ロンドン・コーリング:トランプ後の世界へ希望を

アメリカで数千人もの国民がドナルド・トランプの大統領選勝利に抗議するデモを繰り広げる中、ロンドンのアメリカ大使館前では<Stand Up To Racism>のプロテスト運動に多くのイギリス国民が参加した。

by Matthew Whitehouse
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14 November 2016, 5:22am

先週火曜、大統領選勝利を確実にしたドナルド・トランプは、本人たちの意図とは関係なく、世界にひとつのメッセージを発信していた。グローバル化への恐怖、生活基準低下の歯止めがきかない現実への恐怖、移民問題への恐怖——トランプの存在は彼の言動とは裏腹に、恐怖感を体現したメッセージとして世界の隅々にまで伝わった。

先日、人種差別に反対するプロテスターたちもまた独自のメッセージを発信した。ロンドンにあるアメリカ大使館の外に集まったプロテスターたちは「国粋主義的、過激主義的、ポピュリスト的、右翼思想的政策を復活させるために、国民の政治無関心を利用するなどもってのほか」というメッセージを世界に示そうと懸命だった。国民が政治に無関心になっている現状を利用して壁を作り、排他主義を正当化するなどもってのほかだ、と。

「不景気と生活水準低下に苦しみ喘ぐ国民の恐怖心と人種差別的心理を煽って票数獲得に繋げたドナルド・トランプは、遠い昔に人類が葬ったはずの手法を用いて勝利をおさめたのです」と<Stand Up To Racism>の共同議長サビー・ダルー(Sabby Dhalu)は、抗議運動を発表するプレスリリースのなかで書いている。「ドナルド・トランプの勝利は、世界中に潜伏してきたレイシスト(人種差別主義者)たちに立ち上がるきっかけを作った——これは、いま世界に迫り来る危機であり、危険です。アメリカ大統領であるということは、世界で最も大きな威力を持つ人物になることを意味します。次のアメリカ大統領の存在を通してレイシズム(人種差別主義)とセクシズム(性差別主義)が正当化されてしまうことに、私たちは断固として抗議します」

「アメリカ大統領はアフリカ系アメリカ人」という認識しか持っていないほどに若い子どもまでが参加したこの抗議運動は、希望の光も世界に示していた。世界には先進的な考えを持ったひとが数多くおり、そんな人々が集まればそれがまた力になる——レイシズムや国民の分裂を煽る政治を、人類は拒絶することができる——のだ、と現在の政治情勢は、右寄りの思想だけでなく、左寄りの思想でも、見直し、変えていくことができるのだという道筋と理想を描き、希望を見せてくれた。

Credits


Text Matthew Whitehouse
Photography Matt Martin
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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