パリのスケートシーンを牽引する21歳以下のスケーター12人

ある晴れた午後、パリを象徴するスケートスポットであるパレ・ド・トーキョー、レピュブリック、レオン・クラデルで、パリのスケートシーンを盛り上げる若者の姿をとらえた。

by Antoine Mbemba; translated by Ai Nakayama
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22 August 2019, 7:00am

© Sean Mcguirr

パリでスケートを理解しようと思ったら、レピュブリック広場、パレ・ド・トーキョー、そしてレオン・クラデル通りのスケートパークに行けばいい。そこにはスケートに情熱を傾け、自由を渇望し、そういう気持ちを仲間と共有する若きスケーターたちがいる。2020年の東京オリンピックでスケートが正式種目入りすることが決まった今(これはスケートコミュニティを二分する革命的な出来事だった)、i-Dは写真家のショーン・ミガー(Seán McGirr)と共にスケートパークへ向かい、ストリートで成長する若きスケーターたち(最年少は12歳!)に会いにいった。

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トマ 12歳

──スケートはいつから?
9カ月前くらい。

──スケートを始めたいと思ったきっかけは?
スケートをしてるひとたちのスタイルを見てて、僕もそうなりたいと思った。

──スケートは何を与えてくれる?
楽しみ。僕を自由にしてくれる。それにクール。いろんなひとにも出会えた。

──パレ・ド・トーキョーには普段から?
うん。ボウルやランプよりストリートが好き。ここのほうがずっといいし、パリでいちばんの場所だと思う。

──将来の自分にとっても、スケートは重要なものであってほしい?
大きくなっても続けたい。でも他のこともしたいと思ってる。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
最高だよ。大きくなって上手くなったら、オリンピックに出たい。

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シモン 13歳

──スケートはいつから?
友だちのヴィルジルがボードを貸してくれて始めたんだ。すぐにハマった。でももっと真剣にやっていきたい。

──スケートの何が好き?
友だちといっしょに練習すること。あと、トリックができたとかできないとか、そうやって競えるのも。でも俺らは助け合ってるし、楽しんでる。

──パリはスケーターにとっていい街だと思う?
うん、クールだし、ごちゃごちゃしてないし。邪魔もない。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
どうなるかは見てみなきゃわからないけど、いいことだと思う。スケートが発展するんじゃないかな。

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アンゴ 14歳

──スケート歴は?
2年くらいかな。

──スケートを始めたいと思ったきっかけは?
お兄ちゃんがやってて、ボードを借りてやってみたら好きになった。あとadidasのビデオを観てすごいと思った。

──スケートから得られる学びは?
スケートはクリエイティブ! というか、クリエイティブじゃなきゃダメだからね。スケートは、ライバルとか、勝ち負けとかがないスポーツ。目標は楽しむことだけ。

──スケートはスポーツだと思う?
ただのスポーツとして扱われるのはいやだ。スケートにはそれ以上のものがあるから。僕は芸術的な要素もあると思ってる。他のスポーツよりずっと創造的だよ。スポーツとしてだけカテゴライズするのは正しくないと思う。

──スケートにはどんな精神が必要だと思う?
スケートはオープン。誰でもウェルカムだ。ピリピリしてる感じもない。僕がやってることのなかでもいちばんクリエイティブだと思う。ひとつの芸術。自分の好きなことを好きなようにしてみれば、みんな熱狂してくれる。いい自己表現の手段。自分の感情に語らせるんだ。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
最悪。スケートはそういうんじゃない。オリンピックは競って、いちばん強いやつを決めるところだろ。でもそんなのスケートじゃない。スケートの目的は、スケートを愛すること。採点なんてできない。みんな、独自のスタイル、物事への視点がある。

──パレ・ド・トーキョーの何が好き?
ここにいるひとはみんな優しい。それに場所としてもすごくきれい。現代アートの美術館だから。さっき言ったみたいに、アート的な精神が漂ってる。

──将来の自分にとってもスケートが重要なものであってほしい?
いつかスポンサーがつけば最高だよね。ただ、スケートは大好きだけど仕事にしたいわけじゃない。趣味として続けていければ。

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ルカ 21歳

──普段は何を?
Webデベロッパーだよ。42(※コンピュータプログラミング学校)の最終学年。

──スケート歴は?
10歳か11歳のとき始めたはず。バスケもやってて、学生時代はスケートとバスケに夢中だった。

──なぜスケートを?
なんでかって? どこにいようと、スケートボードを持っていれば、そして他のスケーターがひとりでもいれば、言葉なんて必要ないから。スケーターは友だちであり、家族だ。観客としても楽しいし、難しいけど自分でやるのも楽しい。世界も人間も、ひとつなんだ。頭をからっぽにしたかったら、ボードに乗れば何も考えなくて済む。自由。

