Straight Ups : 東京でクイアとして生きること

東京に暮らす異なったジェンダー / セクシャリティの視点から、現代のコミュニティが抱える問題、パートナーシップについての考え方、東京でクイアとして生きることの〈今〉について語ってもらった。

by i-D Japan
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23 June 2020, 9:00am

LGBTQ+コミュニティは、社会的・政治的視点からだけでなく、コミュニティが内包する問題に対しても、さまざまな否定と肯定を繰り返し、思想や言葉を刷新しながら進化してきた。

けれど、問題がなくなったといえば、それは嘘だ。変わらず存在する不寛容や不平等、社会や政治が変容することでも、新たに問題は生まれ続ける。わたしたちは、わかったフリをせず、常に解決策を模索し続けなければならない。

プライド月間をサポートするため、i-D Japanでは、東京に暮らす9人の視点から、現代社会が抱える問題、パートナーシップについての考え方や、セーフ・スペースなど… 東京でクイアとして生きることの〈今〉について語ってもらった。

Amity, Tokyo, LGBTQ+

Amity Miyabi(18)

Instagram:@amitymiyabi URL:Amity Miyabi

──なにをしてる人?
ノンバイナリー・モデル、イラストレーター、学生。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
わたしのジェンダーとわたしのスタイルは相互関係にあります。わたしはノンバイナリーなので、男性性、女性性に関係なくさまざまなスタイルで遊ぶことができ、ファッションの自由度はすごく高い。挑戦できるから、自分自身でいることに自信が持てるんです。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
わたしにとって理想のパートナーシップは、愛を伝えること、互いに成長すること。「I love you」という言葉を使わなくても、あらゆる方法で相手への愛を表現し、相手も同じようにしてくれること。どんな人だって永遠に同じではいられないので、パートナーシップにおいて、成長することも大切。多少違いがあるからといって見限るのではなく、一緒に成長し、変化することができ、それがプラスに働くことを信じられる二人でなければならないし、究極的には、お互いが最高の自分に成長するのを助けあうことができなければ意味がない。

──理想のファーストデートは?
わたしの理想の初デートは、美術館に行ったり、神社にお参りに行ったりとか、どこでもいいので落ち着いた静かな場所に行くこと。せっかくデートするのであれば、違和感なく〈沈黙〉を共有したいので、初デートで〈沈黙の瞬間〉をどのように感じるのかが、わたしにとって超重要。

──好きな映画・ドラマは?
好きな映画がありすぎて選ぶのが難しいですが、特に観てもらいたい映画があるとしたら、クィア映画界の重鎮であり、大好きな監督の一人であるグザヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』。ロランスというトランスジェンダー女性が、大人になってからトランス女性であることを自覚し、それが、ヘテロセクシャルな関係で始まった長年のガールフレンドとの関係に大きな影響を与えることになるというストーリー。個人としてもカップルとしても、ロランスのトランス女性としての変遷が、ふたりの人生をナビゲートしていく様子が描かれているのですが、本質的にはこの映画は、愛と成長についてのLGBTQ+映画だと思っていて、それは、わたしが人生においてとても重要なことだと感じていることだから。

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
東京のLGBTQ+のクラブシーンにはすごく興味を持っていますが、残念ながらわたしはまだ未成年。今のところ、わたしが一番安心できる空間は、ソーシャルメディアでつながっているLGBTQ+の友人たちとのバーチャルな空間だと思っています。

現実世界でわたしたちを受け入れられない人たちから、「否定的な注目を集めるかもしれない」などと考えることなく、LGBTQ+の若者たちがオンラインで自分自身を表現でき、自分のアイデンティティを誇ることができるのは、幸運なことだと思います。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
わたしは東京で育ったわけではなく、18年間ずっとアメリカに住んでいました。でも、去年上京してから、今で経験したことのなかった自由さと自信を、自分のアイデンティティに感じることができています。さまざまなバックグラウンドや、興味を持ったひとびとが集まる場所という印象を持って東京に来ましたが、まさにその通りでした。

ここにいると、大抵の場合は自分らしくいていいんだと思えるし、自分のアイデンティティを受け入れてくれない人や、理解してくれない人がいても、子供の頃に経験したように、孤立したり攻撃されたりすると感じることはありません。わたしのまわりにいるひとたちの支えが、それを上回ってくれるから。

