ウンベルト・レオンと青木正一が語る、オープニングセレモニー×『FRUiTS』

オープニングセレモニーと休刊を発表した雑誌『FRUiTS』がコラボしたポップ・アップ・ショップが6月1日まで期間限定でオープン。OC表参道店ではコラボアイテムを『FRUiTS』バックナンバーとともに販売している。青木正一とウンベルト・レオンに、コラボへの思いを訊いた。

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maj 26 2017, 9:15am

「『FRUiTS』(休刊)のニュースが出てから数日後にウンベルトさんが連絡をくれたんだ。どこよりも早かったから覚えているよ」と『FRUiTS』編集長の青木正一は話す。「インターネットの記事で読んだんだ。確か『Dazed&Confused』だったかな。『FRUiTS』の功績を形に残したいと思い、すぐに青木さんの連絡先を聞いてメールをしたんだ」とOpening Ceremony創業者ウンベルト・レオンは説明する。

『FRUiTS』の大ファンだと話すウンベルト。彼が初めて『FRUiTS』と出会ったのは1997年、『FRUiTS』が創刊された年だ。「カリフォルニアにある小さな店で見つけたんだ。それから、集められるだけたくさん集めたね。雑誌を集めるのが好きなんだけど、その中でも『FRUiTS』は特に大切だよ」。青木の写真はどれも、雑多な原宿の街中で撮影されていて、被写体にフォーカスしている。ウンベルトも『FRUiTS』が表現し続けてきた日本独特のストリートスタイルや青木の写真に魅了されてきた。「雑誌を見ていると彼女たちパーソナリティが伝わってくる。彼の写真からとても影響を受けたよ。それに当時は今のようにインターネットが普及していなかったから、日本のリアルなストリートファッションを知ることができるツールとして、『FRUiTS』はとても画期的な雑誌だった」。ウンベルトとキャロル・リムがOCを通してこれまでチャレンジしたことは、ファッションを通じてカルチャーを伝えていくということ。日本のストリートカルチャーを語る上で、『FRUiTS』は欠かせない。だからこそ休刊のニュースを無視できなかったと話す。

今回のコラボで表現したかったことは何か。「『FRUiTS』はクールでワクワクする雑誌。雑誌に載っている様々なスタイルは、どのデザイナーにとってもインスピレーション源となる刺激的なものだよ。洋服を色々な意味で説明しているし、ブランドやアイテム1つ1つに着目するのではなく、スタイル全体に目を向けていて勉強になる。そんな『FRUiTS』の魅力を表現したかったんだ」。コラボアイテムには、『FRUiTS』らしいピンクやイエローといったフレッシュなカラーが採用されている。「ロゴが好きで、いろいろな箇所にいろんな形で落とし込んでいるんだ。着ることによって自分がフレッシュに感じるということもあって、個人的にも着ているんだ」。そう笑って話すウンベルトは、対談の時も『FRUiTS』のパーカーを着用していた。そして中でも目を惹くのは『FRUiTS』のカバーで埋め尽くされたTシャツだ。「これは『FRUiTS』のカバーの中でお気に入りのものをピックアップしてTシャツにしたんだ。彼女たちの今を考えると面白いよね。今はどんなふうに成長し、どんなスタイルなんだろう」と歴史を感じるアイテムだ。ウンベルトの『FRUiTS』への思いの強さを肌で感じることができるコラボアイテムの数々に青木も「今回、デザインには関わっていないんだ。彼を信じているので。日本人にはないデザインの発想だし、アイテムを見てとても面白いと思った」と感謝の意を伝えた。

青木は「昔のようにナチュラルで面白いファッションを集めることができなくなった。でもまだ街に面白いファッションは存在している。そういう子たちを撮りつつ、溜まったら形にしたい」と月刊廃止の理由について話しつつ、今後についても語る。ウンベルトは「確かに昔のように個性あるファッションを見ることが少なくなった。同じようなスタイルばかりだと思うことがある。世界は早く変わりすぎているんだろうね」と同意し、ソーシャルメディアが与える影響について言及する。「セレブやインスタグラムスターはSNSでファッションやライフスタイルを毎日シェアし、それを仕事としている。人々はファッションやスタイルをキャッチしやすくなり、それと同時にすぐ飽きてしまうようになった。生まれては消えるバブルって感じだよね。でもそこに属さない人たちも絶対にいる。その人たちが新しい何かを生むと思う」と、ウンベルトは新たなムーブメントに期待する。「『FRUiTS』を始めたとき、今と同じような気持ちだった。最近のファッションは退屈だと思っていた。そんなときに『FRUiTS』が生まれたんだ。当時、『FRUiTS』が写していたストリートファッションに気づいたのは僕だけだったと思っている。なかには気づいている人もいたかもしれないけど、あんなのはファッションじゃないって見て見ぬ振りをしていたんだ。きっと、今また何か新しいものが生まれるときなのかもしれない。それを見逃さないようにしなくちゃね」と青木。新しいムーブメントが生まれる日も近いのかもしれない。