PHENOMENON RGB

最終日迫る、PHENOMENON: RGB 展を知るための10のポイント

ラフォーレミュージアム原宿にて開催中のYOSHIROTTENら参加の展覧会「PHENOMENON: RGB」の最終日が11日 (月)に迫る。本日、10日(日)には17時よりフリーエントランスのレセプションも開催。

by YOSHIKO KURATA
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10 March 2019, 2:05am

PHENOMENON RGB

携帯のディスプレイ、街中の電子広告、巨大化するテレビ、ビジネスマンだけでなく世界の人々の生活を支配する電子機器。私たちの視界にディスプレイが映らない日なんてない。

iPhone、スマートフォンの誕生から長い月日が経った。デザインと機能性を追求したその塊を崇めるだけではなく、いま人々はコミュニケーションツールという枠を超え、自由な解釈を持ってそのデバイスを転がし、遊び、なにかを表現している。

国分功一郎著『暇と退屈の系譜学』によれば、原始時代、機能のために生まれた土器さえも縄文時代で(機能しない)複雑な装飾を施され、それらは人々の心理的な空間を拡大し複雑化させた。その中を人々は「移動」をすることで、もてる能力を適度に働かせ、次第に「文明」としての形を歴史に残すこととなったという。

いま私たちの手元で光る板の持つ最大の魅力とは ー 物質の重さから解放を得た創造というデバイスツール。RGBという光の三原色を放ち、わたしたちの視覚を通して抽象的ななにかを具現化する。

これらのデバイスはわたしたちの視界機能を支配しながらも、創造をさまざまなカタチに具現化し用途は広がりつづけている。その現象に注目した「PHENOMENON: RGB」展に参加するYOSHIROTTEN、河野未彩、Jonathan Zawadaらを介し、紐解く10のポイント。

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YOSHIROTTEN

1. Red 赤・Green 緑・Bleu 青

小学校の頃に習った光の屈折、名盤として残るピンクフロイドの「The Dark Side of the Moon」のジャケット、大雨の後にうっすらとあらわれる虹。そして、わたしたちが熱心に見つめる携帯から放たれる光。すべて人間の視覚認知できる色彩は、光の波長 — 可視光線のもと見えている。そして、Instagramのフィードに流れてくる様々なカラフルな画像の色はすべてたった3色のR(レッド)・G(グリーン)・B(ブルー)によって構成されている。

2. なぜわたしたちはディスプレイに夢中なのか?

皮肉なことに、ついに携帯の方から使用時間「スクリーンタイム」をアラートされる程、人間は携帯の先にあるアプリやゲーム、人との通信に熱心になっている。90年代のファッション雑誌を見れば、人々の未来予想を語る上で「人々はあらゆる日常のことを大げさに捉え、通信に躍起になる」と書いてある。まさにその通りだ。「依存症」自体は、今に始まったことではないが、しかし他に比べてテクノロジーがここまで日常の隅々まで繁殖できたのは、その鮮やかな色彩と常に起きるゲーム性(いいね!を更に獲得したい / 新しい話題を見つけたい)をもとに人々の心理にまでも介入してきたからだろう。この展覧会では、人々の喜怒哀楽の感情さえも揺さぶってしまうその視覚体験を用いる気鋭のアーティスト9名が会場を鮮やかに照らす。

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3. 「信号」を交信する40台のモニターたち

日常生活のあらゆる場面に存在するRGBの光とYOSHIROTTENの遭遇は、電気屋にずらりと並ぶモニターコーナーで起きる。会場に並ぶ40台のモニターは、まるでこちらに何か交信、違う視覚・聴覚のコミュニケーションツールで話しかけているよう。彼にとって何か注意喚起を促す信号機として捉えられたモニターに映る無数の記号たちとティザ合成によってつくられたイメージたちが、ダイアナチアキによるチャネリングのような音とともにモニター画面を点滅し、浮遊する。

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YOSHIROTTEN

4. 黒ではない影

光の対比である黒い「影」は、古来より「闇」「無」など生命の躍動に満ち溢れた世界とは、程遠い存在として捉えられていた。

その影に赤・緑・青の3原色を映し出したのが、河野未彩の作品「RGB_Light」。ライトの下に手をかざすと、影は3原色の揺らめきを映す。この作品を用いてヘアメイクアップアーティスト・冨沢ノボルさんとのコラボレーション作品も展示。RGB_Lightの下で冨沢氏のRGBメイクを施した水曜日のカンパネラ・コムアイ、モデル・イシヅカユウ、ダンサー・アオイヤマダの3名を被写体に迎えた写真作品が「RGB_Light」の影を取り囲む。