──注目しているLGBTQ+ムーブメントやアーティストはいますか?
わたしが永遠に愛してやまないLGBTQ+アーティスト、悲しいことに2017年に29歳で自ら命を絶ってしまった、中国の写真家レン・ハン。主に友人たちのヌードポートレートを撮影し、中国の検閲社会に挑戦しながら、セクシュアリティを表現していました。

──あなたにとって自由とは?
自由とは、自分以外の他の誰からも挑戦されないこと。誰かに失礼なことを言われようが、憎まれ口を叩かれようが、「男の子?女の子?」と言われようが、自分のスタイルに自信があれば、「男の子でも女の子でも関係ない!」って思っています。

──あなたにとって平等とは?
現在の文脈での〈平等〉というのは、マイノリティ・少数派の個人が、多数派と同じ権利と自由を持つという簡単に定義できるもののように思えますが、出発点がすでに劇的に不平等である場合、「平等である」という状態が、どのように達成されるのかという点に焦点を当てることが最も重要だと思っています。

LGBTQ+コミュニティの中でも、特にトランスジェンダーの人たちのように、他の人たちよりもリスクが高い(命に関わる)苦難を経験しているグループがあります。例えば、同性愛者が社会に受け入れられ、権利を得たと感じることができたからといって、トランスジェンダーのひとびとは、同じコミュニティの一員と認識されているにもかかわらず、同様に感じることはできないでしょう。LGBTQ+コミュニティ内での平等を実現するためには、より疎外されたグループに焦点を当てていく必要があるのです。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
他人のせいで自分を萎縮させないでください。わたしは、青春時代を自分自身を抑圧し、自分のアイデンティティを理由に、自らを打ちのめして過ごしていました。今でも、コンフォートゾーンから一歩踏み出すのが怖いと感じることがあります。

振り返ってみると、そんなことをしても後悔するだけです。次の世代は、自分らしく自信を持って、悔いのない生き方ができる人たちでいっぱいになってほしいです。今は、そのような環境を作るのがわたしたちの役目だと思っています。

Dalen, LGBTQ+, Tokyo

Dalen Wang(27)

Instagram:@dalen_wang

──なにをしてる人?
日本でファッションを勉強してる留学生です。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
実は、そこまで考えたことがなかったのですが、多少影響されていると思います。中国にいるとき、ゲイであることを隠してはいなかったけれど、普段は男性らしいものを着ていました。東京に来てから、女性らしいものも身に着けるようになり、メイクもし始めて、こういうのが好きなんだと気づきました。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
わたしにとってパートナーシップは、お互いにサポートしたり、助けてあげたりして、一緒に家族みたいなように暮らしができること。でも結婚することは望んでいません。結婚は、もう時代遅れの遺物だと思います。

──出会いアプリ使ってますか?
前は使っていましたが、今は使ってないです。日常生活で出会うほうが好きです。自分のアイデンティティを隠していたりすると、アプリは便利だと思います。でも、自分のことをちゃんと出して、自分らしく生きていけば、自分に似合う人、同じことを望んでいる人に自然に出会うことができると思っています。

──理想のファーストデートは?
2人で一緒に海に行って、夕焼けをみて、時間を過ごしたい。

──好きな映画・ドラマは?
映画は『君の名前で僕を呼んで』『女帝[エンペラー]』『マイ・プライベート・アイダホ』。ドラマは『Angel Please Kiss Me (天使请吻我)』と『セックス・エディケーション』

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
日本の海岸がわたしにとってもセーフ・スペースだと思います。わたしにとって海は、〈外の世界〉というイメージ。〈外の世界〉を見たくて、いろんな海に行きました。誰でも、留学生でも、ゲイとしても、人間としても、何が困ったことがあって、逃げようと思ったことが必ずあると思います。わたしは、こういう静かで美しいところ、差別や偏見の音が聞こえないところにいることで、気持ちが和らぎます。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
東京は、国際的な大都市で、いろいろな国々の人たちと出会うことができるので、単純に日本の文化というより、世界を感じることができます。コミュニティのなかでも、すごく活躍している人もいるし、影響力の大きい人もいて、みんなで語り合って、いろんな文化に触れながら、わたしの世界観もひろがり、大きな変化を体験して、自分自身をもっと信じられるようになりました。

