて最近よく使っているのですが、現実を記憶に留めるために生まれたカメラというツールで、非現実を求めている矛盾さが好きです。特に夜は一日のなかで非日常に近い時間帯。だからこそ、自分が空想と現実を行き来しながら撮影した写真の群であることを示したくてこのテーマにしました。

——「処方箋」という言葉が面白いなと思いました。眠れない夜の自問自答は自分への処方箋になるということなのでしょうか?
そうですね。僕の場合はそれが最終的に写真を撮ることに繋がってくるのですが。悩むことっていうのはすごく美しいことだと思っているんです。自分自身に対する悩みって、第三者が完全に解決することは絶対にできない。だから、最後の踏ん切りは自分でつけなきゃいけない。昼間はノイズが多くて考えるのが難しいので、ここぞとばかりに夜の間に向き合う。どれだけ悩んでも、スパッと解決してくれるような特効薬はないものだけれど、一歩進めるための処方箋にはなると思っています。

——世界中の人が自問自答したら面白いなと思うことを教えてください。
「今の自分に、自分は納得できるか」ですね。納得しないままの前進を積み重ねると、人はどんどん受動的になってゆくと思っています。降りかかる一つひとつのできごとから、納得のできるものを取捨選択して歩んでいくことで、アイデンティティは研ぎ澄まされていく。そうすれば、ヘンチキな風潮や馬鹿馬鹿しい世間体とか気にならなくなるんじゃないかと思います。なにより、自分が辿ってきた過程に納得できるならそれほど幸せなことはない。生まれたときに配られた手札は人によって全然違うけれど、それでもみんなが納得して生きていくことができる世の中だったら、と思います。だから、手さぐりで悩むことは美しい。

「冴えない夜の処方箋」
日時:4 月 14 日(土)午後5時から夜明けまで
会場:MIDORI.so GALLERY
住所:東京都目黒区青葉台 3-3-11 3F
※会場では限定の T シャツを販売