ダンスを新たな次元へ

モノづくりと創造性のはざまにある魔術的な空間へとダンサーを誘うバンジャマン・ミルピエ。

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aug 10 2018, 8:55am

ダンサー、振付師、そして監督として活躍するバンジャマン・ミルピエ。映画『ブラック・スワン』で見せた卓越した演技によって、その知名度は急上昇した。2017年、彼はDom Pérignonとのコラボレーションによるアーティスティックなキュレーション・プロジェクトを開始。

国際的な芸術団体とコラボし、また彼らをインスパイアするという取り組みの一環である。バンジャマンとそのクリエイティブ上のパートナー、ディミトリ・シャンブラスは、完全に自由な発想でこの作品に取り組むよう依頼されたのだという。そしてできあがったのは、ミルピエ自身が監督した、ダンスの永続性を賛美する短篇映画と、仏写真家トマ・ユメリーによる写真作品、そしてアーティストとして活動するマウリツィオ・カテランとピエールパオロ・フェラーリによる作品だった。

Dom Pérignonのシェフ・ド・カーヴ(醸造最高責任者)であるリシャール・ジェフロワとの出会いに大きな刺激を受けたミルピエとシャンブラスは、その最初の芸術作品で、細部にまでこだわったモノづくりと詩的な才能を見事に融合するというジェフロワの技術を再現するために、ダンスという表現を用いた。インスピレーション、そしてそれに続くコラボレーション自体の原動力もまた、Dom Pérignonの核たる部分にあるのだ。クラシックなヒップホップから派生したダンスに精通するダンサーとともに作品に取り組んだミルピエは、ヨハン・セバスティアン・バッハの楽曲に合わせて踊らせることで、アーティストたちを新たな境地へと導いていった。

domperignon.comとi-Dでは、7月から9月にかけて、バッハのこの楽曲を使った3作品がリリースされるほか、12月までにユメリーやカテラン、フェラーリの作品も公開される。バンジャマンにインタビューを敢行した私たちは、そのユニークなディレクションの仕方や、どうやってクリエイターをよりクリエイティブにするのかについて話を訊いた。

——リシャール・ジェフロワとの出会いはどのようなものでしたか? またその出会いはプロジェクト全体をどのように特徴づけたのでしょうか。Dom Pérignonの製法や歴史について話した場で、リシャールとはたくさんのをDom Pérignonを試飲しました。とても新鮮な体験で、芸術家と対話しているような気分になりましたね。その素晴らしいシャンパンをつくり出すために、リシャールはモノづくりに関する膨大な知識だけでなく、その生まれ持った才能をも頼りにしているのです。彼はなかなかの詩人ですよ。

——そこから、モノづくりの感覚と芸術性をどのようにひとつのアイデアへと発展させていったのですか?
とてもシンプルでした。いわゆる“打ち合わせ”はしませんでした。あのシャンパンがどのような技によってつくられているのか、それが社会にどのように見せられているか、社交的な場でどのように人びとを結びつけているのかは十分理解できましたから。その段階から、ディミトリと私は、こうしたアイデアにぴったり合い、お互いに影響しあえる、望ましい才能を有したアーティストは誰だろうと考え出したのです。

——あなた自身の作品『Bach Studies(バッハの研究)』ですが、なぜダンサーだけを起用しようと決めたのですか?
伝統的なクラフツマンシップ(職人技)の感覚を発展させるところから始めたのですが、ダンスは自然にそこにはまったのです。さまざまなスタイルをもとにしたり、インスピレーションを受けたりはしていますが、その核となる部分で、ダンスはとても伝統的です。ダンスは永遠に進化していくものであり、それと同様に、ワインにもさまざまな種類がある。天候や環境に左右されますからね。時代を超越したものをつくるというアイデアが、このプロジェクトを生み出したのです。

——アーティストはどのように選んでいったのでしょうか?
何よりもまず、彼らは全員素晴らしいダンサーです。2012年にディミトリと私は、リル・バックを起用した映画を撮っていました。リアは韓国出身の素晴らしいダンサーで、映像でも本当に魅力的です。世界でもっとも優れたポップダンサーのひとりであるジョンと仕事ができたのも貴重な経験でした。

——ダンサーを選んでから最後の映像をつくるまでの過程を具体的に教えていただけますか?
まず一緒に選曲をして、彼ら自身に振り付けをお願いしました。そして、それを踊るのに最適な場所はどこかを話し合いました。とても物語性のあるものになりました。リアのものは、LAやそのダウンタウンと彼女の作品が相互に作用しあうのが魅力的でしたね。彼女はストリートで踊っているのですが、誰もが注意すら払わない。あそこの人たちはどんなものも見慣れてしまっているので、歩道で本気のダンスを披露しようがまったく意にも介されないのです。

——ジョンについては、なぜ浜辺だったのでしょう。
ジョンの作品では、すごくピュアなものがほしかったのです。海を彼の踊り相手のようなものにしたら素敵じゃないかということになりました。

——最後にリル・バックですが、なぜ彼を迷子の宇宙飛行士のようなかたちで見せたのですか?
あの音楽には完全なる狂気のようなものがあるので、彼がある場所から動けなくなっているようなイメージがほしかったのです。リル・バックのダンスには、バレエや社交ダンス、フラメンコを垣間見ることができます——そのダンスにはあらゆる文化カを見いだすことができる。ものすごいことですよね。彼のアプローチの仕方には、真の才能がうかがえます。

——こうした作品のなかで、もっとも満足感を得られたのはどんな部分でしたか?
この3人のダンサーがヒップホップを踊るのをかなり見慣れてしまったおかげで、バッハの曲に合わせたダンスを見ると、今までとは違うレベルのリズムや複雑性、そして繊細さを感じることができる。私にとってそれはエキサイティングでしたね。

もっと知りたい人はこちらをチェック。
www.domperignon.com