──注目しているLGBTQ+ムーブメントやアーティストはいますか?
友達がやってるLGBTQ+に関する『purple millennium』という雑誌と、『Reing』 という活動。

──自分って最高!って思うところは?
周りの人を嬉しくさせること。

──あなたにとって自由とは?
心の自由が大切。想像力や、やりたいこと、なりたいものには限りがないから、それを怖れない強い心が大切。ゲイとしても、愛情をうけとることができるのを信じて、勇気を持って、頑張っています。

──あなたにとって平等とは?
人権の平等です。どんな人間でも、生きていく、幸せになる権利があるべきです。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
何も恐れないで。あなたは愛されているから、自分自身を好きでいて。

Edo, LGBTQ+, Tokyo

Edo(25)

Instagram:@yumeboi URL:Edo Oliver

──なにをしてる人?
写真、ファッションデザイン、メイクアップ、スタイリング、ダンス、ドラァグパフォーマンスなどの仕事をしているクリエイティブ・ディーバ。東京を拠点に活動するクリエイティブ・エージェンシー 『REING』のクリエイティブ・ディレクターも努めています。日本の硬直したジェンダー基準に挑戦し、マーケティング、ファッション、アートを通して新しいノンバイナリーな未来をつくりたいと考えています。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
私のジェンダーは多元的。つまり、私は〈彼女〉、〈彼〉、〈彼ら〉、〈それ〉、〈女王様〉、〈お嬢様〉、〈男の子〉…なんであろうと、あなたがレッテルを貼ろうとしているものにはレッテルを貼ることができないということ。わたしはジェンダーを愛し、その両極端にあるものも、その間にあるすべてのものを愛しています。私はジェンダーという概念を否定せず、常にファッションを通してその多様性を讃えているのです。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
なんであれ、豊かな人間関係の核心にあるのは〈与える愛〉だと思っています。けれど、それは与えることのできる愛があるからであって、見返りを期待して与えるものではありません。愛が契約のようなものになってしまっては、パートナーシップはうまくいかないでしょう。

友人関係が、恋愛関係よりもうまくいくのは、わたしたちが、友達には恋人ほど期待していないのに、そんなことは関係なく、彼らを愛しているからだと思うことがよくあります。恋人との関係は、おそらく友人関係よりも、少しだけレイヤーが多く複雑になったくらいのものであるべきなのだと思います。

──出会いアプリ使ってますか?
今の彼氏とは『Grindr』で知り合って、もう2年になります。正直言うと、私は、出会いアプリはお勧めしません。私は自己嫌悪と不安に駆られて『Grindr』をダウンロードし、幸運にも素敵な男性を見つけることができましたが、出会い系アプリでの経験は、個人という複雑なものを瞬時に判断可能な、平面的な2次元に還元してしまうものでした。

──理想のファーストデートは?
今の彼氏との初デート。

──好きな映画・ドラマは?
Vive L'Amour』 蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
新宿二丁目の『ニューサザエ』。私がスピリチュアルな気分になれる地上で唯一の場所です。ディスコの灯りの中で踊ると、自分の存在を忘れ、光を感じ、永遠で、純粋さを感じます。『ニューサザエ』は、私を毎回素直に受け入れてくれて、祝福してくれ、ありのままの私でいることを教えてくれた場所。いつも優しさとダンスへの愛を見せてくれたママ、紫苑さんには、いつまでも感謝しています。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
東京とLGBTQ+の人たちのコミュニティは、私がクィアとして成熟するための舞台ですが、その一部を形成したことはありません。あらゆる都市で形成されている主要コミュニティのほとんどは、制限的で、自分たちの基準に合わない人を拒絶してしまう。私は、コミュニティの〈評論家〉たちと意見が全く合わなかったので、自然と私のコミュニティは、クィアではあるものの、どんな種類の〈グループ〉からもかけ離れたひとびとで形成されるようになりました。

──自分って最高!って思うところは?
パフォーマンスするとき、わたしは自分を唯一無二と感じます。他の人より優れているという意味ではなく、世界がわたしに投げかけてきたトラウマや教訓、抑制をすべて忘れ、望んでいた通りの自分になれる瞬間なのです。それはわたしが知っているなかでも最強の感覚で、そう感じられるとき、わたしは自分自身であることに感謝しています。