──観客としても楽しい、といったけど、ビデオを観て学んだりした?
今日ここに来る前、モチベーションを上げるために3本以上の伝説的なビデオを観てきたよ。自分よりもずっと難しいことをやってるひとはすごいよね。

──憧れのひとはいる?
エリック・コストンは最高にクール。パリで会ったことがある。超いいやつだよ。あとはパレ・ド・トーキョーの先輩たち。25年前から毎日ここですべってるひともいるんだ。彼らとスケートできるのは楽しいよ。

──お気に入りスポットはパレ・ド・トーキョー?
というかここしかないね。家族みたいな、いい雰囲気がある。パリ市は、ここの半分でスケートをする許可を出してくれて、それで和解してるけど、レピュブリックは違う。ここは保護されてるから、まるで自分の部屋だ。

──パリはスケーターにとっていい街だと思う?
スケーターといっしょにいれば最高の街だよ。でも全体としては最低。みんなバカだし、イライラしてる。ダブリンなんかは、スケーターにとってはいまいちだけど、人間はまだマシ。それに、この16区だと、金持ちが空き缶をボードのほうに投げてきたり、何もないのに罵声を飛ばしたりしてくる。でもスケートに乗ってれば、パリは最高だ。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
バカみたいな話だよ。最低。スケートってストリートのもので、2〜3年前にはスケート協会なんてのもなかった。そんなの必要もなかったし。今、協会はスケート界を代表するような人材を探しているところだけど、俺はクソみたいなジョークだと思ってる。俺たちにはもうストリートリーグっていうオリンピックみたいな大会があるし。スケートはストリートのスポーツだから、ストリートを出ちゃいけない。ストリートのやつらがオーガナイズしないと。俺らはスケートをやるために金を払って許可を得てるわけじゃないし、俺は興味ないね。

──20年後もスケートしてると思う?
医者に車椅子に乗せられる日まではスケートをやめないよ。スケートを始めたら、もうヘロイン中毒みたいなもん。やめられないし、ハマるしかない。

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マテオ 14歳

──スケートはいつから?
トリックの練習を始めたのは、去年の10月から。でも6年生のときからすべってはいるから、2016年からやってる。スケート歴10年のお兄ちゃんに教えてもらった。ずっとスケートに夢中だった。

──スケートの何が好き?
仲間とのつながり。友だちといっしょにすべったり、ダベったり、バカみたいなことして遊んだり。あとトリックを決められたときは最高な気分。アドレナリンが超たくさん出る。僕の友だちグループは、スケートを通してつくられた。

──お兄さん以外で憧れているひとは?
もちろんいるよ。前にアリ・ブララ(Ali Boulala)のインタビュー映像をみて、すごく感動したんだ。自分をコントロールする方法とか。あとは、ありきたりかもしれないけどトニー・ホークとか、悲しいことに最近亡くなったパブロ・ラミレスも。ヘクトール・ダ・シウバ(Hector da Silva)も好き。

──お気に入りスポットはパレ・ド・トーキョー?
うん、ここでスケートを始めたから。ずっとここにいる。スケーターたちは15年前から、ここの大理石の上をすべってきたんだ。すべすべしてるから痛くない。いつ来ても絶対誰かしらがここですべってるし。

──パリはスケーターにとっていい街だと思う?
うん、いろんな街をみてきたけど、パリがいちばんだと思う。たとえば東京はすごくクールだけど、パリに比べたらそこまで盛り上がってないのかな、と感じた。パリのスケートパークは少ないけど、ストリートなら盛り上がってる場所はたくさんある。そこがパリらしいと思う。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてはどう思う?
スケートはストリートのスポーツだから、ストリートのものであるべき、と主張するひともいるけど、スケートってかなり人気だし、発展もしてきたから正式種目に選ばれるのもわかる。まあ賛成とも反対ともいえないかな。

