「ファッションショーはもはや広告でしかない」:ジャン=ポール・ゴルチエが語る、ファッション産業の今

ファッション界の元祖“恐るべき子ども”ジャン=ポール・ゴルチエが、お金を払ってセレブに服を着せるメゾンや、人々が服を買わなくなった現状、彼がオートクチュールに専念する理由を語る。

by Charlotte Gush
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23 June 2017, 6:25am

先日公開された、新しいパフューム「Scandal」の発売に際してインタビューを行ったジャン=ポール・ゴルチエ。彼はそこで、現代のファッション業界に見切りをつけたことについて語った。「今日のファッション界について憤りを感じることはありますか?」という『WWD』の質問に、パリ・ファッション界の"恐ろしき子供"(「私が65歳ということを知っていますよね?」と本人はそのレッテルを否定)は「すべてが悪いというわけではありません。業界の透明性は高まっており、より贅を尽くしたものになっています」と答えつつも、そのお金の使われ方や、消費者には見えないブランドとセレブの取引を批判した。

「私は、お金の使われ方が問題だと思っています。ショーには舞台セットなど、膨大な金額が使われています。ほんの一瞬のために。それにどれだけの価値があるでしょうか?」と、シーズン毎に変わる、ビッグメゾンの凝った舞台セットを例に挙げた。「人々があまり服を買わなくなった、そんな経済不安の時代だからこそ、それは腹ただしい。現在の消費者は服を買うよりも、人からもらったり、レンタルサービスを使う。もし買うにしても高級なものには手を出しません」。彼はまた、有名人やインフルエンサーの多くがブランドとの契約で服の提供を受けていることや、店舗に並ぶ服はショーで使われるコレクションのほんの一部でしかない事実に言及した(実際、ビッグメゾンは服よりもバッグなどの革製品や香水で利益を出している)。

彼自身、ブランドがお金を払って有名人に服を着てもらうことを批判はしないとしているが、80-90年代には多くの有名人が彼の服を気に入って買ってくれていたことを思い返して、「自分が作る服を通して人の愛を感じたいがために、私はこの世界に入ったのです。それなのに自分がお金を出して彼らに着てもらうというのは、自分の身を売っているのと同じことではないでしょうか?」と語った。

「お金は、大量に作られる服のコマーシャルに使われます。それに関わっている人も多い。しかし、買う人はごくわずかしかいません。私にとって、これこそが腹ただしいことですね」と彼は笑いながら言った。また「いまの服は着られるために作られていないような気がします。服はブランドを宣伝するための道具と化してまっている。大掛かりなショーもブランドの宣伝として行われているだけなんじゃないかと思うのです」と続けた。

「私がプレタポルテ(既製服)コレクションを辞めたのは、ファッション業界がコマーシャルになってきたからです」とゴルチエは語る。そして、「そこをグループ企業が占領しているのです」と業界のコングロマリット化を指摘した。「自由がなくなったと感じます。私がブランドを始めた頃は、お金ではなく才能が問われていたのに」

現在、ゴルチエが唯一手がけているのは、最も手間とお金を要するオートクチュールだ。この決断は非現実的な話に聞こえるかもしれないが、彼にとってはプレタポルテを作るも現実的なのだという。「もともと"誰かのために作る"ことから始めたのです。ショーのためではなく、1人のお客様のために服を作る——それは、現実に根ざした行為なのです」

Credits


Text Charlotte Gush
Photography Christian Badger [The Portrait Issue, no. 217, February 2002]
Translation Aya Ikeda

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