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河野未彩

5. 一見賑やかに見える、でも孤独の共存体であるゲーム世界

Jonathan Zawadaの作品は、現代のヴァニタス絵画を描く。16〜17世紀にかけてヨーロッパ北部で描かれたその絵画には、一見豊かさの象徴である沢山の果物や花の中に骸骨や時計などを置くことで、人間の虚しさ、虚栄の無意味さを表現していたという。

3段のテントの上部2段で瞑想のようなポーズで座る2体のマネキンは、各々ビデオゲームが流れている目の前に座り、同時にカメラによって録画され続ける。一番下のテントでは、実際に来場者がコントローラーを操作し、モニター越しのフィールドにあるスクリーンへ近づくことができる。そこに映る、2〜3段目のマネキンを合成した‘孤独’を共有した一人の人間に来場者も加わることで入れ子状に、現実と非現実が互いに重なり合った虚空が現れる。

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Jonathan Zawada

6. 全長30Mに及ぶ巨大スクリーン

会場の半分を覆い尽くすように広がる全長30Mの巨大スクリーンには、国内外気鋭6名のアーティストの映像作品が流れる。第22回 文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品を受賞した藤倉麻子、上海のClub ALL のビジュアル制作を行うKim Laughton、MSHR、NIKEやMelissa などとコラボレーションを取り組むNatalia Stuyk、世界各国で展示を行うSabrina Ratté、Tame ImpalaやBeckとコラボレーションするYoshi Sodeoka。

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7. ダークウェブやポストヒューマンへ

デムナが手がけるBALENCIAGA、アレッサンドロ・ミケーレのGUCCIなど彼らが2015年に打ち出したレトロフューチャーへの道標は、18A/Wシーズン頃からダークウェブやポストヒューマンの道へ片足を突っ込み始めている。BALENCIAGA 19S/S では、トンネル上のスクリーンをランウェイとして、アーティスト・Jon Rafmanの平衡感覚を失うような映像作品が私たちを異世界へと連れて行った。Maison Margeila 18A/W では、VRゴーグルや足に括り付けられた自撮り棒、19S/S では鏡に反射するカラフルな空間と一体化した服が1枚の合成画像のような虚像感のある現実を描き出した。

8. 現象として起きる光のうねり

PHENOMENON = 現象 と謳う展覧会と同時期に、クリエイションギャラリーG8では「光るグラフィック展2」、NTTインター・コミュニケーションセンター「イン・ア・ゲームスケープ ヴィデオ・ゲームの風景、リアリティ、物語、自我」などそれぞれ着目は異なるものの、実空間と仮想空間への問題提起や境界線を改めて見直す主旨のもと展示が開催されている。

9. もし、もう1組参加アーティストを入れるとしたら

今回展覧会にて、国内外6名のアーティストのセレクトに関わったというMASSAGE MAGAZINE編集長・庄野氏に、もしもう1組呼ぶとしたらと聞いてみた。「もし実現性を踏まえないで考えるとしたら、RGBというテーマで呼んでみたいアーティストはヒロ・ヤマガタさんです。彼はこの日本ではカラフルなスタイルのシルクスクリーン作家というイメージが強いですが、2000年代に入ってからは現代美術家として、アメリカでレーザーやホログラムを用いたインスタレーション作品を展開しています。そのスペクタクルを一度この目で見てみたいと思っています。」

10. 一般自由入場可能なレセプションが開催。

3月10日(日)17:00~21:00 にて、フリーエントランスのレセプションも開催!

本展にてYOSHIROTTENの作品の音楽を担当したダイアナチアキもDJとして登場。空間を彩る音楽とともに、より一層展示空間を体感できる一夜限りの特別イベントとなる。

https://www.laforet.ne.jp/

開催概要
日時:3月10日(日)17:00〜21:00
場所:ラフォーレ原宿 6階 ラフォーレミュージアム原宿
DJ : SEIHO、shhhhh、Diana Chiaki、YOSHIROTTEN
イベントの詳細はこちらまで:@phenomenon:rgb

展 覧 会 概 要
会期:2019年2月23日(土)~3月11日(月)
時間:11:00~21:00
会場:ラフォーレミュージアム原宿(ラフォーレ原宿6F)
入場無料
https://www.laforet.ne.jp/

主催:ラフォーレ原宿
協賛:FRAMED*、八紘美術
機材協力:株式会社 映像システム
企画制作:ラフォーレ原宿、CALM & PUNK GALLERY(GAS AS INTERFACE)
会場デザイン、グラフィックデザイン:YAR