ユルゲン・テラー 日本での25年ぶりの個展「テラー ガ カエル」

東京・原宿にあるギャラリーBLUM & POEで、ユルゲン・テラー「テラー ガ カエル」展が開催される。日本での個展開催は実に25年ぶり。キュレーションは、第50回ヴェネチア・ビエンナーレの総合ディレクターを務めたフランチェスコ・ボナミが務める。

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31 January 2017, 2:45am

ユルゲン・テラー 「Frogs and Plates No.8」2016年 © Juergen TellerCourtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

フランチェスコ・ボナミのキュレーションによるユルゲン・テラーの個展「テラー ガ カエル」が開催される。本展では、皿上のカエルをモチーフにした新作のシリーズ「Frogs and Plates」をメインに発表する。

1964年ドイツ・エアランゲンで生まれたユルゲン・テラーは、ミュンヘンのバイエルン州立写真学校を卒業後、22歳で渡英。1986年よりロンドンを拠点に活動をスタートさせ、音楽での仕事で頭角をあらわしはじめた彼は、ビョーク、PJハーヴェイ、コートニー・ラヴなどのレコードカバーを撮影している。1991年にはドイツをツアー中のニルヴァーナのバックステージもカメラにおさめており、『Details』誌に掲載されたカート・コバーンを撮影したアイコニックな作品によって大きな注目を集めた。雑誌の世界では80年代後半から活躍をはじめ、『i-D』をはじめとするファッション誌で、リアリティーやドキュメント性を持ち込み、従来の大袈裟なスタジオセットやスペクタクルな演出のもと撮られた写真に対して新たな価値観を提示してみせた。ヒューマニティを前面に押し出したファッション写真で人間の醜さ、厳しさ、そしてユーモアが感じられる作品を世界中で数多く発表。以来、MARC JACOBS、Vivienne Westwood 、COMME des GARÇONS、HELMUT LANGといった世界的なメゾンやファッションデザイナーたちとの数々の企画に携わってきた。ファッションの世界においてもシンメトリーなクラシックこそが美しいという価値観が覆されたこの時代、ラグジュアリーやクラス感を売りにする既存のハイファッション誌とは袂を別つ媒体が出現しはじめていた。それに呼応するかのような形でファッション写真のスタンダードが変わりつつある潮目にテラーがその中心に身を置いていたのは自然な流れだったのかもしれない。

本展で発表された、どこか憎めないシュールな構図で捉えたカエル、これらの作品群にもテラーの精神性は表れていて、無作為なようでありながら、厳密なプランやステージ構成のもとに成り立っており、対照的な要素がもたらす緊張感がほとばしる。また、見ればテラーのものであるとすぐにわかるユニーク性も彼の作品の特徴だ。本展のキュレーターは、第50回ヴェネチア・ビエンナーレ(2003)の総合ディレクターを務めたフランチェスコ・ボナミが担当した。

ボナミは本展についてこう語っている。「『むかしむかし、ある国のとある郊外あたりに、カエルを食べない人々がいました。そこでは、人々はカエルとキスをし、カエルと愛を交わしていました』この展覧会を、カエルたちが鑑賞者のように、ゴリラと紳士、キツネと婦人、ロバと男といった3人の作品中の登場人物を眺める場とするならば、テラーによるおとぎ話の書き出しはこのように始まるだろう。彼のすごさは、ただイメージによってシンプルなストーリーを伝えるところにあるのではなく、カリスマ的で気難しい写真家のウィリアム・エグルストン、この世のものとは思えない女神のような女優のシャーロット・ランプリング、そして野人のようなユルゲン・テラー本人、といった普通じゃない人物たちを魔法が解けてしまったのかのように普通の人物に変えてしまう手腕に、実はある。この展覧会は、カエルたちと動物界の相棒を連れた3人の人物との対話と邂逅として成立しているのだ」

ユルゲン・テラー「Frogs and Plates No.1」2016年 © Juergen TellerCourtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

Juergen Teller「テラー ガ カエル」Curated by Francesco Bonami
会期:2017年2月4日 (土) ‒ 4月1日(土) 11:00-19:00 日・月・祝日休
会場:BLUM & POE 
オープニング・レセプション:2月4日 (土) 18:00 - 20:00

Credits


Text Yuuji Ozeki