月島に5日間だけ出現した東京の第24区
3月19日(土)− 23日(木)の5日間、月島のギャラリー「TEMPORARY CONTEMPORARY」で、フランス、モスクワ、ニューヨーク、東京の新進気鋭アーティストが集う合同展示「DISTRICT 24」が開催された。

参加メンバーには、ライアン・マッギンレーの元でアシスタントとしてキャリアをスタートさせたNYのフォトグラファー・グレイス・アルホム。若干24歳ながら、昨年LOUIS VUITTON 2016 CRUISE COLLECTIONにアートワークの提供を行ったジュリエット・カッセラ。東京からは茂木モニカなどが名を連ねている。ディレクターを担当したのは、現在22歳の栁澤春馬。
「昨年にニューヨークに留学した際に、「YOUTH」という企画展示をしました。そのとき感じたことをベースに、実際に現場で起こっていることの重要性を再認識して頂きたく、ディレクションを行いました」と話す。

i-Dは初日のオープニング・パーティに潜入。来日しているアーティストの展示を挟みながら、キュレーターである栁澤に展示の見どころを紹介してもらった。



グレイス・アルホム(GRACE AHLBOM) @sk8rmom420




展示を一巡したライアンに今回の展示について感想を伺うと「いろんな国の人の作品が集まっていて面白いね。僕が彼女の年齢だったときは、同年代の仲間でコミュニティをつくっていたし、国を超えたクリエイターが集う展示で発表できてよかったと思うよ」と語った。
今回の大きな目玉のコラボレーションがライアンマッギンレーの元でアシスタントとしてキャリアをスタートさせたグレイス・アルホム(Grace Ahlbom)とマルチメディアアーティストのジュリアン・クリンスウィックス(Julian Klincewic)のコラボレーション展示。
「ジュリアンは、スケーター、モデル、フィルムディレクターと一つのジャンルに囚われることなく活動しています。Super sunglasses とのコラボレーションやacne studios 2017ssのシーズンビデオのフィルミングなど、その活動範囲は多岐に渡ります。グレイスはスケーター界のレジェンド、アレックス・オルソンのブランド「call me 917」のファーストコレクションのルックを撮り下ろしました。NYで行われた自身のエキシビジョンではスケボーのランプを会場の真ん中に据えるなど、ユニークかつ非常に洗練された空間だったこともあり、ぜひお願いしたいと声をかけました。グレイスは今回が日本国内で初の展示です。会場に今来日している師匠のライアンの姿があったのも驚きましたね」

ジュリエット・カセッラ(JULIET CASELLA)@julietcasella




「フランス出身のコラージュアーティスト、ジュリエット・カッセラです。今回「Lost Youth」という日本のストリートに生きる若者の実像を描いた木村太一との共作によるビデオコラージュを手がけています。海、都会的建造物、冷蔵庫、一見関係ないように思えるものをコラージュすると彼女にしか描けない世界観が立ち上ります。LOUIS VUITTONにアートワークを提供した彼女の実力をぜひ体感してもらいたいですね」


Headlong / Глубже Short Film from Nadia Bedzhanova on Vimeo.
ナディア・ベツォハノヴァ(NADIA BEDZHANOVA)@bedj
「ロシア・モスクワ出身のアーティスト・ナディア・ベツォハノヴアのショートフィルムの上映を行っています。ゴーシャ・ラブチンスキーに衣装提供を受け、フィルムディレクターを行うほか、国内外のアートマガジンやファッションブランドへのフィルムの提供を行っている彼女。前回NYで行った個展『YOUTH』のときから作品が好きで展示の依頼をしていたのですが、返答があり実現しました。今回展示できたのは『YOUTH』を行った展示スペースの上に住んでいるという偶然があったから。District24のための撮り下ろしの今作ではベッドルームのやりとりが貴重となっていることから、ベッドをインスタレーションとして設置しました」



THE OVERSEA ( オーバーシー) @theoversea 茂木モニカ(MONIKA MOGI) @monimogi
「もう一つのコラボレーション企画がこちら。僕がヘアクリエイティブ集団THE OVERSEAで髪を切ってもらっていることあり、展示の打診をしました。そこで写真家としてモニカモギを提案されました。今作のテーマは『SUBURBAN GIRL』。地方都市でロケをして撮影しました。普段のモニカの作風に一歩踏み込んだ新しいアプローチが実現されていると思います」


「それ以外にも、NYをベースに活動するアーティストをメインにほとんど出回らない希少な本をセレクトとしているブックストア「BLANKMAG」と、出版レーベル「commune press」を羽根木で運営する「commune」さんにZINEをセレクトしてもらっているほか、エントランスではNEO TOKYO をテーマにフラワーアーティストのKoichi Hosoguchi、空間演出を担当しているYuki Nakajo、そして映像作家のVJ AKIO.Nの3人に展示物を制作してもらいました」
2階エントランスでは、カメラマン田島一成に師事した後、昨年独立しファッションに限らず雑誌、広告、映像など手がけるGenki Nishikawaが本プロジェクトのメインヴィジュアルとPR動画を作成、上映した。



「同じくディレクターとして企画に携わっている石川淳手がけるクチュールブランドmaison de Fの展示もぜひ注目してもらえたらと思います」

今回の展示はまだ柳澤氏の日本での第一歩。果敢な挑戦が同世代のクリエイターにどんな化学反応を引き起こし、また大人たちをも巻き込んでいくのか。注視していきたい。
Credits
Photography Kaho Okazaki
Text Hiroyoshi Tomite