──あなたにとって自由とは?
正直なところ、はっきりとした答えはありません。実際に存在するものなのかもわかりませんが、パーティーや自然のなか、友人のなか、そして自分の芸術のなかに〈自由の感覚〉を見い出してきました。

──あなたにとって平等とは?
LGBTQ+の人たちの平等とは、社会の多くの特権階級の人たちと同じように、平等な権利を持ち、機会を与えられることだと考えられています。しかしそれ以上に、平等とは、マジョリティと同等の安全・安心・保障が与えられることだと、私は考えています。マイノリティは、十分に安全を保障されているわけではありません。保障がなければ、私たちは常に迫害され続け、マジョリティが発展を考えているあいだ、マイノリティは、どのように生き延びるのかを心配しなければならないのです。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
愛。あなたの他の行為はすべて想像上のもの。この世界には、決して無くならないものがあり、それが愛なのです。だから、わたしたちが地球上に存在する短い時間のなかで、できる限り多くの愛を与えるようにしてください。

jacky, LGBTQ+, Tokyo

Jacky(25)

Instagram:@jackyrv URL:Jacky Varlet

──なにをしてる人?
フォトグラファー、学生。立教大学で日本語と文化を学んでいます。日本語はとても難しい!

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
生まれたときからジェンダーに適切な服装をするように言われ、長いあいだそれに影響されてきましたが、自分のアイデンティティが確立されるにつれ、男性が〈着るべきもの〉〈着てはいけないもの〉という概念から自由になり、どんどんエキセントリックになったと思います。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
理想的なパートナーシップは、仕事でも、恋愛でも、同じ目標を持って、誰かと一緒に何かパワフルなものを作り、目標を実現していくこと。一緒に進化して、それぞれができうる最高のものをひとつの作品にしていくこと、それはアートかもしれないし、ラブストーリーかもしれないし、いずれにしても心から産み出されるべきもの。わたしは大のロマンチストで、写真を撮っている時も、被写体との間に愛が必要なんです。

──出会いアプリ使ってますか?
Grindr』を使っています。でも、わたしの出身地であるフランスと、例えば日本での使い方は全然違います。そういったひとの行動の差違は、とても興味深いですね。出会い系アプリは、自分が属しているコミュニティを分析するための強力なツールです。日本人のアプローチ方法や、期待していること、コミュニケーションにおいて、なにを言っていいのか、言ってはいけないのか… さまざまなことをよりよく理解することができましたし、日本のセックス・スラングもたくさん学びました。

──理想のファーストデートは?
わたしは夢みがちな人間ですが、理想のデートのカタチは持っていません。初デートになにか期待していたら、せっかくの美しさが台無しになってしまう。状況や人を理想化してしまうと、がっかりすることは多いです。なにかに夢をみてしまって、いつもそれを思い知ります。

──好きな映画・ドラマは?
私の好きな映画は、グザヴィエ・ドラン監督・主演の「マイ・マザー」。ゲイのティーンエイジャーと母親の関係を、憎しみと愛の間で繊細に描いた物語です。迫力があって、映像もきれいだし、ストーリーも濃厚。ゲイであること、10代の頃母親との間にちょっとした問題を抱えていたことなど、多くのことに共感を覚えました。

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
新宿二丁目にある『ニューサザエ』は魔法のような場所ですね。若者でも年配のひとでも、ゲイ、レズビアン、バイ、トランス、ドラアグ、ストレート、日本人、外人… あなたがなんだろうと歓迎してくれます。異なったひとびとが集い、語り、一緒に踊り、歓声をあげ、みんなが家族のように感じることができる、それがこのバーの一番の魅力です。

『ニューサザエ』がクィアコミュニティをひとつにしているとしたら、他のゲイバーは間違いなく境界線を引いていると思います。有名なバーで、女性が友達と入店した場合、倍のチャージを払わなければならないお店がありますが、それは私にとってはただの差別です。

