作家ロクサーヌ・ゲイがオルタナ右翼本に対抗

扇動的な投稿をしてTwitterを永久追放されたフリースピーチ原理主義者に執筆を依頼した出版社に対し、作家ロクサーヌ・ゲイが次作出版契約取りやめを突きつけた。

by Hannah Ongley
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02 February 2017, 8:59am

twitter.com/rgay

極右思想を扇動し、一部のネット・ユーザーたちの間で人気を誇っているマイロ・ヤノプルス。2016年7月、彼はインターネット上でコメディエンヌのレスリー・ジョーンズに対し、中傷を繰り返し行なったとしてTwitterから永久追放された。しかしその後、ヤノプルスはTwitterに代わる新たなプラットフォームでの発言継続を発表した。そのプラットフォームとは書籍だ。出版社Simon & Schuster社の保守派出版部門Threshold Editions社が、ヤノプルス著『Dangerous』の執筆費として準備金25万ドルを彼に支払ったことが明らかになったのだ。もちろん、この件に人々は黙っていなかった。そのひとりが、『バッド・フェミニスト』著者のフェミニスト作家ロクサーヌ・ゲイだ。彼女はこの問題を受けて、Simon & Schuster社から出版予定だった書籍の発売を取りやめにした。

ロクサーヌは、TED Books社から2018年3月に最新著書『How to be Heard』を発売する予定だった。彼女は、このTED BooksがSimon & Schusterのグループ会社だとは知らされることなく契約を結んでいたという。Buzzfeed Newsを介して世界に発表された声明の中で、ロクサーヌは最新著書の発売を取りやめにした経緯について、こう説明している。

「ヤノプルスの著作出版が発表されたとき、私は自分がこれまでSimon & Schuster社から本を出していないことに安堵したものです。Twitterでもその気持ちをツイートしました」と彼女は書いている。「だけど、そこでTED Booksとの契約を思い出し、TEDがSimon & Schusterの関連出版社であることがわかりました。今月中にも『How to be Heard』の原稿を入稿する予定でしたが、私の頭の中には、"ヤノプルスのような人間に、無神経で洗練のかけらもない憎悪や挑発的な姿勢を世界に発信するプラットフォームを与えてはいけない"という考えばかりがめぐり、TEDに原稿を渡す気にはなれませんでした。担当編集からはしびれを切らしてメールが届きましたが、私はそれを開けずにそのまま受信箱に放置し、そのまま先週1週間が過ぎました。そして週末、代理人にTEDからの次作リリースを取りやめるよう指示しました」

ロクサーヌはこの行動について、これは検閲に関する自身の考えの表れというよりも、「私の信条に従って行動した結果」だとしている。「ヤノプルスには、言いたいことを言う権利がある」とした上で、彼女は「ヤノプルスには、大手出版社から出版するだけの資格なんてない。にも関わらず、どういうわけか、彼にはその機会が与えられてしまった。そうしたときに、私にできることは何か——ヤノプルスに出版の機会を与えるような出版社と、私はビジネスをする気なんてありません」。ロクサーヌは、自身がこうして「ノー」と言える立場にあることを「恵まれている」とし、すべての作家がこのような状況で半旗を翻せる立場にいるわけではないことも理解している、と述べている。

Simon & SchusterのCEOは、作家たちに対し、「ヤノプルスの本がヘイトスピーチを含まない内容になると約束する」といった内容の手紙を送った。ロクサーヌのこの声明は、この手紙が郵送された2日後に発表された。Simon & Schusterの手紙から浮上するのは、「ヘイトスピーチが含まれないとなると、ヤノプルスが書く本には何が含まれるというのか?」という疑問だ。『How to be Heard』は、現在のところ"出版元未定"となっている。しかし、ロクサーヌは引く手数多の作家だ。すぐに出版を申し出る出版社が現れるだろう。

Credits


Text Hannah Ongley
Image via Twitter
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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