Courtesy of UNDERCOVER.

越境する2人: 高橋盾×Mars89 interview 後編

〈UNDERCOVER〉のデザイナー・高橋盾とアーティストMars89。前編で語られたふたりの出会いから、後編では、ショー音楽の制作を皮切りに〈UNDERCOVER RECORDS〉からリリースした12インチ『THE DROOGS』に併せて制作した、2月29日(土)に発売がスタートするコラボレーションの全容、ふたりの共同作業について話を聞いた。

by Sota Nagashima
|
20 February 2020, 8:00am

Courtesy of UNDERCOVER.

デザイナー・高橋盾本人からのオファーによって今まで足を踏み入れたことのないパリコレへ、〈UNDERCOVER〉2019年秋冬コレクションの音楽を担当することになったMars89。そんなキカッケを通じて架空のレコードレーベル〈UNDERCOVER RECORDS〉からリリースした12インチ『THE DROOGS』。そして、2020年2月23日、待ちに待ったリリースパーティ「UNDERCOVER RECORDS presents MARS89 “THE DROOGS"」がMARS89キュレートによって開催。会場では、共同によるアパレルコレクションの展開など、カテゴライズという言葉を嫌う2人の異才たちは「やりたいことをやる」その濁り無きピュアな共通の才能を遺憾無く発揮し、次々と魅惑のコラボレーションを生み出していく。前編に続き、後半では、ふたりの創作の流れと2月29日に発売が決定した今回のコラボレーションプロダクトにまつわる話を聞いた。

── Marsさんが音楽を担当したUNDERCOVER 2019-20AWコレクションでは実際にどのようなやり取りをされていたのですか?

高橋盾(以下、J):「Singin' in the Rain」とかクラシックっぽい曲を使って組み合わせたいとか、大まかな要望だけ伝えて。そこから仮で出来たという曲をMarsの家に行って聴かせてもらってそこから調整して、後は大体スムーズに進んでいった。

Mars89(以下、M):最初はもらった話を自分なりに咀嚼してやったのですが、雰囲気など抽象的なやり取りもあって、とてもイメージしやすかったですね。

── Marsさんらしさもしっかりあったと感じました。

J:そこがやっぱり頼んだ理由なので。Marsにしかできない音を入れるべきだろうし、そこを期待していたので。ビートに合わせて歩く訳でもなかったし。

M:元々、映画のサントラに影響を受けたりしていて。サントラも作ってみたいと思っていたこともあり。〈UNDERCOVER〉のショーも演劇的なストーリーがあるものが多く、今回のコレクションテーマである「A Clockwork Orange(時計じかけのオレンジ)」も大好きな映画だったので、楽しみながら作れました。

── それを再編集して12 インチとしてリリースした理由は?

J:レコードはせっかくだから出した方が良いね、と元々話をしていて。架空のレーベルとしてやっていた「UNDERCOVER RECORDS」からもちゃんとリリースしたかったので。

── しかも、リミックス陣はThom Yorke、ZombyにLow Jack。驚くほど豪華です。

J:ショーをやった後、パーティをやった(VIRGIL ABLOH主催によるパーティ「Sound Design」。その第一弾のキュレーションを高橋盾が務めた)という流れがあったので。その時のパーティに参加した人達でやってみたら良いんじゃないかなと。ダメ元で聞いてみたら、みんな即答OKでマジ?みたいな(笑)。

M:Thom Yorkeに関しては、OKの返事と一緒にもうリミックス音源が来てました(笑)。

── すごい(笑)!

