「戦いの場から離れ、心を解放するために踊る」KYO-KAが示すダンサーとしての新たな道

キッズダンサーとしてワールドワイドに活躍後、自分が本当にやりたいダンスを追求しようと別の道へ舵を切ったKYO-KA。ヒップホップを軸に自由な表現を続けていくためのピュアな探究心。

by Saki yamada; photos by Kotetsu Nakazato
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22 November 2021, 2:30am

「2歳からリトミックダンスを始め、気が付いたときには踊っていた」と話すKYO-KA。ヒップホップダンスの世界にのめり込んでから、キッズダンサーとして数々のコンテストで自分の実力を磨いてきた。その中で乗り越えてきた多くの試練は彼女にとってのダンスとは何かを問い、今では新しい道を切り開く原動力となっている。

近年、ダンスは表現の場であると共にスポーツの新しい、より広い定義の中で、より身近なジャンルへと進化してきた。ただ競い合うためではなく、体を動かし創造する喜びを生み出すダンスを称賛し、NIKEはコミュニティをサポートしてきた。ダンサーが自分だけのスタイルを表現できるNIKEのアイコン クラッシュ コレクションを纏うKYO-KAは、私たちにリアルな声を届けてくれる。

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── 4歳からヒップホップダンスを始めて、自分の中に変化はありましたか?

もともと人見知りなので友達がいなく、最初はダンス教室に連れられていってる感じが強かったです。ただ気が付いたらすでにダンスをやっていたので、自分からダンスがなくなることも考えられなかったです。コンテストに出るようになってから友達も増えて、社交的になれました。楽しい面もあれば辛い面もあったので、心も強くなったと思います。今では環境の変化やどこかに飛び込んでいくのが楽しくなりました。

── 1番心が動いた瞬間はありますか?

2016年にシンガポールの大会で優勝したときです。ペアを組んでバトル形式で対戦が行われる大会だったんですけど、くじ引きで決めた相方がたまたま尊敬するダンサーだったんです。初めての海外で周りには知っている人もいないし、何のしがらみもなく、ただ自分の実力を最大限に発揮できました。あの瞬間は、本当の意味で初めて自由に踊れた気がします。

── 今までジェンダーの壁を感じたことはありましたか?KYO-KAさんが思う女性ダンサーの 強みはとは?

ダンスバトルでは男性らしい肉体の強さや派手な技を求められることがあるので、かなり悩みました。かと言って男性みたいに踊ろうとするのも違う。年齢を重ねると共に優勝するのも難しくなってしまって、大変でした。でも女性にしか出せない見え方があると思います。パワーの面では男性には敵わないし、だけど女性でもパワフルな表現があるはずなので研究しているところです。あとはダンサーとして、相手に伝わる表現を意識したいって気持ちがあります。

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── 現在はコンテストに出場するだけでなく、より表現の追求をされていますよね。競争の世界とは違う道を選んだのですか?

3年くらい前に、出なくていいやと思えるようになったんです。このまま一生、戦うためのダンスをして死んでいくのかなって思うと、何のためにダンスをしているのか分からなくなってしまいました。コンテストやバトルに出場しなくなってからは、自分が踊ってみたかった音楽でダンスしてSNSに投稿していたんです。そうしたらアーティスト本人がシェアしてくれたり、他の業界の人からいいねって言ってもらえるようになって、一気に世界が広がりました。今までなんて苦しいことをしていたんだろう、自由でいいんだって思えるようになりました。

── 表現する上で大切にしていることはありますか?

常に一定のパフォーマンスをしたいです。練習のときから本番みたいに踊り続けて、力の入れ具合とか、ここがベストだっていうのを常に研究して本番に向けていく感じ。そうすると、波がない、より良いパフォーマンスが作れる気がします。

── 振り付けを作るときは、どういうことからインスピレーションを受けていますか?