いまは2020年。クィアコミュニティは一つになるべきだし、ジェンダーに基づく差別は私たちのコミュニティの中に存在してはいけないと思う。差別に苦しんだ歴史があり、今も苦しんでいるわたしたちのコミュニティだからこそ、そのように女性を拒絶しているひとたちがいることは、皮肉なことだと思います。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
旅をしていて、故郷を感じさせてくれるのはいつもLGBTQ+の人たちです。東京も例外ではありません。東京に来てから、私は二丁目を通して、人生で最もクレイジーで愛らしい人たちに出会いました。クイアのパフォマーが集うイベント『House of Gaishoku』のカメラマンをはじめたことで、フォトグラファーとしても成長させてもらいました。

外国人としての私の意見ですが、パリに比べて、東京でLGBTQ+コミュニティの一員として成長していくことは、自分のスタイルを確立していく点では楽だと思います。東京の人たちは、好きな服を着て、メイクをして自分らしくいても、暴力を振るわれたり、否定的な意見を言われたりすることもありません。パリでももちろん自由なのですが、自分の意見を言うのが当たり前のカルチャーゆえに、攻撃的な発言をされることもあるし、時には暴力を振るわれることもあります。日本では、個人の行動やファッションを間違っているとわざわざ言いに来たりしません。そういうところが日本の文化のいいところだと思います。

──注目しているLGBTQ+ムーブメントやアーティストはいますか?
わたしは、G.L.I.T.S. という団体を支援しています。彼らは非営利団体で、世界規模でLGBTQIA+コミュニティを支援しています。最近のニュースにもありましたが、現在も殺され続けている多数のトランスジェンダー(主に黒人のトランス女性)がいます。ここ数ヶ月、G.L.I.T.S.はNYCの黒人トランスジェンダーに仮の住居を提供してきました。彼らは資金を集め、建物を購入し、助けを必要としているひとびとを歓迎しています。あとは、ベン・サボが作っている『PNPPL zine』にも注目しています。いつも素晴らしいクイアアーティストを特集していて、彼ひとりで制作・運営しているのもすごいです。

──自分って最高!って思うところは?
人を批評しないところ。誰かに会うときは自分をオープンにして、相手もわたしに対して同じようにできると感じてもらえていると思っています。お互いに居心地の良さを感じたいですから。

──あなたにとって自由とは?
難しい質問ですね。自由は実際には存在しない、ただの幻想だと思います。私にとって自由とはユートピアです。

──あなたにとって平等とは?
平等とは、一般的には、性別、肌の色、経済状態、身体的・心理的特徴がどうであれ、人生において同じ可能性、同じ機会、同じ権利を持つことを意味します。それもまた、私にとっては幻想です。

私にとっての平等とは、同じ権利のために戦うこと。誰も私たちが皆平等だとは言えません。差別は今も存在しています。この社会の中で白人である私は、どれほど恵まれているかを知っているからこそ、私自身のためだけでなく、不平等に苦しんでいる人々のためにも、絶え間なく戦い続けなければいけません。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
知識は力なり。この世界で何が間違っているのかを知り、知識を広めましょう。不正に対して行動し、自分を愛し、周りの人を愛しましょう。境界線を作るのではなく、違いを受け入れましょう。

Kien & Sue, LGBTQ+, Tokyo

LEFT : Sui(29)

Instagram:@suesuisu

──なにをしてる人?
モデルマネジャーを中心に、色々やっております。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
レズビアンっぽい格好にしようとか一切思ったことないですね。いつも〈好き〉のままにしている。ファッションはとても自由なものだと思っています。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
恋愛について、わたしはとても共産主義だと感じています。(笑)二人で一緒に頑張って未来を作っていくのが理想のパートナーショップ。

──出会いアプリ使ってますか?
中国にいる時は、レズのみの『RELA』を使っていました。初めての彼女も出会いアプリで出会いました。新しい時代において生まれた、新しい出会い方だと思う。

──理想のファーストデートは?
自分のままでいられるデートなら何してもいいと思う。まだキエンと付き合っていない頃に、夜一緒に自転車で東京を回ったことがあって、とても楽しかった。色々話したり、笑ったり、時間を忘れました。

──好きな映画・ドラマは?
ウォン・カーウァイの映画が、独特な雰囲気があって大好きです。特に『2046』、『天使の涙』、『恋する惑星」。

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
やはり二丁目が一番思い切り遊べる場所です。多様なセクシャリティーの人々お互いに理解し合い遊んでいる感じ。東京のニューヨークかなぁ?