J:元々、ThomにコレクションでMars89というアーティストに音楽をやってもらうという話をしたら、「知ってる、好き好き」みたいな反応で、すごいな、やっぱ知ってるんだって。

M:今度やるレコードのリリースパーティに出演してもらうPINCHも、最初はダメ元で聞いてみようって感じだったんですが、快くOKしてくれて。出演者は自分の尊敬する人たちを集めた感じなんですけど、元々、自分はBristolのレーベルからリリースしていたり、Bristolの音楽やカルチャーからすごい影響を受けていて、その中でもPINCHは、ポジションを確立している重要な存在ですね。

── そして、レコードに続き2月29日に発売となるコラボレーションアパレルはミリタリーベースですね。

M:色々な意味が重なってるんですが。元々、文化(服装学院)にいた頃からミリタリーとか機能服系の解体が好きだったんですよね。今回、売り上げの一部を難民支援団体に寄付するんですが、ミリタリーをファッションアイテムとして取り入れるのってパンクスのレベル精神や、VVAWやヒッピーの反戦思想だったりとか、そういうメッセージがあって。ミリタリーアイテムをバラバラにするということとか、ポケットとかもあえてパッチで押さえ付けて使い難くしたり。意図的にラフにしていたりもして。そういうところで反戦的なモチーフを表わしている。

1582105679433-01_PROFILE
UNDERCOVER with MARS89 “THE DROOGS AGAINST WAR” collaboration collection.

── なるほど。

M:戦争や迫害で生活や命を脅かされるのは自分たちみたいな市民で、世界にはそういう境遇に陥った人がたくさんいて、そもそもせっかくこうやって大きな規模のことをやらしてもらうことが出来るなら、そういう風に還元できることをやりたいと思っていたから。

── では、アパレルの話をもらって、Marsさんの方から高橋さんに提案した?

J:うん、もう任せるって。文化出身でしょ、と(笑)。

M:(笑)。最初は絵描いてみて、みたいなところから始めて。

J:宿題みたいにね(笑)。

M:久しぶりに人の形描いたし、押入れの奥にあったボディ引っ張り出してきて、家にあるポーチとかに紐付けてこんな感じかなとか絵描いたりして。

1582105819355-04_NO-WAR-
UNDERCOVER with MARS89 “THE DROOGS AGAINST WAR” collaboration collection.

── では、ベースはMarsさんが考えたものになっている?

M:そうですね。そこからもっとこういう風にしたら良いんじゃないかとかアイデアや助言をもらい。

J:グラフィックはこっちでやって。一緒に配置も考えて。例えば、解体したポケットをポケットの上に叩きつけるとか。あと、このUSBね。CDJに挿すと十字架が赤く光る仕組み。

M:これは話してて盛り上がって、できた!みたいな感じでしたよね。最初、生産の人たちとの打ち合わせでは、悲観的でしたけど。DJなので、DJする用として使いたいから。2個挿したら、めっちゃ強そう!みたいな(笑)。

J:USBでは何かやりたいって話してて。USBでDJするし。これは結構欲しい人多いんじゃないかな。後、7インチケースとかも作っていて。アパレルも普段使いでからガンガン着こなせるような感じで、すごく良いと思う。

── そもそもアパレルも制作したその経緯は?

J:ウチ(UNDERCOVERの)の癖というか(笑)。アパレルブランドなので、どうせ何かやるなら物もあった方が面白いし、お客さんにとっても良いかなと。

M:文化出身としては、遠回りながらこうやってアパレルに関われているのは、すごい嬉しい。服はずっと好きなので。

── 素晴らしいですよね、音楽をやって逆にファッションに戻ってくる。音楽の人は音楽だけを作るという様な固定概念は元から無かった?

M:そういうステレオタイプについてはあんまり考えたことなくて。できることは、全部やればいいかなって(笑)。若い世代も色々できると思ったら、やってみたら面白いことってたくさんあると思うので。

J:やってるんじゃない? 若い世代はやっていることをもっと広めるとか、あんまりそういう欲すら無いのかもしれないけど。

M:そうですね。自分が好きだということをどんどんやっていけば、おもしろい出会いもあるだろうし。

J:昔からそうやって繋がってきたから。

1582105871783-03_
UNDERCOVER with MARS89 “THE DROOGS AGAINST WAR” collaboration collection.

── お二人も出会ったことで、表現方法についてやクラブミュージックやショー音楽に対する考えなどで変わったことはありますか?

