より良い2017年のために:戦う7人のオーストラリアン

俳優・女優、モデル、ミュージシャン、アーティストなど、世の中には私たちの人生を目に見える形で豊かにしてくれる人々がいる。

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nov 15 2016, 5:20am

多くのひとに愛され、感謝もされるが、一方では人知れず世のため人のために尽くしている人たちもいる。そして私たちのコミュニティに安全と幸せと自由をもたらし、私たちを守ってくれている人たちがいる。最新号の『i-D』は、私たちの権利のために戦ってくれている人々にスポットライトを当てているが、ここでも、人知れず私たちが住む世界を変えてくれるであろう人物に焦点を当て、紹介したいと思う。

ディアドレ・フィッジ(Deirdre Fidge28
職業は?
作家でもありソーシャルワーカーでもあり、精神衛生の分野での活動家でもあります。作家としてはフェミニズムやLGBTQ関連の問題、最近の腐った政治を扱ったコメディを書いています。精神病やセクシュアリティに関する個人的なエッセイも書いたりしていますね。
情熱を傾けているものは?
人間の洋服を着せられた犬。LGBTQの権利。それと社会正義。
恐れているものは?
毎晩、寝ようとすると襲ってくる、心を蝕むような孤独感と"存在"という概念につきまとう不安……うそ(笑)! 蛾が怖い!
尊敬しているひとは?
もっと良い作家に、もっと良いコメディアンに、もっと良い活動家に、そしてもっと良い人間になりたいと思わせてくれるひとはたくさんいます。母はこれまで一貫して、私にとって支援と力の象徴のような存在です。私に長所があるなら、それはすべて母のおかげだと思います。ナキア・ルイ(Nakkiah Lui)、クレム・バストウ(Clem Bastow)、アナ・スパルゴ=ライアン(Anna Spargo-Ryan)は作家としてもっとも尊敬している3人。親友のベク・ショー(Bec Shaw)は優しくて賢くて、それから最高に面白くて、あらゆる意味で尊敬しています。
世界にひとつ言ってあげられるとしたら?
「あなたは素晴らしい。あなたにはもっと良いことがたくさん起こっていいはず」
2017年、あなたは何のために戦いますか?
声なき人々の幸せを阻む社会的な構造と体制を打ち崩すために戦います。みんなで声をあげましょう。
@figgled

アトン・アテム(Aton Atem25
職業は?
アーティストであり作家であり……それと、たまにパイも焼いています。
情熱を傾けているものは?
植民地解放と団結、人々の個人的な体験を語り合うこと、自分の気持ちを文字にすること、それとSFですね。
何にワクワクしますか?
未来です。社会的な変化のために積極的な活動を繰り広げているコミュニティと多く関わることができている自分を幸せだと感じています。特にカナダ先住民ファースト・ネーションの人々や南スーダンの若者たちの中には、根が深い社会問題をオープンに訴えているアーティストや作家、活動家がたくさんいて、彼らによって開かれるであろう未来が楽しみです。
尊敬するのは?
スーダンでの生い立ちやスーダン人民解放運動での経験を話し聞かせてくれる母です。母、叔母、そして大叔母たちがいたからこそ今の私の人生があるわけで、アーティストとしての私がいまこうして存在するのも彼女たちのおかげです。また、私がなすことすべての根底にある社会的責任の概念や植民地解放の考えは、彼女たちがそれを生き抜いてきたからこそ私に根付いているわけです。彼女たちが生き抜いてきた現実は私がいま目にする現実よりもずっとずっと過酷だったはずですが。私はこれからも社会の変化を目指して戦っていくつもりです。黒人女性こそが世の中を動かしていると信じています。
世界にひとつ言ってあげられるとしたら?
私のママのアドバイスを聞いてみて。
最も誇りに思っているものは?
最近になってようやく自分自身というものを受け入れ、理解し始めたんですが、何よりも私のまわりにいてくれる黒人たちを誇りに思っています。特に、私にエネルギーを与えてくれて、助けにもなってくれて、知的で優しい、若い黒人女性たち——彼女たちあっての私です。
@atongatem