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
日本に来てからコンプレックスと向き合うことができました。素直になったと思います。それは環境の影響か、仲間の影響かわからないけど、このコミュニティにいるから成長したのだと考えています。

──自分って最高!って思うところは?
考えた事を実現した瞬間!達成感ですね。今はモデルのマネジメントと古着に専念!

──あなたにとって自由とは?
何かをやりたくない時にやらなくても大丈夫なこと。

──あなたにとって平等とは?
平等は凄い大きなテーマです。最近考えているのは、自分の責任ではない事による差別をなくしたいということです。例えば、家庭環境、育った環境による偏見、人種差別など!

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
LOVE AND PEACE !

RIGHT : Kien(26)

Instagram:@kienryuu

──なにをしてる人?
モデル。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
全く影響ありません、歩きレズです。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
わたしにとってのパートナシップは、お互い自分をもって、勉強し合い、成長するような関係だと思います。

──出会いアプリ使ってますか?
独身の時に『Tinder』使ってました。相手の性別を選べて、距離も設定できるから課金しました。(笑)

──理想のファーストデートは?
お互いに惹かれながら、誰も口にせず自然に近づくような雰囲気が好きです。場所は特に関係ないです。

──好きな映画・ドラマは?
中国の植物学者の娘たち』。

──自分って最高!と思うところは?
高校一年生の運動会で走るのが早かったから、女の子からたくさん告白されたのがきっかけで、それからいろんな小さな自己効力感を重ねて今の自分があると思います。

──あなたにとって自由とは?
わたしにとっての自由は、世間一般的な常識に縛られない発想ができること。思想さえ縛られていなければ、行動の選択はいくらでもできると思います。

──あなたにとって平等とは?
基準を決めないこと。基準があると比較が生まれやすい。人の価値を金銭で決めたり、あるべき姿を〈性別〉で決めたり、肌の色で良し悪しを判断したりするようなことは何かの基準があるから。不平等や差別はそういったところから生じると思っています。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
自分でよかったと思ってほしいです。完璧なんてつまらないじゃない?

Kila, LGBTQ+, Tokyo

Kila

Instagram:@kila0430

──なにをしてる人?
好きなことして遊んでる人。FTM GAY。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
与えてる。どんな部分かは、僕を見て話してみたらわかるかも。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
幸せになる手段の一つ。

──出会いアプリ使ってますか?
使ってない。今は直接的にやり取りする方に興味ある。

──理想のファーストデートは?
美味しいものを食べに行く。

──好きな映画・ドラマは?
ふと思い浮かぶのは『レオン』。

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
僕にとっての、ありのままでいられる場は今はどこかの場所に特定させていない。常にありのままでありたいし自分に素直でいたい。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
コミュニティの中だけで育ってるとは考えていない。

──注目しているLGBTQ+ムーブメントやアーティストはいますか?
〈キラ〉に注目してる。自分がどれだけ可能性を広げれられるか期待している。

──自分って最高!って思うところは?
自分の生まれ持った身体を恥じていないこと。自分の女性器も誇りに思っている。

──あなたにとって自由とは?
自分が何者かは自分が決めて、好きなように表現する。それが僕にとっての自分らしさであり自由なのかもしれない。

──あなたにとって平等とは?
日々何かしら学べる環境があること。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
今の僕が伝えられることは…自分に素直に、くらいです。

Keishi, LGBTQ+, Tokyo

Keishi Yanagisawa(23)

Instagram:@keishijpn Twitter:@keishijpn

──なにをしてる人?
モデル、アパレルスタッフ。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
与えています!男性はこうであるべきなどの固定概念から抜け出したのが自分で、常にお肌も身体も美しくいたいという気持ちを常に持っています。より努力して美しく居続ける必要が、わたしにはあります。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
お互いが尊敬しあい、お互いが居心地の良い関係をずっと続いて行けたらそれはもう最高ですよね。常に思いやりを持ちあえる存在がいいです!

──出会いアプリ使ってますか?
Bumble』を使ってます。 特に恋愛を求めてって感じではないんだけど、日本に住んでいて、本場の英語を教えてもらえる相手を探す為に超よく使っています!

