夏のフェス:ポップ・ミュージックの「今」を切り取るサマソニ

ファーストラインアップが発表されたサマーソニック2017。サマソニらしい顔ぶれから気になるアーティストを紹介。

by Naoko Okada
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22 February 2017, 4:15am

サマソニに行けば「今」を象徴するポップ・ミュージックを網羅できる。それこそがサマソニであり、日本最大の都市型フェスの正しい姿だと私は思っている。「フェスに行くからにはチケット代を全力で取り戻さなければ」と必至で予習をして行かなくとも、行けば聞き覚えのある音楽が流れている。それは仕事中にオフィスで流れるラジオやテレビから、またストリーミングサイトのオススメからといった、日々のあらゆる場面で、誰もが一度は触れているような音楽だからだ。もちろんフェスを楽しむにおいて予習をするに越したことはないが、「なんか聴いたことあるな」という感覚があるだけでも存分に楽しめるのがサマソニの醍醐味だ。

先日公開されたファーストラインアップでは、ヘッドライナーをカルヴィン・ハリスが務めることが決定し話題を呼んだ。カルヴィン・ハリスといえば、昨年アメリカ最大の野外音楽フェスである「コーチェラ」のヘッドライナーを務めており、名実共に世界No,1 DJで間違いないだろう。ほかにもUKロック界の重鎮リアム・ギャラガーやフェニックス、パンク勢からはサム41やグッド・シャーロットが出演するあたり、ただ単に「旬」の集合体で開催されるフェスではなく、しっかりと地盤を固めているところもサマソニならではだ。そんなファーストラインアップから、注目のアーティストを紹介したいと思う。

カルヴィン・ハリス
スコットランド出身のDJ。2007年にデビューした彼は、2010年代初頭のエレクトロ・ミュージック全盛期にDFAレコード(LCDサウンドシステム)やKitsune系(デジタリズム)のアーティストと並んで紹介されるような、少しギーク色を持った立ち位置だった。パソコンが普及した今ではベッドルーム・ミュージックという言葉は普遍的となったが、彼は2009年の時点でベッドルーム・ミュージックを制作しアルバムを発売している。当時のミュージックビデオに映る青年はまだあどけなく、まさかアルマーニの広告モデルをする未来がくるなんて思いもしなかったはずだ。2010年前後にオンタイムでシーンを追っていた身からすると、何万人ものオーディエンスを沸かせる今の姿は目からうろこ以外のなにものでもない。しかし恐らく元オタク体質だった青年は、10年という歳月をかけて着実に知識と経験を積み重ねてきたはずで、そこから生み出される音楽は完成度が非常に高い。大衆のみならず、アーティストからの信頼も厚い彼の5年ぶりの公演に大いに期待したい。

チャーリー・エックス・シー・エックス
イギリス出身のシンガー・ソングライター。インスタグラムで1900万人のフォロワーを持つ彼女は、ファッションアイコンとしても多くの若者から支持を得ている。ブリトニー・スピアーズに夢中だったという幼少期、そして14歳の頃にフレンチ・エレクトロに出会い衝撃を受け楽曲制作をはじめたという。彼女の楽曲はカラフルでポップな世界のなかに毒々しさがあり、独特のキュートさがクセになる。先日、中田ヤスタカの最新曲『Crazy Crazy』に、きゃりーぱみゅぱみゅとともにフィーチャーされたことでも話題を呼んでいる。2015年の単独公演以来の来日となるが、どういったパフォーマンスを見せてくれるのか非常に楽しみだ。

クングス
フランス出身のDJ。1996年生まれの彼は若干20歳にして世界のダンスミュージックシーンを席巻している。先日フランスのグラミー賞と言われている「LES VICTOIRES DE LA MUSIQUE 2017」にて、デビュー・アルバム『レイヤーズ』が、ELECTRONIC MUSIC/DANCE ALBUM OF THE YEARを受賞するなど、フランス国内で今もっとも注目を集める存在となっている。ロックを聴きながら育ったという彼が描くエレクトロ・ディスコ・サウンドは爽快で、聴けば踊らずにはいられないだろう。DJという肩書ながら、楽曲制作からライブまでこなす多彩な青年だ。初来日公演だが、盛り上がること間違いなしだろう。

デクラン・マッケンナ
イギリス出身のシンガー・ソングライター。サマソニの新人枠においてもっとも見逃せないアーティストであり巷を賑わしている存在、それがデクラン・マッケンナだ。まだ18歳の彼は6人兄弟の末っ子として育ち、8歳の頃にギターを手にした。好きなアーティストはデヴィット・ボウイ。ほかにもザ・ビートルズやヴァンパイア・ウィークエンドに強く影響され、15歳までに100曲以上を自宅レコーディングしたというから驚きだ。もうそれは天才としか言い表せない。2014年に書いた『Brazil』という楽曲が、FIFA(国際サッカー連盟)の汚職と同年のサッカー・ワールド・カップを描いたことで話題となった。楽曲はそういった社会問題をモチーフとしたものが多い。多感な時期を過ごす若者にとって、目の前で起きる様々な出来事との対峙から生まれるフラストレーションは、内に留めておくには大きすぎるものなのかもしれない。世界中から注目を集める若き才能の等身大の叫びは、今この瞬間に見なければ意味がないだろう。

ラインアップが出揃う日を待ちわびる私たちの気持ちをよそに、焦らすようにじわりじわりと発表されていく出演者たち。今後の追加ラインアップにも大いに期待したい。

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Text Naoko Okada

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