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サラ 13歳、アナンダ 14歳

──スケート歴は?
アナンダ(以下A):1年くらいかな。
サラ(以下S):私は8カ月とか。

──スケートを始めたいと思ったきっかけは?
S:両親の影響。お母さんは10年以上のスケート歴があるし、お義父さんはもっと長くやってる。でも両親に無理やりやらされたわけじゃない。2018年9月、中学2年生になってすぐにアマンダに出会ったんだけど、そのときアマンダがスケートにハマってたんだ。もともと私は自分のボードを持ってなかったから、ずっとアマンダのボードを借りてた。それで彼女の勧めもあってランプやオーリーに挑戦するようになって、最終的にお母さんに自分のボードが欲しいって言った。お母さんはよろこんでた。
A:私は小さい頃からスケートに慣れ親しんでたけど、トリックはやったことなかった。私のお母さんの兄弟はずっとスケートをやってたけど。去年パリに越してきたとき、友だちをつくりたかったから、スケートがいいきっかけになるんじゃないかと思って。

──実際友だちはできた?
A:うん、今は全員知ってる。

──ここはよく来る?
S:うん、みんなすごくいいひと。ひとつの大家族みたいにみんなで支え合ってる。お互いよく知らなくてもね。みんなが手を差し伸べてくれる。
A:ほんと、兄弟がたくさんいるって感じ。

──女の子はあまりいない?
A:うん、ここは基本的に私たちふたりだけ。
S:もったいないと思う。女子もスケートに興味をもつべき。スケートは男のスポーツじゃない。みんなのスポーツだから。身長や年齢も関係ない。大切なのは、スケートを楽しんで、人間関係を築いていくことだけ。

──パリはスケーターにとっていい街だと思う?
A:年齢が上のひとたちはあんまりスケーターへの敬意がないかな。ストリートですべってたら、押されることもあるし。
S:私もここらへんで経験ある。おじさんに押されて舗道に出ちゃった。

A:でも若いひとたちは興味をもってくれてるよね。「あ、女の子がスケートしてる! ママ、私もやりたい!」って声を聞くこともあるし。
S:かわいいよね。女の子がほとんどいないから悲しい。

──サラは、自分がお母さんの影響を受けたと感じる?
S:ううん。結局、お母さんと同じことに夢中になったけど、お母さんがやってたから始めたわけじゃないし。スケートをやりたい、と思ったのはアマンダの存在がきっかけ。彼女にやらされたって感じ! でもお母さんはいつも私のことを応援してくれてるし、たくさん支えてくれる。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
A:最高! うれしい。
S:お母さんの時代にはスケーターの存在なんて知られてなかった。ただのストリートのキッズだって思われてた。
A:90年代には〈ストリートラット(street rat:街のネズミ)〉って呼ばれてたのが、今ではオリンピックの正式種目。スケートの難しさとかトリックを決める楽しさはまだ知られてないと思うから、スケートがもっと知られるようになったら最高。

──20年後もスケートを続けていると思う?
A:パリに暮らし続けていて、友だちがいる限りはやめないよ。

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ギャバン 12歳

──スケートはいつから?
4歳のときから。お父さんがやってて、教えてくれた。

──スケートの何が好き?
全部! 特に、友だちとすべるのが楽しい。小さいときからやってるし、大好きだし、やらないなんて考えられない。今は腕を骨折しててすべれないから本当に拷問。今日は友だちがすべってるのを見にきた。

──ここはよく来る?
そうだよ、よく来る。週末は友だちと違うとこに遊びに行くけど。レピュブリックとか、サンマルタン運河とか。

──パリはスケーターにとっていい街だと思う?
いい街だと思う。僕らが音を鳴らして横を通るとき、変な目でみてくるひとはたまにいるけど。いいスポットもある。でも、すぐに追い出されることもある。

──憧れのひとはいる?
ダスティン・ドリンは最高だと思う。あと、お父さんの友だちの旦那さんもすごかった。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
最高! スケートの発展につながるし、知名度も上がる。もしかしたらこれをきっかけに、世界中でスケートパークが増えるかも。

──将来オリンピックに出たいと思う?
うん、オリンピックでメダルを取れたらって思うよ。まあ今すぐは無理だけど、いつかね!

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ダニエル 17歳

──スケート歴は?
もうすぐ1年半。

──スケートを始めたいと思ったきっかけは?
ずっとやりたかったんだ。なんでかわからないけど、とにかくずっとスケートをやるのが夢だった。ついに1年半前、自分でボードを買って、始めることにしたんだ。集中すると同時に、リラックスもできる。最高だよ。こんなにハマるなんて思ってなかった。