エイヴァリー(Avery21
職業は?
DJ、写真も撮ります。
情熱を傾けているものは?
敬意と愛、慈悲の心をベースとしたコミュニティを作ること。
何にワクワクしていますか?
トランスジェンダー女性としての人生。
怖いものは?
トランスジェンダー女性としての人生。
尊敬しているひとは?
誰のことも尊敬はしていないかな……私が信じるのは、人と人のあいだに生まれる相互的な敬意のようなものです。
世界にひとつ言ってあげられるとしたら?
私たち人間は皆がまだ未熟なのだ、ということ。
最も誇りに思っていることは?
生き抜いてきたということ。
2017年、あなたは何のために戦いますか?
コミュニティ。
@4vry

サーシャ・チフラ(Sasha Chifura20
職業は?
アーティスト。タレント・マネージメント。それと、Valve Soundsというレーベルの共同経営をしています。
情熱を傾けているものは?
起業家精神ですね。リスクを負って何かを築き、育んでいきたいという欲望と、何か大きな意味のあるものを作りたいという情熱を満たしてくれるから。
尊敬するひとは?
ジェイZにはこれまでずっと影響を受けてきました。最近ではオプラ・ウィンフリーとセリーナ・ウィリアムズから大きな力を得ています。仕事に対する姿勢や献身の姿、ブランドを成長させていくためのユニークでクリエイティブなアプローチに、感ずるところがあります。
世界を変えられるとしたら、どのような変化を?
問題を前に、それがなんであるかを社会から特定されるのでなく、個々に論理的に考え、特定する能力を一人ひとりが持てたらと思います。それぞれが社会構造を個々に理解して、それぞれの経験をベースに社会のなかで機能していけば、世界にはより教養ある人口が増えるだろうし、多くの問題はそんな人々がアイデアを持ち寄ることで解決できるはずだと思います。
2017年、あなたはなんのために戦いますか?
私が愛する人々の成長と勇気のために戦います。この世界はいつでも問題に溢れているから、残念ではありますが個人がそれらすべてを解決するために身を捧げるわけにはいかないのが現実です。自分や愛する人々に直接的な影響がある問題を優先して取り組むということも、ときには大切だと私は思います。
@valvesounds

ネヴィーナ・スピロフスカ(Nevena Spirovska
職業は?
オーストラリアセックス党秘書官とビクトリア州議会選挙官を務めるかたわら、現在、ホームレス状態にある女性たちに助けとサポートを提供するメルボルン・ピリオド・プロジェクトや、第一次対戦中にオーストラリア軍の兵士や現地フランス人など多くの人命が奪われたポジエールに「学校を建設しよう」と活動しているスクール・プロジェクトのキャンペーン調整官を務めています。
情熱を傾けていることは?
アイデアを実現させるということ。
何にワクワクしていますか?
今日より少しでも良い明日。
恐れていることは?
想像を超えるほどの世界的惨事を、世界の市民たちによって選ばれたはずの政治家たちが、男性至上主義的見地から間違って対処する世の中。
尊敬するのは?
誰からも感謝されずとも善行に献身する人たち。
世界を変えられるとしたら、どんな変化を?
医療への無制限のアクセスが世界規模で実現すれば良いと思います。
最も誇りに思っていることは?
オーストラリアセックス党での取り組みで、2015年、ビクトリア州に「セーフ・アクセス地域」を制定できたことですね。これによって、中絶を望む女性たちがハラスメントを受けずにクリニックのサービスを受けられるようになったのです。
2017年、あなたは何のために戦いますか?
合理的な市民の自由を実現したいです。そして、安楽死の権利、個人でのマリファナ使用、タンポンを消費税対象商品から外すこと、それとお菓子のShapesのオリジナルの味を何としても残すことですね。
@nevenaspirovska