──理想のファーストデートは?
少し暗めのバーとかでチルってお互いの趣味なんかをのんびり話し合うのが良いかも!ファーストデートで相手の顔を観ながら話すのって恥ずかしすぎる。だから少しでも薄暗い方が恥ずかしのが隠せるから!!(照)

──好きな映画・ドラマは?
『Boys Don't Cry』。 これは実話で、身体は女性で中身は男性の主人公が、女の子と恋に落ちて、ラブラブになるけど、女の子の兄に、主人公の性別が女の子とバレてしまい、殺されてしまうというストーリー。性が違うだけで受け入れてもらえない現実を思い知ったと同時に、この子の死について深く考えさせられて、性に囚われず、多様性のある新しい考えや世の中がを作っていきたいと思いました。

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
原宿なんじゃないかなと思います。性に囚われない個性的なファッションで自由に歩けるところが、わたしは凄く大好きです。もっと日本全体がセーフに思えるような場所になってほしいなと感じるし、わたし自身もセーフ・スペースを作り出していきたいです。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
「LGBTQ+のコミュニティの中で育つ」と言ってしまうと、「みんなと違う」と思われてしまい、より差別に繋がると思いました。わたしは、常にコミュニティの中にいるつもりはなくて、当事者ではないみんなが知らない世界を発信して、もうLGBTQ+って身近なんだよ?っていうのをアピールをしています。

──注目しているLGBTQ+ムーブメントやアーティストはいますか?
リッチー・シャザム。 彼女のポージング、ファッションセンスは抜群でこれからぐいぐい来る子だと思います!わたしもこの子からすごくエナジーをもらっているし、New Yorkではやくお会いしたい方のひとりです!

──自分って最高!って思うところは?
昔はわたしみたいな性別だと、いじめの対象だったし、出させて頂いたバラエティでも〈オネェ=面白い〉とされているのがわたしはすごく嫌でした。だけど、今は、モデルとして堂々と胸を張って、表舞台に立てている。その瞬間が1番最高です!

──あなたにとって自由とは?
誰かの意見に左右されるのではなく、自分らしく生きていけること。好きなこと、相手、夢、仕事……それぞれ自分にとって好きなことを楽しくできることが、本当の自由だとおもいます。

──あなたにとって平等とは?
誰にでも思いやりをもって偏見や差別をせず、皆等しく尊敬しあえる事が、平等なんじゃないかなと思います。だってみ──んな同じ人間だもん!

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
自由に生きて、楽しく生きて欲しい、っていうのがわたしの本音です。でもわたしは、自由に生きたら性差別が理由で、いじめの対象になりました。それが性に対する差別でなくても、いじめにあってしまったら、絶対に負けないで欲しい。他人に何かを言われて自分を責めるのも、自分の価値観を決められるのもダメ!!!だって、自分の人生なんだもん。

なにを言われても気にしないで。常にどんな人にも、自分にも、思いやりをもってキラキラと自分の人生を輝かせて欲しいです。

Nene, LGBTQ+, Tokyo

Nene

Instagram:@thisisneneee

──なにをしてる人?
PR、モデル。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
あまり意識はしていないけど、型にはまらないという意味では通ずる部分はあるかもしれません。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
自分をより深く知って、成長させてくれるもの。お互い心地よく自分のままでいられて、尊敬しあえるのが理想です。

──出会いアプリ使ってますか?
使ったことないです。

──理想のファーストデートは?
あんまり話すのが得意ではないけど、あえてお散歩とか公園ですかね。(笑)

──好きな映画・ドラマは?
お笑いが大好きなので、『30minutes』という大根仁さんが演出をしているドラマシリーズは繰り返し見ています。

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
いつも遊んでいる友達たちといるときはセーフだと感じられます。みんなバックグラウンドが違うけど、どんな意見があっても話を聞いて、受け入れてくれるし、違うと思ったこともちゃんと話し合える。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
クリエイティビティや自己表現、知識なども含め、沢山の事を教えてもらっています。自分の中の大きなインスピレーションです。でもコミュニティに対しての偏見やコミュニティ内の問題もまだあると感じます。

──注目しているLGBTQ+ムーブメントやアーティストはいますか?
サンフランシスコにある『The Transgender District』。女優で活動家のインディア・ムーアアマンドラ・ステンバーグ

──自分って最高!って思うところは?
マイペースなところ。

──あなたにとって自由とは?
固定概念やシステムやルールに囚われないこと。自分で考えて、自分の感覚や感情をフォローして行動出来ること。

──あなたにとって平等とは?
すべての人が社会で同じ権利を持ち、それを脅かされないことがまず平等への一歩だと思います。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
自分を信じて、好きな事を好きなようにして!