──ただのスポーツじゃない?
うん、それ以上の何か。もちろんスポーツだけど、とことん情熱を傾けてる。

──パリはスケーターにとっていい街だと思う?
うん、最高の街だよ。コミュニティはすばらしいし。場所にもよるけど、全体的にパリはいいひとが多いと思う。

──レピュブリックの何が好き?
いちばん通ってるのがここなんだ。ここの地面が好き。俺が成長したのもここだしね。あと友だちもここでたくさんできた。スケートをせずに友だちと座ってるだけでも、いろんなことを話せるし。だから好き。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
最高。すばらしいと思う。スケートは、スポーツとしてよりもストリートの娯楽として扱われることが多い。オリンピックの正式種目に選ばれたのは、大きな前進だと思う。

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トム 14歳

──スケート歴は?
1年半とか2年とか。

──スケートを始めたいと思ったきっかけは?
なんでだろう。友だちがやってたから、自然と自分もやりたくなった。最初は友だちにボードを借りてたけど、スケートの感覚が好きで。スケートをやってるとすべてを忘れられるし、すごく楽しい。

──スケートはただのスポーツではない?
お母さんには、スケートは芸術だって言ってる。あまりよくわかってくれてなかったけど。でも美しさがここまで大切なスポーツってあんまりないでしょ。

──お気に入りスポットはパレ・ド・トーキョー?
レピュブリックも好き。でも水曜は最悪。一日中すべることができないから、ここのほうが好き。

──パリはスケーターにとっていい街だと思う?
うん、パリはひとが優しい。フローがいい。

──憧れのひとはいる?
うん、たとえばレミー・タヴェイラとか、基本的にヨーロッパのスケーターが好き。米国人よりもフローがあると思う。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
スケートはスポーツだと考えている人にとってはいいことなんじゃないかな。米国人はスケートをスポーツとして見ているからよろこんでるって印象。でもパリのスケーターはスケートを芸術だと思ってるから、歓迎してないひとが多い。

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ティロン 17歳

──スケート歴は?
たぶん8カ月くらい。

──スケートを始めたいと思ったきっかけは?
友だちの影響。スケート人気が世界的に高まってきてたから、自分もやってみようと思って。面白いと思ったら続ければいいし、そうじゃなければやめるし。

──スケートの何が好き?
スケーター仲間。みんな、スケートのレベルでひとを判断することはない。落ちこぼれたら仲間に入れない他のスポーツとは違う。スケーターはみんな友だちだし、友だち以上の存在かも。助けてくれるし、アドバイスもくれるし、新しいスポットを教えてくれる。

──お気に入りスポットはレピュブリック?
うん、いちばんよく来る。シャトレやバスティーユにも行ったりするけど、俺がスケートを始めたのはレピュブリックだし、自分の隠れ家って感じ。放課後、時間があるときはここに来て、知り合いがいないか探す。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
いいことだと思う。エクストリームスポーツがオリンピックの競技になるなんて。スケートは特に驚いた。サーフィンとかBMXはわかるけど。だからうれしい。

──将来、競技としてスケートをしたいと思う?
うん、やる気を失ってなければね。

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ジョゼフ 13歳

──スケート歴は?
1年と4カ月。

──スケートを始めたいと思ったきっかけは?
もともとキックスクーターに乗ってたんだけど、仲良しの友だちが僕のよりもずっとかっこいいのを持ってた。それがくやしかったから、その子と待ち合わせしてたときに古いスケートボードに乗っていった。それからずっと乗ってる。

──スケートの何が好き?
仲間との時間。たくさん出かけるようになったし、いろんな場所に行くようになった。友だちと過ごす時間が増えて、スクリーンをみる時間は減った。別にスケートパークじゃなくてもすべるし。

──あなたが見つけたスケートスポットを教えて。
たくさんあるよ。ジュシュー、オーステルリッツ駅、バスティーユ、レピュブリック…。でも友だちと集まるのはパレ・ド・トーキョー。すごい場所だよ。いつも来てる。

──スケートスポットやひとの面で、パリはいい街だと思う?
うん、そう思う。もちろん、いいひとも嫌なひともいるけど。でも僕らはみんなで助け合ってる。

──憧れのスケーターはいる?
うん、カイル・ウォーカー。彼のスタイルが好き。いちばんかっこいいと思う。

──スケートがオリンピックの正式種目になったことについてどう思う?
意見は割れてるけど、僕はいいことだと思う。スケートがスポーツとして認められるようになるってことだから。もちろんいろんなところで指摘されてるとおり、よくない面もあるけど。

──将来のあなたの生活において、スケートは重要な位置を占めると思う?
うん、プロになることはないと思うけど、大人になったら今よりもスケートは大切なものになると思うな。スポンサーがつけば最高。自分のスケートブランドをつくれたらいいな。

Credit


Photographie : Sean McGirr

This article originally appeared on i-D FR.
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