オーナー・イーストリー(Honor Eastly27
職業は?
アーティスト、ポッドキャスター、ひとの感情を感じ取るプロのフィーラーです。精神衛生に焦点を当てたことがやりたくて、アートとアクティビズムの中間点で活動をしています。
情熱を傾けているものは?
精神衛生とアイデンティティ、カルチャーが絡み合って生まれるものに興味があります。今はまだ「精神衛生」というと医学的なものと解釈されがちですが、私は精神の不安定は文化的・社会的不正によって引き起こされるものだと思っています。狂気をどう解釈するかが私たち自身を物語り、私たちが存在している社会というものを物語るということに、強い興味を持っています。
世界を変えられるとしたらどんな変化を?
「精神衛生に関する変化を」と言いたいところですが、環境破壊によって引き起こされている問題が何と言っても恐ろしいですね。地球がなければひとの精神衛生に関する問題もないわけですから、そろそろ地球に関して皆で何かを始めましょうよ。
世界にひとつ言ってあげられるとしたら?
最近、ずっと心に残っている言葉があります。「自分を悪と考えるひとはいない」というものなんですが、それが本当だとすれば、誰もが「自分は良いことをしている」と考えている、もしくは自分がやっていることを正当化しながら生きているということになりますよね。そう考えると、世界に対する私の好奇心は尽きることなく、私は今後も世界における自分の立ち位置について学んでいけるわけです。この世界のすべてのひとが理由あって現在のあり方に至っているのであれば、私はまだそれをすべて理解できていないということになりますから。
最も誇りに思っていることは?
『ノー・フィーリング・イズ・ファイナル』キャンペーンですね。人々に、オーストラリアの国民健康保険メディケアの調査に参加するよう呼びかけたんですが、メディケアの体制改善のための調査に参加した人の8%が私の呼びかけから参加したという結果が出たんです。ひとりの力にしてはすごいでしょう?あれで「声を上げる」ということが持つ力と、ネット上でのマーケティングの力を知ったような気がします。
2017年、あなたは何のために戦いますか?
精神衛生の分野に関する議論を活発にしていけたらと考えています。フェミニズムに関する深い議論は盛り上がりを見せ始めていますが、精神衛生や精神病をどう捉え、どう扱っていくかに関する社会としての実際的な議論は未だ不十分です。現在、私は「人間の苦悩を理解する新たな方法を探る」ということに情熱を傾ける同志たちと、「コミュニティを作ろう」と働きかけています。もし、これを読んでいるひとの中に「私も」と思ってくれるひとがいたら、私に声をかけてください。一緒にそんなコミュニティを作りましょう。
@Honor_Eastly

ケイト・パーン(Kate Pern28
職業は?
看護師で、Cool Roomのセーフティ・コーディネーター、トレーニング&コンサルティング事業Safer Spaceの経営も手がけるかたわら、ペルノ・インフェルノ(Perno Inferno)名義でDJもやってるの。
情熱を傾けているものは?
犬、チーズ、性的暴行の未然防止対策、フライドポテト、音楽の世界における多様性と平等の機会、安全なダンスフロアを作り出すこと。
恐れているものは?
ヘテロセクシュアルが普通で、男性が優位だという力構造。薬剤に耐性を持った細菌。それと制御が効かないぐらいに発達した人工知能。
尊敬しているひとは?
テレ・テミルツ(Terre Thaemiltz)ことDJスプリンクルズ(DJ Sprinkles)ね。テレは素晴らしいDJ・プロデューサーで、私たちが知らず知らずのうちにジェンダーやセクシュアリティに向けてしまっている視点に、真っ向から疑問を投げかけてくるの。テレの音楽も、その堂々とした自己表現も、白人男性至上主義にでっち上げられた「ジェンダーの二分化」という現実に立ち向かうその姿勢も、すべて尊敬してるわ。
最も誇りに思っていることは?
難病と向き合った経験。慢性疲労症候群と診断されて、大好きだった仕事を辞めざるを得なくなったとき、私にとって"エネルギー"は「いつでもそこにあるもの」ではなくなったのね。すぐに疲れるようになった。どんなやりとりも、アクティビティも、身体的・精神的・感情的なエネルギーを多分に必要とするものなんだと気づいた。そこで、世界との付き合い方を考えざるを得なくなったの。それまではどうしても苦手だった「断る」ということを学んだ。いわゆる「仕事」というものと、それとの付き合い方をもろとも諦めざるを得なくなったとき、社会がいかに特定の価値観を押し付けているかが見えてきた。でも同時に、あの経験をきっかけにして、私は自分が情熱を傾けられるものに時間と労力を捧げるようになった。そうやって立ち上げたのがSafer Spaceであり、Cool Roomであり、DJだった。発病する前だったら、仕事が忙しくて絶対にできなかったことばかりよ。
2017年、あなたは何のために戦いますか?
より安全な空間を世界に作っていきたい。誰もが、安全を感じられる空間を必要としているはず。残念なことに、多くの女性や有色人種、LGBTQ+の人々は暴行やハラスメントの危険に日々さらされている。クラブなんかではそれが普通とさえ考えられているんだから。2017年は、教育やコミュニティの存在が功を奏して、そこに観客にもDJラインアップにも多様性が見られるようになって、きっととてもポジティブな変化が見られ始めると思うわ。
@sternpern

Credits


Photography James Robinson
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.