M:先にも話したように他に好きなものなどたくさんあるなかで、自分の表現方法で生まれてくることが大事な気がしていて。そういう表現方法を取って仕事をしている人は、ジャンルが違ったとしてもコミュニケーションを取れるような気がします。

J:久しぶりに他人に頼んで作ってもらったショーミュージックだったけど、DJという観点での音作りはすごくハマった。それから、2020AWのショーは「L.I.E.S. Records」のRon MorelliとKrikor Kouchianに音楽をやってもらったんだけど。DJをやってる人が映画のサウンドトラックを作るのって、すごく合ってると思う。

M:僕もその前のショーでパリに行った時にその前後でKrikorとお茶をしてて、彼のスタジオに行って色々話をしていたんですけど、本当に音楽好きの良い意味での「オタク」で(笑)。今回UCをやるって聞いたときは、絶対おもしろいだろうなと。

J:流れもダンスミュージックとかそういう音楽にハマって、Marsにオファーをしたという自分の方向性が既にはっきり定まって、それが軸となって芯になっていったから、音を自分でセレクトするのも自分自身の味が出せるんだけど、そういう人たちと一緒にやることによって、ショーの見え方も広がってくるし、違う人たちへのアプローチもできる。今回のRonとKrikorも純粋に楽しんで作ってくれていて。それをやったことで何かしたいとかではなく。そういう純粋な人達がMarsからはじまり、また繋がっていくのが、おもしろいなと思いますね。

── すごいピュアな循環ですね。

M:ピュアな気持ちでやってることじゃないと、なんとなく時の流れに耐えられない気がしていて。後で見返してあんまり良くなかったと思う時っていうのは、たぶんそういう時はピュアになりきれてないのかなって。

1582172036983-02_SPEAKER-
UNDERCOVER with MARS89 “THE DROOGS AGAINST WAR” collaboration collection.

祝日前夜の2020年2月23日、リリースパーティ「UNDERCOVER RECORDS presents MARS89 “THE DROOGS"」がMARS89キュレートによって開催。来日するのは近年のブリストル・サウンドの核であるPINCH、東京のローカルからの参戦は、LIL MOFO、解体新書のRomy Mats、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U、小林うてなとのコラボも話題となったDIANA CHIAKIにデザイナー・JUN TAKAHASHIがラインナップ。開催ごとに大入満員、長蛇の列となる「UNDERCOVER」のパーティ。その架空のレーベル「UNDERCOVER RECORDS」によるリリースパーティも2020年東京の盛大なナイトパーティとなること間違いなし。

UNDERCOVER RECORDS PRESENTS
MARS89 “THE DROOGS” RELEASE PARTY

DATES: Sunday, February 23rd 2020 at WWW X
OPEN / START: 23:00 / 23:00(*未成年者の入場不可・要顔写真付きID / You must be 20 or over with Photo ID to enter. *23歳以下は当日料金の1,000円オフ。受付にて年齢の確認出来る写真付きのIDをご提示下さい。*1,000 yen off the door price for Under 23. Please show your photo ID at door to prove your age.)

ADV: ¥2,500 / DOOR ¥3,000 / U23 ¥2,000 (*一般前売りチケットを発売中)
TICKET: https://jp.residentadvisor.net , https://www-shibuya.jp/
INFORMATION: UNDERCOVER青山 03-3407-1232

〈LINE UP〉
MARS89
PINCH [Bristol / UK]
LIL MOFO
脳BRAIN - A/V set -
ROMY MATS [解体新書]

4TH:
JUN TAKAHASHI [UNDERCOVER]
¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U
DIANA CHIAKI
PICNICS
NOBUHIKO KITAMURA [HYSTERIC GLAMOUR]

1582172218194-UC_0220
UNDERCOVER RECORDS PRESENTS MARS89 “THE DROOGS” RELEASE PARTY
1582172275319-UC_0220_2
UNDERCOVER RECORDS PRESENTS MARS89 “THE DROOGS” RELEASE PARTY

http://undercoverism.com/

Tagged:
undercover
UNDERCOVER RECORDS