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fashion east spring/summer 17 at london fashion week

Fashion Eastは今シーズン、マティ・ボヴァンのランウェイショーデビューや、A.V.ロバートソンやリチャード・マローンのランウェイ復帰、そしてミミ・ウェイドのB級映画ファッションショーに沸いた。

by Charlotte Gush
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29 September 2016, 10:10am

今季Fashion Eastのショーでは、なんといってもMatty Bovanに目が釘付けとなった。セントラル・セント・マーチンズでトレーニングを積み、ヨークにある実家の庭の納屋で創作活動を続けているデザイナーのマティ・ボヴァン。これまでにロンドン・ファッションウィークでフルコレクションを発表した経験はなかったが、最新のMANショーでCharles Jeffreyのためにメタルと粘土のチャームを作ったり、i-Dで独自のビューティメイクを考案してくれたりと活躍を見せてきた。

Matty Bovan spring/summer 17

ランウェイデビュー作となった今季のコレクションで、ボヴァンは幻想的なスタイルを日常着に落とし込んだルックスを披露した。「イギリスに古くから伝わる伝説と神話に登場する生き物たち」そして「ニューヨークのダウンタウン、アーティストのマリポル、ニーナ・ハーゲン」にインスピレーションを受けて制作されたというこのコレクションは、カラー、素材感、そして装飾の氾濫ともいうべき世界観となった。ディアマンテを散りばめ、ピンク、ブルーシルバー、ゴールドのストライプを描くメッシュのブラトップが、マッチしたアームレットやシルクスクリーンプリントが鮮やかなパフスリーブのドレスに合わせられ、これまたマッチしたスキニーパンツに重ねられるなど、彼ならではの感覚が大いに表現されていた。ピンクのロング・スポーツメッシュガウンには上からディアマンテ・メッシュのネット地ストリップが重ねられた。すべてのコーディネイトには、ネオンカラーの網タイツに、アクセサリーをたくさんつけてハンドペイントを施したCoachのバッグ、さらにTatty Devineのジュエリーや、ボヴァンの母プラムによる粘土づくりのブローチが合わせられた。

Matty Bovan spring/summer 17

A.V. Robertsonは、先シーズンのように観客席のフロント席にマーク・ジェイコブスに座ってもらったり、大物モデルやアーティストを起用しなくても、十分にインパクト大のショーを開催できるのだと世界に証明してみせた。今季のロバートソンは、焦点を服に絞ることによって、実に中毒性のあるコレクションを生み出した。これまで通り、インスピレーションは自身が見た鮮明な夢から得ているというデザイナーのエイミーは、今回のコレクションで、見る者を「有害なネオンの植物が育つ、汚染された楽園」へといざなう。そこには『トリフィド時代』や『禁断の楽園』など、1950-60年代にかけて作られたホラー映画からの影響も見られた。

AV Robertson spring/summer 17

先シーズンまで見られた花の装飾は、今季、どぎついグリーンやパープル、オレンジに染まり、Swarovskiのクリスタルとともにシルクブラウスやメッシュトップに刺繍され、輝いていた。そして、ダブルジッパーや長く垂れ下がるベルトなどのディテールが施されたパンツやスカートと合わせられたダークでエレガントなジャケットに怪しく浮き上がった。

AV Robertson spring/summer 17

Richard Maloneは、肉体労働者のワークウェアへと原点回帰を果たした。「自分の原点。そこからはどうやっても完全に離れることはできない。ワークウェアは常にアップデートされているしね」と、マローンはショーのバックステージでi-Dに語ってくれた。「イギリスのEU離脱や、学費の高騰の影響もあって、ロンドンではワークウェアというユニフォームが矮小化されてきているように感じる——もしくは、盗用に近いかたちでワードローブに要素として取り入れられる一方で、当然の敬意が払われていないように感じる」。ヒップスターが労働者のジャケットパターンを安易に取り入れるのとは異なり、マローンは、たとえば病院のクリーニングスタッフが着るユニフォームに用いられてきた素材の歴史を学び、その要素を18世紀調のコルセットなどとミックスすることで「ワークウェアへオマージュと敬意を贈りたい」と話す。「18世紀というと、コルセットやバッスルを連想するけど、スモックのようなアイテムも同等に重要なはずなのに、どうしても見落とされがち」と彼は説明し、「だからこそこうして形にして、ひとに見てもらうことは大切だと思う」と付け加えた。