Okini, LGBTQ+, Tokyo

Okini(19)

Instagram:@0kini

──なにをしてる人?
ドラァグパフォーマー/アーティストとして活動させてもらっています。

──あなたのセクシャリティは、あなたのスタイルに影響を与えていますか?
影響されています。わたし自身のセクシャリティがクエスチョニングなので、ドラァグをする際もジェンダーファックなスタイルを好んでします。

──あなたにとってパートナーシップとはどんなものですか?
互いの全てを共有するって素敵だと思います。ただ、わたしはストロングインディペンデントビッチで、このかたパートナーがいたことがないので、正直なところパートナーシップって何?って感じです。

──出会いアプリ使ってますか?オススメがあれば教えてください。
『Tinder』を利用してます。自分の好みの人とマッチしないと連絡取れないシステムは合理的で好きです。

──理想のファーストデートは?
いい景色な場所で夜が明けるまで語り合う。話が尽きることなく、お互いについて話し合うってすごくロマンチックじゃないですか。

──好きな映画・ドラマは?
ゲイとでもなんとでも罵ってください。構いません。わたしはライアン・マーフィーの作品が大好きです。

──東京には、あなたがセーフ・スペースだと思える場所はありますか?
『Haus Of Gaishoku』プレゼンツの『Beauty Blenda』というイベントはわたしにとってのホームでありセーフスペースです。わたしがドラァグパフォーマーとして初めて舞台にたった場所であり、原点です。文字通り多種多様なパフォーマー/アーティストと一緒にいるのはすごく刺激になりますし、今こうしてたくさんの人に会い、色んなことを経験させていただいているのも一年前にチャンスをくれた『Haus Of Gaishoku』があったからです。

──東京のLGBTQ+コミュニティの中で育つというのはどのようなものですか?
東京のLGBTQIA+コミュニティで育ったという感覚はあまりないです。上京してきて1年程度だし、今はSNSで世界中と繋がり、たくさんのことを共有できる時代にいるから。ただ育つということはその中で学んで、行動しなければいけない。わたしたちの、LGBTQIA+権利のために。間違ったことを正すために。過去にわたしたちのために立ち上がってくれた人のレガシーをつなげるため、次の世代のために。LGBTQIA+のコミュニティとして誇りを持ち、これらの責任を果たすことが必要だと思います。

──注目しているLGBTQ+ムーブメントやアーティストはいますか?
TransLivesMatterは常にサポートしていますし、今後もサポートし続けます。トランスのコミュニティは、社会的にみても、LGBTQ+の中でも非常に弱い立場にあります。少しでも多くの人々にこの問題を認識して学んでほしい。

──自分って最高!って思うところは?
1番はパフォーマンスをしている瞬間。お客さんの笑顔や拍手喝采を浴びているとき、このために生きているんだと実感します。

──あなたにとって自由とは?
自分らしくいること。その瞬間が自由だと思います。こうあるべき、こうしないといけないという固定概念は人や社会が生み出したものだからそんなものに従う必要は無い。自分のやり方で自分の人生を楽しむことが大事だと信じています。

──あなたにとって平等とは?
理想。多くの思想家や偉人が言ってきたようにこの世に平等は存在しないし、平等な世界が訪れるかと言われると疑問を持ってしまう。逆に不平等は確実に存在し、多くのものにチャンスと権利を与えられていない。そのひとつに挙げられるのが、今アメリカを中心に世界で行われているBlackLivesMatter。こうした問題に関心を持ち、歴史を学び、行動をすることで“平等”への一歩につながるのではないかと思います。

──次世代の若者たちにメッセージをひとつ送るとしたらなにを伝えたい?
自分自身を学んで、受け入れ、愛して。

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Photography Idan Barazani
Casting and creative director Taka Arakawa

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