Larry Clark, Untitled (KIDS), 1995. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, gift from The Howard and Donna Stone Collection. Photo: Michal Raz-Russo, © MCA Chicago.

テーマは“思春期の性” 「Eternal Youth」展

思春期の性を描いたテリー・ジョーンズの映画『キッズ』のテーマを拡大させ展覧会「Eternal Youth」がシカゴ現代美術館で開催されている。ヴォルフガング・ティルマンス、ラリー・クラーク、フランチェスカ・ウッドマン、Calvin Kleinの作品が並ぶ。

|
apr 3 2017, 8:08am

Larry Clark, Untitled (KIDS), 1995. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, gift from The Howard and Donna Stone Collection. Photo: Michal Raz-Russo, © MCA Chicago.

写真家ラリー・クラークが監督を務めた映画『キッズ』が1995年に初公開されたとき、ニューヨークの映画館アンジェリカ・フィルム・センターは「『キッズ』は思春期の性について描いた作品です。劇中には過激な言語が用いられており、あなたの気分を害するおそれがあります。ご了承のうえご鑑賞ください。チケット料金の返還はいたしません」と書かれたピンク色の貼り紙を受付カウンターに貼っていた。なんと単刀直入で的確な作品解説だろう。当時19歳のハーモニー・コリンが脚本を書き、ガス・ヴァン・サントが共同制作指揮で参加した『キッズ』。スケーターのキャスパーと、"処女食い"好きのテリーが、当時は無法地帯だったロウアー・イースト・サイドで虚無的な"英雄行為"を繰り広げる物語だ。十代の若者たちによるセックスやドラッグ使用が赤裸々に描かれ、また女性の友情や家族の苦悩などもストーリーに織り込まれているこの映画には、90年代ニューヨークに暮らすユースのありのままの姿が浮かび上がる。思春期の若者の真理を扱った、おそらくもっとも影響力ある作品だろう。その影響力は今なお衰えることがない。現在、シカゴ現代美術館で開催されている「Eternal Youth」展では、企画自体の着想にもなった。

「シカゴ現代美術館が『キッズ』のスチル写真をすべて所蔵しているとわかり、それを中心とした展示を開催したいと考えたのです」と、美術館の上級キュレーターであるオマール・コリーフ(Omar Kholeif)はi-Dに話した。「この映画は、社会が性との向き合い方において変化を迎えていた時代を映し出しています。現在のような抗HIV/AIDS療法が確立されるまで十数年間続いたAIDS恐怖があった一方で、それを忘れて性を謳歌したいという気風も高まっていた90年代の半ば——セックスと恐怖が切っても切り離せない関係にあった社会で育った子どもたちが、思春期になって性の衝動と好奇心に従って生きる顛末を描いているのです」

Francesca Woodman, On Being An Angel, Providence, Rhode Island, Spring 1977, 1977. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, Gift from The Howard and Donna Stone Collection. © 1977 Francesca Woodman. Photo: Nathan Keay, © MCA Chicago

「Eternal Youth」展は、この映画のテーマを拡大させ、1990年代以降のアーティストたちがいかにユースを描き、捉えてきたかに探っている。このエキシビションでは、思春期を美術史の岐路として捉え、「若者たちがアートの中でどのように記録され、描かれているか」を見る者に改めて考えるよう迫っている。今回展示されている作品の数々を見れば、いかに私たちがユースを恐れ、そして情熱の対象として見ているか、または性的な、あるいは急進的な存在として捉えているかがわかる。若者は「私たちが恐れながらも求めてやまない存在」だとコリーフは言っている。

この展覧会には、アナログ時代から現代のデジタル時代までの、様々な作品が選ばれている。その中のひとりに、ヴォルフガング・ティルマンスがいるが、コリーフは「彼の作品は、クィア・サブカルチャーを切り開きました。そしてAIDS危機以来、誰もしなかったような方法でそれをムーブメントにまで押し上げていったのです」と称している。ほかにも、ジョン・ネフ(John Neff)やポール・ヘイヤー(Paul Heyer)、そしてクィアな欲望とそれが体にもたらす影響と関係をテーマに作品制作をする、若いアーティストたちの作品も展示される。それらの作品は、写真家ハーブ・リッツがマーク・ウォルバーグを撮影したCalvin Klein広告写真(ユース神話を打ち立ててセクシュアリティの象徴となった)と並列されて展示されている。

Francesca Woodman, Self-portrait talking to vince, Providence, Rhode Island, 1975-1978, 1975/78. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, Gift from The Howard and Donna Stone Collection. © 1975/78 Francesca Woodman.

ダウード・ベイ(Dawoud Bey)、フランチェスカ・ウッドマン、アマリア・ウルマン、そしてライアン・トリカーティンなど、インターネット時代の若者の描かれ方を逆手に取った、挑発的なパフォーマンスを作り出すアーティストたちも参加している。「会場へ入ると、まずはイギリスのアーティスト、エディ・ピークが2014年に制作した作品があなたを出迎えます。この作品は、『Destroyed by Desire(欲望によって打ち砕かれた)』という文字を鏡に描いたペインティング作品。あなたは鏡に映る自分にその言葉を重ねて見ることになります。欲望によって若者を打ち砕く者と、打ち砕かれる若者——鏡に映る自分に、あなたもまたその世界の一部なのだと気づかされるでしょう」とコリーフは説明している。

「Eternal Youth」展は、2017年7月23日まで、シカゴ現代美術館にて開催。詳しくはこちら

Dawoud Bey, Carrie I (detail), 1997. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, restricted gift of Jane and Gary Wilner, Anita Blanchard and Martin Nesbitt, Lynn and Allen Turner, James Reynolds, Sandra P. and Jack Guthman, and members of the New Group. © 1997 Dawoud Bey. Photo: Nathan Keay, © MCA Chicago.

Larry Clark, Untitled (KIDS), 1995. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, gift from The Howard and Donna Stone Collection. Photo: Michal Raz-Russo, © MCA Chicago.

Larry Clark, Untitled (KIDS), 1995. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, gift from The Howard and Donna Stone Collection. Photo: Michal Raz-Russo, © MCA Chicago.

Wolfgang Tillmans, The Cock (Kiss), 2002. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, Joseph and Jory Shapiro Fund by exchange © Wolfgang Tillmans. Courtesy of David Zwirner, New York, Galerie Buchholz, Cologne/Berlin, and Maureen Paley, London. Photo: Michael David Rose, © MCA Chicago.

Jack Pierson, Palm Springs, 1990. Edition 2 of 25. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, restricted gift of The Dave Hokin Foundation. © 1990 Jack Pierson. Photo: Nathan Keay, © MCA Chicago.

Thomas Ruff, Porträt (C. Kewer), 1988. Edition 3 of 4. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, Gerald S. Elliott Collection. © 1988 Thomas Ruff. Photo: Nathan Keay, © MCA Chicago.

Mariko Mori, Birth Of A Star, 1995. Collection Museum of Contemporary Art Chicago; gift of The Peter Norton Family Foundations. © 1995 Mariko Mori. Photo: Nathan Keay, © MCA Chicago.

Sam Taylor-Wood, Soliloquy V, 1998. Collection Museum of Contemporary Art Chicago, Gift from The Howard and Donna Stone Collection. © 1986 Sam Taylor-Wood. Photo: Nathan Keay, © MCA Chicago.

Eddie Peake, Destroyed By Desire, 2014. Gift of The Gareh Family.

Credits


Text Emily Manning
Images courtesy of MCA
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.