音楽をそのまま素直に表現するようにしています。あとは琴の大師範である祖母が弾いているときの所作や、板前さんがお寿司を握っている指先とかもよく参考にしています。すごくセクシーなんですよね。ひとつひとつは丁寧だけど力強さもあって、優しさや柔らかさを感じる。どうやったらそういう表現をダンスに取り入れられるだろうって研究しています。

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── ダンスの練習やリラックス方法など、1日のルーティンはありますか?

小学生から中学生までは、レッスンとは別にお母さんに見てもらいながら毎日5〜7時間は練習していました。高校生からは毎日アイソレーションをやるようになり、本番前は自分でスタジオを取って欠かさず自主練をやっていました。今も2〜3時間の自主練はやりますが、毎日の日常生活の過ごし方でいうと朝起きたらお香を焚いてジャズとかクラシックとか音楽を聴いたり、家を出て帰ってきたら夜は映画かドラマを見るっていう日常生活の過し方を大切にしています。

── 最初にレッスンを持ってからどのくらい経ちましたか?

8年くらいです。高校生のときに祖母の紹介で、初めて小学校や公民館で教えることになりました。ダンススタジオに入ったのは高校卒業してからです。10歳から46歳まで幅広い層の人がレッスンに来てくれるんですけど、みんなの成長を見るのが楽しいです。いろいろな場所から来てくれるので、個性も様々だし、アットホームな感じです。

── ダンス業界の変わってほしいことはありますか?

ダンスは自由だと思われがちなんですが、意外と小さい世界の中で評価し合っている部分もあるんです。自分の信念として大切にしていることが、一番自分を苦しめて自分の世界観を狭くしているということに気付けてない人も多い。もっといろいろなものを認め合って、自分にできないことをできる人のことも、認められるくらいに視野が広くなればいいと思います。

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── 今後、キッズダンサーに伝えていきたいことはありますか?

いろんなことを言って自分の価値観を小さくしてくる人もいると思うし、認めてくれない人もたくさんいると思います。だけどそういう人に飲み込まれずに、自分の楽しいと思うことを自由にやってほしいです。昔の私みたいに、自分の楽しくなかったり自由に踊れないのは古いと思います。自分が信じた道に素直に進んでいけばそれがいつか実を結ぶから、絶対大丈夫だよって伝えたいです。

── KYO-KAさん自身は周りにそういうことを教えてくれる人がいましたか?どうやって乗り越えてきたか、秘訣があれば教えてください。

私自身、小さい頃に結局乗り越えられなかったので、人に怒られたり非難されるのがすごく怖くてしがらみの中に居続けました。自分の意思を伝えられなかったし、ネガティブな感情の方が記憶にすごく残っています。そのまま大人になって気付けるようになったので、どちらかと言えば教訓ですね。小さい子はどうしてもお母さんのサポートがないとできないことも多いし、逆にそれがプレッシャーになることもあります。なかなか言い出しにくいと思うけど、声に出してみたり言霊として信じて言い続けることは大事。自分の気持ちを信じて、進んでほしいです。

── ダンスを続ける上で大切にしているスピリットはありますか?

常に明日の自分を目標にしてます。遠い目標を設定するより、今を楽しんで積み重ねていったら、いつか向こうからやってくると信じています。もちろん大きな目標を定めてそれが達成できたときは嬉しかったですけど、その過程がすごく大変でした。それをたくさん乗り越えた上で、自分に合っているのはそういう考え方じゃないって気付いたんです。そうでないとダンスを続けることすら難しいと思うようになりました。

── 今の自分にとっての夢はありますか?

そうですね。本当の意味で波のない、常に良いパフォーマンスができるダンサーになりたいです。

── KYO-KAにとってのダンスとは何でしょうか?

私にとって、ダンスは解放です。ダンスをすると心が熱くなれる。何も考えずにありままストレートに表現できる場所です。


KYO-KA WEARS ALL CLOTHING NIKE SPORTSWEAR.

Starring Kyo-ka

CREDITS
Photography Kotetsu Nakazato
Stylist Remi Kawasaki
HMU Maya Watanabe
Photography Assist Kaname Sato
Stylist Assist Mahiro Takahashi
Text Saki Yamada

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