Richard Malone spring/summer 17

また、マローンは青と黄色のストライプへとリサイクルされた再生素材からスポーティなカットアウェイトップスやミニドレス、ショーツ、フレアパンツなどを作り出した。白のアクセントが眩しい、ソフトなコルセットのようなディテールがほどこされた明るいオレンジのレーサージャケットには、マッチしたハイウエストのパンツが合わせられ、これがコレクションのハイライトとなった。しかし、固定器具なしで身体にまとうことができる、渦巻くような形のファブリックアートこそがなんといっても今コレクションの目玉だった。「身体のまわりにフォルムを作り出す彫刻のような作品」とマローンは説明する。「最初はまず、大きな曲線を描いたドローイングから始めました。僕が作るスケッチは大きいんです。15平方フィートほどかな。そこに色付けをすることもあれば、それをカットしたりすることもあります。必ずフォルムからデザインを構築していきます。平面でデザインしたり、イラストを描いたりすることはありません。必ず実際の人体にデザインをしていくことで、実用的で機能的な服を作るんです。今回の作品はどれも背中が大きく開いていて、どこにもクロージングがないのに、身体にしっくりはまるようにデザインしています」

Richard Malone spring/summer 17

ランウェイショーを前に、Fashion Eastでの発表は2シーズン目となるMimi Wadeの展示会が開かれた。前シーズンに続き今季もまたインスピレーションはB級映画スターだった祖母から得たという。またハリウッドのファウンテン通りにある実家の内装からも着想を得たと語っている。実家にある自室の壁には一面に映画ポスターが貼られ、椅子は薄いピンクのサテン地、そしていたるところに犬のフィギュアが置かれているそうだ。ヒョウ柄のプリントや牛のプリント、デニムにプリントされたアニメキャラ、そしてレースがアクセントになったオレンジの肌着風ドレスには水中に生息する怪物が闘うシーンがプリントされていた。「悪魔のような美しさ(Infernal Beaute)」などB級映画風のスローガンが赤から黄色へのグラデーションで象られ、黒いレースがあしらわれたピンクのドレスにプリントされていた。また、映画『バーバレラ』シリーズのポスターに書かれた「成人向け作品」という警告文までがデザインに用いられ、切りっぱなしのへりやフリルがあしらわれたスクエアタイプの襟ぐり、そしてパフショルダーなどのディテールが散りばめられたチェリーピンクのオルガンザドレス胸部分に大きくプリントされていた。

Mimi Wade spring/summer 17

「おばあちゃんの家の冷蔵庫のドアには、おばあちゃん自身が飼っていたわけではないけれどおばあちゃんが知っていた死んだ動物たちの写真がたくさん貼られていて。だから、ジュエリーのクリスタルのなかに、それらの動物たちを永遠に閉じこめたの」とデザイナーのミミ・ウェイドはi-Dに語った。またウェイドは、彼女の祖母の行動からもインスピレーションを得たとも話す。「おばあちゃんは、家のなかにある女性がいて、その人が物を盗んでると信じているわけ。それで、その女性に強い語気の置き手紙をして回るの。『いい加減にしなさいよ』とか書いてあるんだけど、その置き手紙にはウサギとかお花のシールを一緒に貼ってもいて、強い語気を可愛さが取り囲んでいるのよ。悲しいと同時に、そこにユーモアを見い出すこともできる」。その祖母へのオマージュだろう、フローラルプリントのバスティエには、『あなたがいなくてよかったわ!』と書かれたポストカードがプリントされていた。

Credits


Text Charlotte Gush
Catwalk Photography Mitchell Sams
Presentation photography Chris Yates
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.