Liam Hodges AW17:ディストピアが息をして

デザイナーのリアム・ホッジズが違法レイヴ・パーティの世界観で、崩れゆく世界に“ある未来のあり方”を示す。

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11 januari 2017, 1:12am

「子供の頃にSFものを見すぎたんだろうね」とリアム・ホッジズは、Liam Hodges の2017年秋冬コレクション「Dystopia Lives」のショーのバックステージで語った。「『ニューヨーク1997』に『トータル・リコール』、そしてもちろん『時計じかけのオレンジ』なんかをね」。世界が混沌を極め、誰の目にも世の中がもはや理解不能と映った2016年、ホッジズは、それらの黙示的映画が未来へのたしかなロードマップとなったと話す。

「混乱の中には必ずチャンスが転がっている」と彼はいう。「未来に起こることなんて誰にもわからない。だからこそ、やりたいことをやるんだ」。そこで、ホッジは違法レイヴの世界を作り出した。しかも、これまでに私たちが目にしてきた中でももっとも美しいコスチュームにあふれたレイヴを。ハイウエストのカーゴパンツから絵画的タッチのカモフラージュがあしらわれたロングスリーブ・トップ、そして映画『トータル・リコール』に出てきた"三つ胸の女"がコピー機に体を押し付けてプリントアウトしたような写真をあしらったTシャツを合わせるなど、「ディストピア・暗黒卿」を現代的に解釈した世界を作り上げた。

ホッジズのトレードマークともいえるパッチワーク・切り返しは、今季、カットソーやコットンのワークウェア、そしてゆったりとしたニットウェアに用いられた。それらのパッチワーク・アイテムはペイント・ジーンズやジッパー付きダウン素材パンツ、ダウン・ジャケットなどに合わせられた。これらのトップスの背面には、映画の予告編などで冒頭に流される年齢制限指定・規定告知画面のパロディ版がプリントされ、「THIS YEAR」というモチーフとともに配されている。他にも、ブラックとダーク・ボトルグリーンのウール・ジャンパーに「Dystopia Lives」の文字が汚れ染みのように浮かび上がるルックには、『時計じかけのオレンジ』で登場人物たちがかぶっていたようなハット(ノエル・スチュアートのChristysとのコラボレーションで生まれたもの)と、ウエストのフロント・ボタン部分から長く伸びてベルトとして機能する長いバンドが付いた、裾は切りっぱなしのクロップドパンツが合わせられるなど、新しい試みが多く見られた。

ホッジズは、ただ服を作るだけでなく、新しい世界を現実世界に見せてくれるデザイナーだ。今季、彼はランウェイの後にアフター・パーティを開き、SFレイヴの世界を見事に味わわせてくれた。「コレクションの服にはストーリーが込められていたから、そのストーリーを完全に理解してもらうためにこのパーティを開いたんだ」とホッジズは話す。「ファッションウィークにリアリティをと考えて、ファッション・ショーに来れなかったひとたちを招待したんだ。コレクションの発表がビジネスの大きな一環だからという理由もあるけど、それ以上に、ブランドの世界観を多くのひとに感じてもらいたかった」。リアムがアフター・パーティのために作ったミックスで、その世界観を少しでも感じてみてほしい。

Credits


Text Charlotte Gush
Photography Finn Constantine
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.