全米各地で50の美術館が女性アーティストの展覧会を開催
2020年の大統領選に先駆けて、今アメリカでは50におよぶ美術館やアート機関が同時多発的に女性アーティストの展覧会を開催。きっかけは、トランプ大統領の誕生と翌年に開催されたウーマンズ・マーチだった。
2020年9月から11月にかけて、米国では50の美術館やアート機関で、女性アーティストのみの展示が開催される。ホイットニー美術館やハマー美術館、ウォーカー・アート・センターも参加するこのプロジェクトは、バークレー美術館のシニアキュレーター、アプサラ・ディキンジオ(Apsara diQuinzio)が立ち上げたFeminist Art Coalition(フェミニスト・アート同盟、以下FAC)による試みである。
きっかけは2016年のトランプ大統領誕生と翌年に実施されたウーマンズ・マーチ。女性蔑視的な発言を繰り返す大統領に危惧と怒りを覚えたディキンジオは、2020年の大統領選挙に先駆けて、フェニミストによる展覧会やパフォーマンス、関連プログラムを開催するよう、50の美術館に協力を呼びかけた。
「私たちの多くが2016年に行われた大統領選挙の結果に驚きました」とディキンジオはAetNet Newsに語っている。「FACは差し迫った必要性から生まれました。2020年の大統領選挙に向けて、アート機関においてジェンダーや政治についての対話が可能となる文化的な土台をつくることが重要だと考えていたのです」
デ・ヤング美術館でのジュディ・シカゴ回顧展やリスト・ ヴィジュアル・アーツ・ センターでのドロシー・イアノン展など、多くの展覧会は来年の秋に開催されるが、2020年はアメリカにおける女性参政権が認められて100周年の年にあたる。
増改築工事のために4ヶ月のあいだ休館していたMoMA(ニューヨーク近代美術館)が先日リニュアルオープンしたが、展示内容も女性や非白人のアーティストの作品をより多く扱うよう見直しが行われたという。「ここ数年、美術館の企画展示の多様化は著しく進んでいます。これが時代精神なのでしょう。こうした動きはとても励まされるものではありますが、私たちが取り組むべき課題はまだ多く残されています。所蔵コレクションの展示におけるジェンダーの不均衡は明らかですから」
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